2-6-64:プロフィットセンターとしてのカスタマーサクセス

顧客起点マーケティング 良い売上、悪い売上
カスタマーサクセスは、利益を生み出すプロフィットセンター化が重要であり、顧客情報のフィードバックや部門間の共通理解が成功の鍵となります。
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Geminiで生成

良い売上を最大化するエンジンになるべき

カスタマーサクセスは、得た知見を手前の部門にフィードバックすることが大事だと述べました。そのフィードバックによって、マーケティングから営業までの活動が効率化し、より事業成長につながるものとなります。

これはすなわち、カスタマーセンターが「プロフィットセンター(利益を生み出す部門)」になれることを意味します(図6-5)。

カスタマーサクセスが本来の機能である「顧客の継続を支援し、他部門に有益なフィードバックを行う」ことを実践すれば、同部門は利益を生み出す部門になるのです。「良い売上を最大化するエンジン」という自覚が必要ですし、周囲にもそう捉えられるように存在感を発揮すべきだと考えます。

実際、筆者としてもここ数年、多くの企業でカスタマーサクセスという部門が新設され広がった割には、本来の目的であるはずの利益への貢献ができていない印象がありました。部門を設置し強化したものの、アフターサービス的な役割で費用がかさみ、売上が上がっても利益が下がっている実態を目にすることが多かったのです。

福田氏が提唱するTHE MODELを正しく導入すれば、こうはならないのでは、という疑問があったのですが、福田氏との対話を通してようやく要因がつかめました。

THE MODELを本来の相互プロセスにしていく

福田氏によると、右側のカスタマーサクセス部分を円にしたのは「プロセスが進むほど雪だるま式に大きくなって遠心力が働き、より多くの利益を上げ、情報をフィードバックできる部門というイメージがあったから」だそうです。

ここで得た利益をプールするか、先行投資にするかは戦略次第ですが、いずれにしてもカスタマーサクセスをプロフィットセンターとして捉え直し、そこでの利益とプロフィッタビリティの管理を人件費を含めて実践すべきです。

本シリーズ「良い売上、悪い売上」では、マーケティングが全体を見て、全体の利益を最大化するために考えるべきと提唱しています。ある意味、マーケティングのオーケストレーションを解説しているとも言えます。

BtoBでいうとカスタマーサクセスがもっとも顧客の継続率を見ているので、良い売上をもたらす顧客と悪い売上をもたらす顧客の見極めがわかっている必要があります。それがわかっているから、マーケティングや営業に適切にフィードバックでき、相互プロセスが成り立ちます。カスタマーサクセスが、全体のオーケストレーションを担うのです。

理想的な顧客像を、部門間で共有する

しかし、実際の現場では、カスタマーサクセスが独立してしまうことが多いようです。

ここには、KPIによる分断の問題もあります。マーケティングのKPIは一般的に、新規獲得リードやCPAになります。それ自体は重要な数字ですが、短期的に数を追ってしまうと、次のプロセスに位置するインサイドセールスからすると、リードの質が悪いから営業につなげられないという状況も発生してしまうのです。

一方、カスタマーサクセスでは失注分析などを行っているものの、「理想的なカスタマーの定義」を議論しないまま専門化してしまっている傾向があります。

その解決策のひとつになるのが、「ICP(Ideal Customer Profile)」という概念です。福田氏のコメント部分で詳しく紹介しますが、文字通り理想的な顧客像を部門間で共有していないと、各部がそれぞれのKPIを追い、分断が生じ、相互プロセス運用の実現が難しくなります。

加えて、受注前と後の部門に横串を差す、オーケストレーションの役目をカスタマーサクセスが担うのが難しいなら、別の部門や役職が担う必要があります。それはマーケティング部門長や営業部門長が担当することもあるでしょうが、部門レイヤーより高次の経営層が担うこともあります。外資系の大手BtoB企業を中心に、利益の最大化という経営目標を扱うため、CEOやCOO、後段で解説するCRO(Chief Revenue Officer)が管轄することがよく見られます。

次項では、BtoBにおけるLTVの計算を解説していきます。

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《西口一希》

良い売上、悪い売上