1-1-10:分野9:ダイレクト マーケティング、通販マーケティング、ECマーケティング、DtoCマーケティング ー メーカーが顧客へ直接的に販売する

マーケティングの大前提 112種類のマーケティング
ダイレクトマーケティングは顧客に直接販売する手法で、1960年代から発展。ECやDtoCマーケティングも普及し、企業はデジタルツールを用いて直接的な販売戦略を展開しています。いずれも顧客との関係構築が重要です。
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顧客に直接アプローチするダイレクトマーケティング

現代でも活用されるダイレクトマーケティングの語源は古く、1960年代に、個々の顧客に直接郵便や電話で商品やサービスを宣伝し販売する手法として確立しました。中間者を介さず顧客に直接アプローチするマーケティングであり、主に郵便による広告(ダイレクトメール)やテレマーケティングを中心に展開されていました。この時代、企業は顧客の住所や購買履歴などのデータベースを活用して、ターゲットとする顧客に直接、郵便物や電話で製品情報の案内などのプロモーションを行いました。

その後、ダイレクトマーケティングの範疇は広がり、現在では様々なデジタルメディアやツールも使用して、企業が顧客に直接コミュニケーションを図って製品やサービスを販売するマーケティングとして認知されています。歴史が長いため、この分野の知識も多く書籍などで体系化されています。現代においても多くの知識が活用されています。

ダイレクトマーケティングの活用事例

アメリカンエキスプレス(American Express):アメリカンエキスプレスは、カード会員に対してパーソナライズされたオファーやプロモーションをEメールや郵便で直接送付し、特別な報酬プログラムや新しいサービスの紹介を行っています。例えば、特定の顧客の過去の支出パターンや興味に基づいてカスタマイズしたクレジットカードのアップグレードオファーを提案することで、顧客のエンゲージメントを高め、ブランドへの好意度や利用の継続を促進しています。

米国で発展した通販マーケティング

インターネットが普及する以前、通信販売は19世紀末から20世紀初頭にかけて、米国でカタログによる注文販売として始まりました。当時、大手小売チェーンであったシアーズやモンゴメリー・ワードなどの企業が先駆者として大規模なカタログを発行し、農村部や遠隔地に住む顧客に向けて商品を紹介しました。顧客はカタログを参照して商品を選び、郵送か電話で注文するシステムで、家具から衣類、農業機械まで幅広い商品が扱われていました。

この方法は、米国という広大な国において、通信と交通の制約を克服し、より広い地域に商品を提供する手段として機能しました。通信販売のマーケティング知識は、郵便や電話を使った通販マーケティングを主流に蓄積されていきました。

現代では、​​​​広告から注文、配送までを一元管理し、カタログ、テレビ、インターネット、その他のメディアを通じて製品を直接顧客に宣伝、販売しています。あわせて顧客の購買データを収集し分析することにより、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を展開しています。また、顧客との直接的な関係構築により、長期的な顧客ロイヤリティを育成する機会にもなっています。

通販マーケティングの活用事例

QVC:米国発祥のQVCは、テレビ通販を中心に展開する通販マーケティングの優れた例です。QVCはライブ放送中に様々な製品を紹介し、視聴者が電話やオンラインで即座に購入できるシステムを持っています。このプラットフォームでは、製品の詳細な説明とデモンストレーションを提供し、顧客が製品の特徴や使用方法を理解できるようにしています。

ディノス(Dinos): DINOS CORPORATIONが展開する通販ブランドで、特に家具やインテリアに強みを持ち、高品質な商品を提供しています。オンラインショップとカタログを併用し、幅広い年代の顧客に支持されています。

ジャパネットたかた:通信販売会社のジャパネットたかたは、 家電製品から健康器具まで幅広い商品を扱い、独自のプレゼンテーションスタイルで知られています。積極的なデモンストレーションと商品の特長をわかりやすく説明することで、高い販売実績を上げています。

データを活用するECマーケティング

1990年代中頃にインターネットが普及すると、電子商取引(E-commerce、EC)が登場しました。ECマーケティングは、ダイレクトマーケティングと通販マーケティングのノウハウの多くをデジタル化し、最適化したものです。

インターネットにより、顧客はオンラインプラットフォームを介して商品やサービスを直接購入できるようになりました。このプロセスでは、顧客データが収集され、パーソナライズされた広告や推奨商品の提供に活用されます。Amazon、eBay、楽天などの企業は、この新しいECマーケティングモデルを利用して、グローバルな顧客基盤を構築し、売上を飛躍的に伸ばしました。このようなデジタルアプローチは、従来の郵便注文カタログの原則をより迅速かつ広範に展開する手段となっています。

ECマーケティングの活用事例

Amazon:Amazonは、顧客の過去の購入履歴や閲覧履歴を分析して、個々の顧客に最適な商品を推薦するパーソナライズされたレコメンデーションエンジンを活用しています。また、Amazon Prime会員向けの特典やセール、デイリーディールなどのプロモーションを通じて顧客の購入意欲を促進しています。

楽天市場:楽天が運営する楽天市場は、セラー向けのマーケティングツールや広告プラットフォームを提供し、セラーが自社の商品を効果的にプロモーションするための機能を提供しています。また、楽天ポイントプログラムを活用した顧客獲得やリピート購入促進のための施策も展開しています。

ゾゾタウン(ZOZOTOWN):ファッションECサイトのZOZOTOWNは、顧客に対してユーザーの好みやサイズに合わせた商品のレコメンドを行っています。また、独自のテクノロジーを活用したサービスを提供し、顧客体験の向上に取り組んでいます。

ユニクロ(UNIQLO):ユニクロは、オンラインストアを活用したEC マーケティングの一環として、SNSを活用したプロモーションやインフルエンサーマーケティングを積極的に展開しています。また、オンラインストア限定のアイテムやセールなどの特典を提供し、顧客のオンラインショッピング体験を向上させています。

メルカリ:フリマアプリとして知られるメルカリは、ユーザー同士が商品を売買するプラットフォームを提供しています。ECマーケティングの一環として、ユーザーのアクティビティや過去の取引履歴を分析し、パーソナライズされたおすすめ商品を表示する機能を提供しています。

メーカーが直接販売するDtoCマーケティング(Direct-to-Consumer Marketing)

DtoC(Direct-to-Consumer)マーケティングは、製品やサービスのメーカーが直接顧客に対して販売を行うマーケティングです。単なる小売販売ではなく、メーカーとして製品の企画、開発から、マーケティング、顧客サービスまでの全プロセスをコントロールし、顧客に対してよりパーソナライズされた体験の提供を意図しています。

1990年代にインターネットが普及し、企業は中間業者を介さずに顧客とコミュニケーションを取って販売することが可能となった時点で、この名称は生まれていたようですが、結果として、小売と販売に特化したダイレクトマーケティング、通販マーケティング、ECマーケティングを基礎として発展しています。

DtoCマーケティングの活用事例

ドクターシーラボ:ドクターシーラボは通販を主体とするスキンケアブランドで、特に敏感肌や悩みを持つ肌向けの製品を開発しています。このブランドは、独自の技術である「アクアコラーゲンゲル」を主力商品としており、単一のスキンケア製品で複数のケアが可能なオールインワンゲルであることが特徴です。これらの製品を自社通販サイトを通じた直販で顧客に提供しており、皮膚科学に基づいたアプローチで高い評価を受けています。

ワービー・パーカー(Warby Parker):ワービー・パーカーは、アイウェア業界でDtoCモデルを成功させた代表例です。彼らはオンラインプラットフォームを通じて、直接顧客に手頃な価格のメガネを提供し、店舗での試着サービスも組み合わせています。このモデルにより、中間マージンを大幅に削減しました。

キャスパー(Casper):キャスパーはマットレスの製造から直販を行う企業で、オンラインでの販売を通じて顧客に直接アプローチしています。顧客が自宅でマットレスを試すことができるトライアル期間を設けることで、購入のハードルを下げています。

ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana):ドルチェ&ガッバーナは高級ファッションブランドとして知られていますが、近年はオンラインストアを通じて直接顧客に商品を提供するDtoC戦略を展開しています。顧客は公式ウェブサイトやアプリを通じて、最新のコレクションを購入することができます。これにより、ブランドは顧客とのダイレクトな関係を築き、商品のライフサイクルを管理することが可能になります。

アシックスのオンラインストア:アシックスは、オンラインストアを通じて自社のスポーツ用品を販売しています。ウェブサイトでは、ランニングシューズ、トレーニングウェア、アクセサリーなどの製品を直接購入できます。

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《西口一希》

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