
同じ1万円の売上なのに、利益に8,000円の差?
ビジネスパーソンは、そもそも「利益ではなく売上に注目しがち」な環境にいることを解説しました。次に、「売上には“種類“がある」ことを、ごく簡単な例で解説してみます。
今日、自社プロダクトの新規顧客のN(New)さん、および継続顧客のR(Repeat)さんからの売上が、たまたま同額の1万円でした(図7)。

これは金額としては同じ1万円ですが、意味が違います。1万円の貨幣的な中身は、どなたからいただこうと変わりないのは事実です。しかし、実際に費用としてかかる新規顧客の獲得費用は高く、既存顧客の維持費用はあまりかかりません。
これらを積み重ねると、大きな違いが出てきます。次に、図8をご覧ください。NさんとRさんからの売上は同じ1万円でしたが、新規顧客の獲得費用1万円(CPA:Cost per Acquisition)と既存顧客の維持費用2,000円の違いを反映して利益を見てみました。

原価を3,000円とすると、新規顧客のNさんからの営業利益は、マイナス4,000円です。
売上1万円-原価3,000円-販管費1万1,000円(様々な諸費用1,000円に加えて、獲得費用1万円を含むが、既存顧客の維持費用2,000円を含まない) =-4,000円
一方、継続顧客であるRさんからの営業利益は、プラス4,000円になります。
売上1万円-原価3,000円-販管費3,000円(様々な諸費用1,000円に加えて、獲得費用1万円を含まないが、既存顧客の維持費用2,000円を含む)=4,000円
営業利益に圧倒的な差を生む「獲得コスト」の正体
両者の違いは、新規顧客の獲得費用と既存顧客の維持費用が大きく異なることです。
多くのビジネスで、同じ時期の原価はどなたが購入しても変わらないので原価は一律としましたが、どんなビジネスでも大きく異なるのは、販管費に占める新規顧客の獲得費用と既存顧客の維持費用です。そしてそれは、営業利益に対して圧倒的な差を生んでいます。
一般的に、新規顧客の獲得には、既存顧客の維持よりも多額の費用がかかります。これはビジネスパーソンなら肌感でもほとんどの方が理解されているところでしょうし、カテゴリーを問わずほとんどの事業で高い営業利益を上げるために「リピーターの獲得」は重要事項の一つになっているはずです。
ただ、これを売上の違いと顧客の違いを通じて実際の実務で追求している場合は少ないのです。後段の「単発購入型のビジネス」で解説しますが、例えば住宅や、単発のライフイベントのようなリピートが見込みにくい事業は、1回で利益が出るようなビジネス構造になっています。
売上と利益の内訳を再定義する
売上と営業利益に関わる費用には、大まかに次の項目があります。
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このうち、マーケティング活動における新規顧客の獲得費用と既存顧客の維持費用は、cの販管費の一部になります。
さて、NさんとRさんの売上額は1万円で同じでしたが、RさんとNさんからいただく利益はどのくらい差があるかというと、単純計算で8,000円にもなりました。かつ、Nさん単独で考えた場合は-4,000円の赤字です。
では今月、継続顧客のみ100人が1万円購入した場合と、新規顧客のみ100人が1万円購入した場合、それぞれのケースの売上と利益はどうなるでしょうか? どちらも、売上総額は100万円です。しかし前者の利益は40万円になるのに対し、後者の利益は-40万円です。もちろん、ビジネスの初期はほとんどが新規顧客ですが、しばらく経っても後者の状況が続くようだと、赤字がどんどんかさんでいくことになります。
このように、新規顧客からいただく利益と継続顧客からいただく利益は違うので、売上額が同じであっても、新規の方と継続の方を一緒くたに捉えてはいけないのです。
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