2-6-13:「良い売上」の積み上げには財務知識が必須

顧客起点マーケティング 良い売上、悪い売上
良い売上を最大化するには、財務知識と長期利益重視、顧客の継続性、顧客分析を理解し実践することが重要です。
2-6-13:「良い売上」の積み上げには財務知識が必須
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「良い売上」を最大化するための4つの提案

ここから、「利益ベース」の理解と実践のために、まずはマーケターにとって必要最低限の財務知識を解説します。それに先だって、冒頭に「本シリーズの提案」をまとめておきます。皆さんが「良い売上」を選択的に積み上げるための提案は、次の4つに集約できます。

  1. 継続的な事業成長には、利益に貢献する「良い売上を最大化」し、一過性の「悪い売上を最小化」することが重要

  2. 短期的な売上増は容易だが、実は悪い売上を集めている可能性が高い。目先の売上ではなく「利益」の継続性に注目すべき

  3. そのためには、売上ベースではなく営業利益ベースで、かつ短期ではなく長期間でLTVを計測していく
    (※「利益」には粗利、営業利益、経常利益、純利益の種類がありますが、本書では主に営業利益を扱います)

  4. 実践方法として「ID POS分析」「5segsカスタマーダイナミクス」「9segsカスタマーダイナミクス」がある

「良い売上」を積み上げるためには、これらをしっかり認識し、実践に落とし込むことが大事です。もう少し具体的にすると、こうなります。

  • 既存顧客の継続購入、単価、購入頻度を高めていただいて利益性の高い売上を上げることが重要である

  • しかし、その努力を最大化しても、既存顧客は一定割合で必ず離反するので、利益率が高くなっても、いずれ売上は頭打ちすることになる

  • そのため、売上を上げるには新規顧客の獲得に傾注していくが、新規顧客の獲得は費用がかさむので、短期で売上が上がっても、利益率は低くなる

  • よって継続顧客になる可能性が高い新規顧客を獲得する必要があるが、新規顧客に初回購入いただいた時点では「この顧客と売上が継続するか」が判別しにくい

  • したがって新規顧客の獲得時点から、短期および中長期で売上と利益を捉え、新規の時点で「高い確率でロイヤル顧客になりそうな潜在層」を見極めることが継続的な売上と利益の伸長にとって最重要となる

決して、今現在の1回購入だけを見て利益率が高い売上が「良い」わけでもなく、同様に1回購入での利益率が低い売上が「悪い」わけでもありません。中長期的に時間軸を伴って捉えて、「高い利益率で」「継続的に利益が得られる」売上が「良い売上」です。

それは顧客の継続性と、どのくらいの人数の方が、いくらの単価で、どんな頻度で買ってくださるか、その掛け算としての売上と、売上を得るために必要な費用を差し引いて出てくる営業利益の累計です。

最も基礎的な売上、費用、利益を理解する

顧客数、継続性、購入頻度、購入単価、売上、原価、固定費、変動費、粗利、営業利益の時間軸での関係性を理解しないと、経営に役立つマーケティングには至りません。ですので、ここから数回にわたり、マーケターの皆さんに最低限知っていただきたいビジネスの基本的な財務知識を解説します。

なお「ロイヤル顧客」については、拙著『顧客起点マーケティング』(翔泳社)や『顧客起点の経営』(日経BP)で解説している顧客分類のフレームワーク「5segs(ファイブセグズ)」「9segs(ナインセグズ)」で把握することができます(図1-1、1-2)。

本シリーズでは、より簡易的な「ID POS分析」という新しいフレームワークを加えて、良い売上を積み上げるための方法として後ほど解説しますので、既刊をお読みくださった方も復習がてら読み進めてみてください。未読の方でも、本シリーズだけでご理解いただけますので、読み進めていただければと思います。

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《西口一希》

良い売上、悪い売上