
ブランディングのLTV向上への影響
9segsの運用として、ビジネスにおいて誤解されがちな「ブランディング」についても触れておきます。ブランディングについての詳細は、拙著『ブランディングの誤解』(日経BP)にまとめましたが、誤解が多いのがこの領域です。本項では、9segsにおいてNPIのない「偶数セグメント(セグ2、4、6、8)」から、NPIのある「奇数セグメント(セグ1、3、5、7)」への引き上げが、ブランディングの効果として捉えられることを解説します。
NPIとは、次の機会にも現在のプロダクトを買いたいという意思があるかどうかの指標だと述べました。5segsに重ねる形で、9segsで捕捉しているNPIの軸は、将来の購入に関する顧客心理です。
ブランディングは様々な定義や意味合いで使われていますが、9segsで考えると、プロダクトを覚えたり思い出したりしてもらい、購入あるいは利用の意思を持ってもらうことだと言えます。それは、NPIのない偶数セグメントから、NPIのある奇数セグメントへの上昇として定量化・可視化して把握できます。

図4-15に、大きく3つのマーケティング活動をまとめました。①上段中央の「新規顧客化へのWHO & WHAT」、②上段右側の「ロイヤル化へのWHO & WHAT」、そして③「ブランディングのWHO & WHAT」です。
①は、未認知ないし認知未購入の顧客に、いかに初回購入をしていただくかの活動です。プロダクトを認知し、買いたい(利用したい)と思って行動に移していただけたかどうかが、効果指標になります。
②は、一度購入した顧客に、使用体験を経て継続的に購入してロイヤル顧客になっていただくための活動です。ここでは前出の「価値の再評価」が働きます。価値を再評価し続けていただく先に、ロイヤル顧客への移行があります。
そして③が、購入意思のない状態から購入意思のある状態へ移行していただく、ブランディングの活動です。例えばロゴやネーミングなどを通してプロダクトを覚えていただくのは、その一つです。
また、一度購入してプロダクトに満足しても、忘れてしまって買わなくなることはよくあります。これを「忘却離反」と言いますが、ブランディングには忘却離反を防ぐ効果があります。顧客が忘れないように強く認知していただいて、簡単に再想起し、思い出していただき、再び購入の選択肢に入れていただくことは、重要なブランディング活動です。
長期的なLTV向上に寄与するのがブランディング
図4-15には、ブランディング活動として複数の矢印を記載しています。補足すると、これらは決して一律の活動で実現できる移行ではありません。
ただ認知しただけで購入意向のない顧客(セグ8)に、「次に機会があれば買いたい」と思っていただく(セグ7への移行)施策と、これしか選択肢がないから買い続けている(セグ2)に、「次の機会も買いたい」と思っていただく(セグ1への移行)施策は、まったく異なります。それは、施策の対象となる顧客の心理が異なるからです。各セグメントの顧客心理の違いは、N1分析で探っていきます。
良い売上をもたらし、LTVを引き上げるのは、継続的に購入してくださるロイヤル顧客です。その中でも、消極的ではなく積極的(次の機会も買いたい)という心理状態であるセグ1の顧客が、ビジネスにおいて最も重要です。そして、セグ1の顧客を増やすために、どの顧客も必ず通る道であるのが「購入意思がない状態(NPIなし)から購入意思を持つ(NPIあり)」という変化です。
これを促進し、長期的なLTV向上に寄与するのが、ブランディング活動だと位置づけられます。逆に言うと、LTV向上に寄与する心理変化に影響を与えない活動は、ブランディングとしての意味がありません。
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