2-6-11:鉄板焼き店とウォルマートからの学び

顧客起点マーケティング 良い売上、悪い売上
継続顧客を増やして利益の安定化を図るとともに、長期と短期における売上・利益の関係を理解し、戦略的に集客することが重要です。
2-6-11:鉄板焼き店とウォルマートからの学び
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Geminiで生成

継続顧客が増えるほど、利益は安定する

前項では、いつも安定的に安いウォルマートが、特売品で一時的な集客を繰り返したKマートに圧勝した話を紹介しました。

当時から、「良い売上」「悪い売上」といった概念があったとは思いませんが、ウォルマートは、小売業として「顧客にとってどうありたいのか」が明確にあり、その上で「どのような顧客を集客すべきか」を考え抜いていたのだと思います。

そして、当然のことながら、短期と長期の売上と利益の関係を見極めていたのだと思います。この話を、前出の図で説明してみます(図12)。

両社とも、はじめはすべての顧客が新規顧客=Nさんだったわけですが、KマートはいつまでもNさんタイプの方が大半だったのに対し、ウォルマートは新規顧客が順調に継続して、Rさんタイプが増えていきました。

並行して、おそらくEDLPが口コミで広がり、次の継続顧客候補となる新規顧客の自然流入も口コミ経由であったでしょう。だから、費用対効果が高く利益を積み上げることができました。

どの事業も、短期と長期における売上と利益の構造をよく理解して、新規から継続顧客(リピーター)を増やすこと、また次のリピーター候補となる新規の流入を最大化し続けることが最も重要になるのです。

「良い売上」を積み上げるための戦略的視点

新規顧客と既存顧客の利益貢献(利益率)は、大きく異なっていることを、何となく実感いただけたでしょうか。

本シリーズ冒頭で紹介した鉄板焼き店では、顧客である親が連れてくる子どもが中高生になってくると親と食事に行くことが少なくなり、自然と離反していきますが(筆者もそうでした)、その分を補って余りあるくらいの新しい「小さい子連れ」の顧客層が流入する構図が成り立っていました。

またウォルマートでは、価格変動が小さいことで「いつも安い」イメージが顧客に浸透し、ライバルであるKマートがときに激安で商品を扱っていても、「結局いつも行くのはウォルマート」という状況ができていたと考えられます。

鉄板焼き店もウォルマートも、経営側が「継続を促すメカニズム」をどれくらい認識していたかは定かではありませんが、結果的に、良い売上と悪い売上が区別されていました。

新規と継続をつなぐ再現性のあるマーケティングが重要

新規顧客は利益貢献が低く、継続しなければ、その顧客からの売上は悪い売上になってしまいます。既存顧客は継続するほど利益貢献が高く、良い売上が積み上がります。

ですが重要なのは、新規顧客=悪い、という二者択一的な捉え方ではなく、「継続につながりやすい新規顧客を集める」ことであり、「継続していただけるようにプロダクトを磨く」ことです。

既存顧客は永遠ではなく、必ず一定数が離反していくため、常に新たな「継続顧客“候補“」を呼び込まないといけません。

どの顧客も最初は新規顧客なわけですが、その時点で今後も継続購入して継続顧客になるかどうか、企業はあまり考えません。ただ、例えば先の鉄板焼き店における子連れ顧客のように、実際の継続顧客の特徴を見ることで、継続顧客になりやすい顧客の特徴をある程度つかむことはできますし、その分析ができれば新規顧客の獲得時点で戦略的に集めることも可能です。

あらゆるビジネスは、新規顧客の獲得への投資だけでも、継続顧客の維持への投資だけでも不十分です。この2つを、どうつなぐか。そのために、良い売上と悪い売上を理解し、メカニズムを学び、再現性をもって実践することが重要なのです。

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《西口一希》

良い売上、悪い売上