
2番目以降が伸びた例①:ドクターズコスメ「オバジ」
筆者は数多くのブランドを担当してきましたが、その中で、最初に出した商品よりも2番目以降が伸びた例は2つ思い浮かびます。その例を紹介したいと思います。どのケースも1番目にこだわらず、2番目、3番目が伸びる兆しをつかむことが大事です。
一つ目は、ロート製薬のドクターズコスメ「オバジ」です。これは筆者が関わる前の話ですが、最初に投入したのは角質のピーリングケアで肌質改善ができる医療的なスキンケアキットでした。しかしあまり伸びず、継続率は高くありませんでした。その後に美容液として「オバジC」を投入して売上を拡大していました。
ちょうどこのころからオバジに関わることができ、売上を伸ばすために、さらに化粧水や乳液など多くの商品を増やしていましたが、全体で見ると頭打ちになりました。
そこで、そこまでに市場投入されているすべてのオバジ商品の継続購入率を見直すと、「オバジC」美容液が圧倒的に高かったのです。これをもとに、すべての商品への分散投資をやめて、店頭もプロモーションもデジタルマーケティングでも全面的に「オバジC」美容液を打ち出し、看板商品の印象を強めました。
結果、顧客数も増え、オバジブランド全体の継続率が向上しました。筆者の関わりはそこまでですが、その後「オバジC」美容液を軸として強化し続け、No.1のドクターズコスメとして非常に高い成長率を維持し続けています。
2番目以降が伸びた例②:男性用化粧品「オキシー」
もう一つも同じくロート製薬の、男性用化粧品「オキシー」です。今では洗顔料の印象が強いですが、ブランド発売当初は拭き取りパッドを中心として展開していました。拭き取りパッドは当時は非常にめずらしく、その独自性もあって多くの顧客数を獲得して大ヒットはしたものの、継続率が低いのが課題でした。
一方、同時に出していた洗顔料や化粧水は、売上は低いものの継続率が高かったのです。顧客数を重視して数年はパッドに注力していたのですが、売上を支えるために、販促費をかけ続けないといけない状態が続き、営業利益ベースのLTVはずっと赤字でした。
そこで思い切ってパッドへの投資を減らし、継続率の高い洗顔を中心に据えて「洗顔料のブランド」として打ち出したところ一気に伸び、継続購入率の高さでブランド全体の利益が上向きました。
当初は先発の競合を意識して、同じような洗顔料ではだめだろうとユニークなパッドを打ち出していましたが、顧客はめずらしさから一度は購入するものの、定着するほどではなかったのです。こうしてオキシーは「洗顔料のブランド」という強い印象で顧客にアピールし、一方でパッドは終売を迎えました。
実際の顧客の動きを見極め、継続率が高い商品を伸ばす
これらからの教訓は、「これを押し出そう」と戦略的に決めるのはいいですが、必ずしも多くの顧客数を獲得でき、継続率も伸びるわけではないということです。こればかりは、出してみないとわかりません。ですので、いったん市場に出たら、その実際の市場での顧客の動きを確かめた上で、継続率が高いものを伸ばせるかどうかがブランドの運命を決めるのです。
営業利益ベースのLTVを上げるには、継続率が高いことが必須です。ブランドの立ち上げ時期、利益が出るまでの時期は、様々な商品の中でどれが伸びるかは未知数で、ひょっとしたら後発商品かもしれません。
ですが、すでに何年か運営しており利益が出ているブランドの場合、現時点で売れているのが主力商品であることが事実なのです。それが、継続率が高く、ブランドを支える屋台骨になっているはずですが、もしそうなっていないなら、ミルフィーユの崩壊が進んでいるかもしれません。
ミルフィーユの崩壊を起こさない唯一の対策は、「今売れているのは何で、それはなぜか」をつかみ、主力商品を伸ばすことです。
市場での顧客の現実を細かく見て、どうやって伸ばすのかをしっかり考えることでしか道は開けません。それを考えるのは大変だし難しそうだから、と新しい商品の開発と導入に邁進しても、継続率が低ければむしろ利益の状況は悪化するので要注意です。
まだ会員登録されていない方へ
会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です


