
カスタマーサクセスは"お客様サービス"ではない
循環モデルであると理解されにくい要因は、どういったところにあるのでしょうか。大きな理由は、カスタマーサクセスの意義の理解にあります。福田氏は、結果として日本に多いのが、カスタマーサクセスあるいはカスタマーサクセスマネージャーは「無償で動くもの」と捉えられていたと述べています。
もともとは日本でも、当初から「カスタマーサクセスはCS/お客様サービス部門ではない」という論調で紹介されていたそうです。一定は、カスタマー"サポート"とは異なるという理解が行き渡っていました。
ところがSaaSの業界では、活用支援の中でも、オンボーディング(新規顧客がプロダクトを効果的に使い始めるための支援プロセス)として狭義に捉えられて運用されていたことが多く見られました。
当然、顧客数や、その企業においてプロダクトを使用するユーザー数が増えるほど、オンボーディングにかける自社の時間や人件費などもかさみ、負担が大きくなります。無償と捉えられている以上、受注するほどカスタマーサクセスの負担が拡大し、固定費となって赤字が増える構造があるのです。
無償サービスが増加すると人件費を賄えない
この背景にあるのは、先に示した図6-1において、契約後の顧客を成功に導くためのカスタマーサクセス(円の左側の一部分)という試みと、カスタマーサクセスマネージャー(円全体の管理)という役割の区別がついていない人が多いことだろう、と福田氏は指摘しています。
本来は、有償のコンサルティングサービスや研修なども組み合わせて顧客の支援をしなければ、増えていく顧客を正しく支援していくことはできません。しかし、狭義のカスタマーサクセスは無償で動くものだという考えに縛られて、結果的に全体がコストセンターになり、適切なリソース配分ができていないケースが見られていました。

筆者の知る事例でも、プロダクトの販売が好調でカスタマーサクセスが対応すべき顧客数が増えたからと、同部門に次々と人材を採用して、人件費が大幅に上がっていったケースがあります。その上で無償サービスを行うため、残念ながら加速的に利益が下がっていってしまいました。
近年、全体としてのカスタマーサクセスへの投資が見直され、逆にアップセル/クロスセルを行う営業的な役割に振れているそうですが、本来は「自社の顧客を成功に導き『良い売上』に結びつけるには、どのような機能・役割が必要なのか」を考える必要があります。
次項では、お客様サービスではなく“プロフィットセンター”としてのカスタマーサクセスの役割について考えていきます。
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