2-6-27:パレートの法則 ー利益は上位集中する

顧客起点マーケティング 良い売上、悪い売上
利益の8割は2割の顧客が生み出しており、中長期的に重要な顧客へ注力し、維持することが利益確保の鍵となります。
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利益の8割は2割の顧客が作る

ここからは、個別の法則について、活用方法と注意点を詳しく述べていきます。

まずパレートの法則は、「全体の8割の結果は、2割の要因によって生み出されている」という経験則です。ビジネスにおいては「利益の8割は、2割の顧客が生み出している」と解釈されることが多いです。つまり、すべての顧客が同じように利益に貢献しているわけではなく、一部の「大切な顧客」が大きな利益をもたらしているということです(図2-10)。

この法則は「ニッパチ」などとも呼ばれ、よく知られています。筆者がこれまで関わってきたあらゆるビジネスで、この上位集中パターンは確認できましたし、筆者のコンサルティング先でも実際に活用し、有効性を実感しています。

しかし、実務で活用されることは多くないようです。あくまで経験則なので、2割と8割という数字自体は固定ではなく、もっと極端な集中が起こることもありますが、いずれにしても「上位集中」が起こる点が本質です。

ビジネスでこの法則を応用する際に重要なのは、売上ではなく「営業利益」で見ることです。繰り返し述べているように、新規顧客からの売上1万円と、5回目の継続顧客からの売上1万円では、利益への貢献度がまったく異なります。新規獲得コストを考えると、継続顧客の方がはるかに利益が大きくなります。

したがって、パレートの法則から導かれるビジネス上の本質は「少数の顧客が、中長期的な『累計利益』の大部分を左右している」ことです。これは、継続購入が存在するビジネスであれば、ほぼ間違いなく当てはまります。うちは違うのでは、と思われるかもしれませんが、ぜひ自社のデータで検証してみてください。

顧客構造の可視化:上位顧客の解像度を高める

後段で詳説しますが、顧客IDでひもづけができれば、多くの企業でこの分析は可能です。例えば3年間の顧客リストを作り、まず3年累計売上ランキングで見てみると、上位2~3割の顧客が売上の6~8割を占めているはずです。次に、概算でかまいませんので顧客ごとにかかったコストを売上から引き、営業利益ベースで見ると、上位集中はさらに顕著になります。

この分析で顧客構造を可視化すると、「上位顧客とそれ以外の顧客は何が違うのか?」が解像度高く理解でき、営業戦略やリード獲得の質を大きく変えることができますし、ロイヤル顧客の特定にも直結します。

また、先に解説した単発購入型ビジネスと継続購入型ビジネスについて、パレートの法則とどう関連するかを述べておきます。

単発購入型ビジネスとの関連

単発購入型ビジネスでは、継続購入がないため、パレートの法則はあまり当てはまらないように思えるかもしれません。

しかし、紹介による新規顧客獲得が多いビジネスの場合、既存顧客が紹介してくれる「潜在顧客(家族・友人・知人)」の顧客化の可能性が高く、その方々がまた利益に貢献するようになる、という見方もできます。となると、どなたかを紹介してくれる顧客が、2割にあたる「大切な顧客」とも考えられます。

継続購入型ビジネスとの関連

継続購入型ビジネスでは、パレートの法則が非常に重要です。2割の「大切な顧客」を見極め、その方々を維持・育成することで、継続的かつ長期で利益を確保することができます。

継続購入型ビジネスに関して、具体的なケースを記載しておきます。

  • アパレルショップの場合:100人の顧客のうち、20人の顧客が年間で高額な服を何度も購入し、全体の売上の8割(例えば800万円)を占めているとする。残りの80人の顧客は、たまにセール品を買う程度で、全体の売上の2割(例えば200万円)しか占めていないとする
    当然、セール品等は費用(販管費)が余分にかかるので、80人からの売上200万円の営業利益率は低くなる。この場合、20人の「大切な顧客」をしっかりと維持し、満足度を高めることが、売上と利益を維持・向上させるために非常に重要になる

  • オンラインゲームの場合:課金ユーザーの1~2割が高額課金し、ゲーム会社の売上の8割以上を支えており、原価も販管費も低いので、その継続売上の利益性は圧倒的に高いというケースはよくある
    この場合、高額課金ユーザー向けの特別なイベントや特典を用意するなどにより、満足度向上と継続利用を促進し続け、継続的な課金を促すことが重要になるのである

次項では、具体的な事例でパレートの法則を理解していきます。

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《西口一希》

良い売上、悪い売上