1-1-23:クロスチャネルマーケティング、クロスデバイスマーケティング、ゲーミフィケーションマーケティング

マーケティングの大前提 114種類のマーケティング
クロスチャネルマーケティングは、複数のチャネル(オンライン、オフラインなど)を連携させ、一貫した顧客体験を提供するマーケティングです。顧客がどのメディアを使っても、同じブランドメッセージが連続して届くようにします。
1-1-23:クロスチャネルマーケティング、クロスデバイスマーケティング、ゲーミフィケーションマーケティング

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。

本項では、クロスチャネルマーケティング、クロスデバイスマーケティング、ゲーミフィケーションマーケティングを解説します。

クロスチャネルマーケティング (Cross-channel Marketing)

クロスチャネルマーケティングは、複数の異なるマーケティングチャネルを連携させて、一貫性のある顧客体験を創出するマーケティングです。顧客が使用する、オンライン、オフライン、モバイル、ソーシャルメディアなどの様々なメディアを通じて、一貫したメッセージやブランド体験を提供します。目的は、顧客が任意のチャネルを介して、同じブランドからの連続したコミュニケーションを体験できるようにすることです。

ウォルマート(Walmart):ウォルマートは、実店舗とオンラインストアを連携させたクロスチャネルマーケティングを展開しています。顧客はオンラインで購入した際に、宅配だけでなく店舗受け取り「Buy Online Pick-up In Store(BOPIS)」も選択可能です。さらに、アプリを通じて、店舗内の製品の位置情報提供や、店舗の受け取り手続きの簡素化など、オンラインと実店舗の垣根を超えたシームレスな顧客体験を実現しています。

良品計画:無印良品の「MUJI passport」アプリは日本におけるクロスチャネル統合の成功例です。店舗検索・在庫確認機能に加え、レジでのバーコード読み取りによるポイント付与を導入しました。ポイントに応じて会員ランクが上がります。アプリ経由の購入データと実店舗での顧客行動を連携し、製品開発に活用しています。さらに、ECでの売れ筋データや購入以外のリアクションなどを分析し、店舗の在庫管理や販売戦略に役立てるなど、データドリブンな製品配置を実現しています。

クロスデバイスマーケティング (Cross-Device Marketing)

クロスデバイスマーケティングは、顧客がスマートフォンやタブレット、パソコン、スマートテレビなど異なるデバイスを使用していても、一貫したマーケティングメッセージを提供します。顧客のデバイス使用パターンを理解し、それに応じて最適化された広告やコンテンツを提供することに焦点を当てています。あらゆるデバイス上でブランドの視認性を高め、効果的なコミュニケーションを行うことが目的です。

リクルート(Recruit):リクルートは、自社の求人ポータルサイトである「Indeed」などを通じて、クロスデバイスマーケティングを展開しています。利用者がスマートフォンで求人を検索した後、パソコンで応募プロセスを完了するといったシームレスな体験を提供しています。また、デバイス間でのデータを活用し、ユーザーの行動に応じたパーソナライズされた広告を展開しています。

ネスレ(Nestle):ネスレ日本は、オンラインとオフラインのデータを統合し、クロスデバイスマーケティングとして顧客エンゲージメントを強化しています。ネスカフェのオンラインキャンペーンは、スマートフォン、タブレット、パソコンなど、顧客が使用するあらゆるデバイスに最適化された広告を提供し、製品購入へと導きます。さらに、ネスレのアプリやウェブサイトは、顧客のデバイス利用状況に基づいてパーソナライズされたレシピや製品情報を提供しています。

ゲーミフィケーションマーケティング (Gamification Marketing)

ゲーミフィケーションマーケティングは、ゲームの要素をゲームではない製品やサービスに応用する手法です。ポイントシステム、バッジ、リーダーボード、チャレンジ、報酬といったゲームの要素を、顧客の参加とエンゲージメントを促進するために利用します。目的は、顧客体験を楽しく魅力的なものに変えることで、製品やブランドへの関心を高め、顧客の忠誠心や行動の変化を促すことです。

コカ・コーラ(Coca-Cola):日本コカ・コーラは、自動販売機と専用アプリにゲーミフィケーションを導入しました。特定の製品購入でポイントが貯まり、景品と交換できる仕組みにより、自動販売機の利用率が向上し、販売促進に大きく貢献しました。顧客は飲料の購入と同時に、ゲーム的要素を楽しむことができ、これが継続的な利用を促しています。さらに、景品交換システムにより、顧客満足度の向上にも成功しています。

くら寿司:くら寿司の「ビッくらポン!」は、顧客が食べ終わった5枚の皿を投入口に入れると、1回の景品獲得チャンスが得られます。単に食事をするだけでなく、景品獲得というゲーム要素を楽しめるのです。トレンドに合わせたアニメやゲーム作品とのコラボ製品は、子どもから大人まで幅広い年齢層の顧客を引きつけています。このマーケティング手法によって、顧客の来店頻度や滞在時間の増加、さらに追加注文を促す効果も見られます。

まだ会員登録されていない方へ

会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です


《西口一希》

114種類のマーケティング