2-6-40:LTVを向上させる6つの重点項目:利益を最大化する戦略

顧客起点マーケティング 良い売上、悪い売上
LTV向上には、購入単価・利益率・購入頻度・継続性の向上に加え、新規獲得コストと維持コストの削減という6つの戦略が欠かせません。また、長期的な取り組みが効果を発揮します。
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長期的に、的確な視点でLTVを伸ばしていく

良い売上とLTVについて解説してきました。本項では、LTVを実務上でどのように向上させればよいか、方向性と施策をまとめておきます(図3-11)。

LTVは、顧客一人が取引期間を通じて企業にもたらす営業利益の総額です。LTVを伸ばすことは、企業の利益性を高める上で非常に重要です。そのためには、利益の最大化、コストの削減、顧客維持率の向上といった複数の要素に焦点を当てる必要があります。

次から、LTV向上のための主要な6つの重点項目を、事例を交えながら解説します。これらの戦略は相互に関連しており、単独で実施するよりも、組み合わせて総合的に取り組むことで、より大きな効果を発揮します。LTV向上は、短期的な施策ではなく、長期的な視点での取り組みが重要です。

1.購入単価の向上:1回の購入でより多くのお金を使っていただく

購入単価を上げるには、次の3つの方法があります。

  • アップセリング:より高価な商品やサービスを提案すること。顧客が現在利用している商品やサービスよりも、上位モデルや高機能版、より高価格帯のものを提案することで、一回あたりの購入額を増やす

    • 事例 オンライン家電量販店:顧客がノートパソコンを購入しようとしている際に、「より高性能なCPUを搭載したモデルはいかがですか?」と提案することで、購入単価の向上を図る

  • クロスセリング:関連商品やサービスを提案すること。顧客が興味を持ちそうな関連商品やサービスを提案し、追加購入を促す

    • 事例 オンライン書店:顧客が料理本を購入した際に、「この本と合わせて、便利なキッチンツールはいかがですか?」と提案し、購入単価の向上を図る

  • 価格戦略の見直し:提供価値に見合った価格を設定する。顧客にとって高い価値となる便益や独自性を明確に伝え、既存商品の価格を上げることも有効である。ただし、価格に見合った価値を提供できていることが前提となる

    • 事例 コーヒーショップ:あるコーヒーショップでは、使用するコーヒー豆の品質や焙煎方法にこだわり、他店との差別化を図り、比較的高めの価格設定を維持している

2.利益率の向上:売上に対する利益の割合を高める

営業利益率を上げるには、次の2つの方法があります。

  • コスト削減:無駄なコストを徹底的に削減する。原材料の仕入れコストの削減、生産プロセスの効率化、人件費の見直しなど、あらゆるコストを見直し、削減することで、営業利益率を高める

    • 事例 アパレルメーカー:あるアパレルメーカーは、海外の工場と直接契約することで、中間マージンを削減し、仕入れコストを抑えている

  • 高利益商品の強化:利益率の高い商品を積極的に販売する。営業利益率の高い製品やサービスの販売に注力し、売上構成を最適化することで、全体の利益率を高める

    • 事例 ソフトウェア会社:あるソフトウェア会社は、パッケージ版の販売に加えて、利益率の高いクラウドサービス(サブスクリプション型)の販売に力を入れている

3.購入頻度の向上:顧客に何度も購入していただく

購入頻度を上げるには、次の3つの方法があります。

  • 効果的な訴求:商品の魅力を的確に伝える。既存顧客が価値を見いだしている、自社プロダクトが提供できる便益や独自性を改めて訴求することで、購入意欲を高める

    • 事例 健康食品メーカー:ある健康食品メーカーは、定期的にメールマガジンを配信し、商品の効果や健康に関する情報を提供して、顧客の購入意欲を維持している

  • 顧客エンゲージメントの強化:顧客とのつながりを深める。定期的なメールマーケティングやSNSを通じて顧客との接触頻度を高め、購入機会を増やす

    • 事例 オンラインコミュニティ:あるオンラインゲーム会社は、ゲーム内イベントやSNSキャンペーンなどを積極的に展開し、顧客エンゲージメントを高めている

  • ロイヤリティプログラム:リピート購入を促進する仕組み。リワードやポイントシステムを導入し、リピート購入を促進する

    • 事例 航空会社:ある航空会社は、マイレージプログラムを提供し、搭乗回数に応じてポイントを付与することで、顧客の囲い込みを図っている

4.購入の継続性の向上・離反の抑制:顧客に長く使い続けていただく

購入の継続性を高め、離反を防ぐには、次の2つの方法があります。

  • 顧客満足度の向上:最高の顧客体験を提供する。優れた製品品質、丁寧な顧客サービスを提供し、顧客の満足度を高めることで、長期的な顧客関係を構築する

    • 事例 ホテル:あるホテルでは、顧客一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かいサービスを提供し、高い顧客満足度を獲得している

  • 定期購入の促進:継続的な利用を促す仕組み。サブスクリプションモデルや定期購入割引を提案し、顧客の継続的な購入を促す

    • 事例 花屋:ある花屋では、週に一度、季節の花を自宅に届ける定期便サービスを提供し、顧客の継続的な購入を促している

5.新規顧客の獲得コストを下げる:効率的に新規顧客を獲得

新規顧客の獲得コストを下げるには、次の3つの方法があります。

  • 効果的な訴求:ターゲットに響くメッセージを届ける。潜在顧客が価値を見いだす、自社商品が提供できる便益や独自性を見つけて訴求することで、少ない広告費用で多くの顧客を獲得する

    • 事例 学習塾:ある学習塾では、地域密着型のチラシ配布や、口コミサイトでの評判向上に注力し、広告費用を抑えながら新規顧客を獲得している

  • 効果的なマーケティングチャネルの選定:費用対効果の高いチャネルに集中投資する。ROI(投資対効果)の高いマーケティングチャネルを分析し、そこに集中投資することで、効率的に新規顧客を獲得する

    • 事例 オンラインゲーム会社:あるオンラインゲーム会社は、ゲーム実況動画配信サイトでの広告配信に注力し、ターゲット層に効率的にリーチしている

  • 口コミや紹介プログラムの活用:顧客を味方につける。顧客からの紹介による新規顧客獲得は、広告費用を抑えられるため、コストが低い方法となる

    • 事例 保険会社:ある保険会社では、既存顧客からの紹介で新規契約に至った場合に、紹介者と新規契約者の双方に特典を提供する紹介プログラムを実施している

6.既存顧客の維持コストを下げる:効率的な顧客管理

既存顧客の維持コストを下げるには、次の3つの方法があります。

  • 効果的な訴求:既存顧客への情報提供も怠らない。既存顧客が価値を見いだしている、自社商品が提供できる便益や独自性を定期的に訴求することで、顧客のエンゲージメントを維持し、問い合わせ対応などのコストを削減する

    • 事例 ソフトウェア会社:あるソフトウェア会社は、定期的にオンラインセミナーを開催し、既存顧客に製品の活用方法や最新情報を提供することで、問い合わせ件数の削減に成功している

  • 自動化とCRMの活用:業務効率を大幅に改善する。顧客関係管理(CRM)システムを利用し、マーケティングや顧客サポートのプロセスを自動化することで、人件費などのコストを削減する

    • 事例 ECサイト:あるECサイトでは、CRMシステムを活用し、顧客の購入履歴に基づいて自動的にメールを配信したり、問い合わせ内容に応じて適切な担当者に振り分けたりすることで、業務効率を大幅に改善しているのである

  • 顧客セグメンテーション:適切にリソースを配分する。顧客を価値観や行動に基づいてセグメント化し、それぞれのセグメントに適切なリソースを配分することで、無駄なコストを削減するのである

    • 事例 通信会社:ある通信会社では、高LTV顧客向けの特別なサポート窓口を設置し、効率的に顧客維持を図っている

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《西口一希》

良い売上、悪い売上