2-6-44:5segsのカスタマーダイナミクス分析

顧客起点マーケティング 良い売上、悪い売上
市場を可視化し、顧客層を分析することで、成長力を高める長期的なマーケティング戦略を構築できます。
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Geminiで生成

市場(マーケット)を定義する

次に、5segsを解説します。

前述のID POSデータを活用したカスタマーダイナミクス分析で把握できる自社プロダクト購入経験者だけでなく、ID POSデータでは把握できない顧客(自社プロダクトの認知はあるが未購入の顧客と、自社プロダクトの未認知の顧客)を含めた市場全体の動き(ダイナミクス)は、定量的なアンケート調査を行うことで捉えることができます。それが、5segsと9segsのカスタマーダイナミクスです。

より効果的なマーケティングにつなげるために、市場(マーケット)全体を自社プロダクトや競合プロダクトとの関係で、構造的に可視化するフレームワークです。

まず、市場全体とは何かを確認します。市場とは、自社プロダクトが100%シェアを獲得した時の顧客・クライアントのすべてです。

顧客数、BtoBならクライアント数で考えると、現時点でまず「自社プロダクトの顧客」がいます。その顧客は一律ではなく、購入頻度や購入単価の高いロイヤル顧客もいれば、そこまで高くない一般顧客もいます。

それらの顧客は、競合プロダクトと併用している重複顧客もいるかもしれません。現時点で自社プロダクトから離反している離反顧客もいますし、自社プロダクトを知らない競合の顧客もいます。また、どのプロダクトもまだ未購入のカテゴリーの未顧客もいるかもしれません。

これを図解すると、図4-3のようになります。ここで、一番外側の円である「市場全体」の顧客数/クライアント数などわからないと思われるかもしれません。ですが、およその数なら算出することができます。まずは市場を定義して、それに該当する顧客数を各種公開情報や調査データなどから引き当てればよいのです。

市場の定義は、ロイヤル顧客同様、自社で決めてかまいません。例えば自社プロダクトの対象顧客を「20~40代向け女性」としているなら、公開情報である総務省の人口推計から「20~40代の女性」の数を参照すれば足ります。さらにその中で、例えば「シンプルなライフスタイルを好む人」が対象なら、何割くらいが該当するのか、調査データや自社で調査するなどして捕捉し掛け算すれば、市場全体を算出できます。

潜在成長力を過小評価してはいけない

どんなプロダクトも、売上が頭打ちになって「もう潜在顧客を獲得し尽くした」「プロダクトの限界かな」と思ったとしても、ほとんどの場合、現在顧客であるロイヤル顧客と一般顧客よりも、離反やまだ接触できていない顧客のほうが多いはずです。

市場全体のすべての顧客(100%)に、自社プロダクトが認知されている状態や、ましてや購入経験がある状態などにたどり着いていることはありません。

つまり、「もう潜在顧客を獲得し尽くした」「プロダクトの限界かな」との感覚は、市場全体と自社プロダクトとの関係を客観的に数字で捉えておらず、かつ潜在顧客層に向けた効果的なマーケティングを行っていないだけの可能性が非常に高いです。それは自社プロダクトの潜在成長力を不必要に過小評価していると考えてください。

歴史が長い老舗のブランドでも、市場には自社のロイヤル顧客と一般顧客のほかに、非常に多くの未認知顧客、および認知はあるけれど未購入の顧客、すなわち膨大な数の潜在顧客が存在します。自社プロダクトの潜在成長力を最大限開拓するために、市場全体を見てマーケティングを行うべきです。

認知/購入経験/購入頻度で5層に分ける

では、最もシンプルな顧客分類である、5segsの作成の仕方を解説します(図4-4)。9segsも同様ですが、これらは一度作成したら、半年~1年など定期的に調査し、顧客数の変化を追っていきます。

半年前よりもロイヤル顧客が増えたら、その間に行った「ロイヤル顧客化の施策」が奏功したと考えられ、施策の効果検証にも役立ちます。

まず、市場全体と自社ブランドや競合ブランドの顧客構成と分布を、量的アンケート調査で「認知の有無」「購入経験の有無」「購入頻度」で次の5つのセグメントに分類します。5つのセグメントの顧客を合計すると、市場全体の100%の顧客数となります。

三角形の図は模式的なものですが、多くのビジネスでは認知未購入顧客や未認知顧客のボリュームが最も大きくなるため、5segsは「顧客ピラミッド」とも言い表せます。

  • ロイヤル顧客(購入頻度が高い)

  • 一般顧客(購入頻度が低い)

  • 離反顧客(購入経験はあるが現在は購入していない)

  • 認知未購入顧客(認知はしているが購入経験はない)

  • 未認知顧客(認知していない)

そして、それぞれのセグメント間の顧客の行動や心理の差異を分析していきます。例えば、ロイヤル顧客へのインタビューにより「ロイヤル顧客化したきっかけ」がわかれば、それを再現するような施策を一般顧客に展開することで、ロイヤル化が望める可能性があります。同様に、「現在顧客(ロイヤル顧客、一般顧客)が初回購入したきっかけ」がつかめたら、認知未購入顧客や未認知顧客に展開することで、顧客化が見込めるでしょう。

5segsとパレートの法則 ー売上と利益はロイヤル顧客に集中する

ちなみに、前出のパレートの法則は、5segsにあてはめて考えることができます(図4-5)。

5segsで見ると、現時点での売上も利益も、ロイヤル顧客 + 一般顧客からしか生まれていません。一方で、離反顧客や認知未購入、未認知の顧客に使われているマーケティングを含む様々な費用や投資は、現時点ではすべて損失であり、ロイヤル顧客と一般顧客から得た利益で埋め合わせている、投資している状態です。

そして仮に、ロイヤル顧客の数:一般顧客の数が「2:8」であれば、長期での売上は「4:6」~「1:9」のように上位集中し、営業利益で見ればさらに集中します。

もちろんカテゴリーや商材によって差異はありますが、長期の累計営業利益で見れば、必ずパレートの法則の上位集中が成り立ちます。また1:5の法則、5:25の法則からも、ロイヤル顧客の絶対数をいかに増やしていくかが、継続的なブランドの成長を左右するとわかります。

5segsのカスタマーダイナミクス分析

この5segsの中での顧客の動態を可視化すると、複数の5segsカスタマーダイナミクス(顧客動態)が描けます(図4-6)。具体的には、成長ルート、復帰ルート、失敗ルートの3種類です。これらのルートを活用し、新規顧客獲得、離反の復帰、離反の防止とロイヤル化をそれぞれ最適化し、顧客との関係をダイナミックに管理することが、長期的なビジネス成長に寄与します。

  • 成長ルート

    • 1:ロイヤル層や一般層のロイヤル化

    • 3:認知未購入層や未認知層の新規顧客化

  • 復帰ルート

    • 2:離反層の復帰

  • 失敗ルート

    • 4:ロイヤル層や一般層の離反

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《西口一希》

良い売上、悪い売上