1-1-25:コンテクストマーケティング、コンテンツマーケティング、THE MODELマーケティング

マーケティングの大前提 114種類のマーケティング
コンテクストマーケティングは、顧客の現在の状況(位置情報や行動データなど)に基づいて、最適なタイミングでパーソナライズされたメッセージを提供する手法です。これにより、顧客エンゲージメントとコンバージョンを向上させます。
1-1-25:コンテクストマーケティング、コンテンツマーケティング、THE MODELマーケティング

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。

本項では、コンテクストマーケティング、コンテンツマーケティング、THE MODELマーケティングを解説します。

コンテクストマーケティング(Contextual Marketing)

コンテクストマーケティングは、顧客の現在の状況や行動、環境に基づいてパーソナライズされたマーケティングメッセージを提供する手法です。顧客のニーズや関心事に即したタイミングで適切な情報を提供し、より効果的な顧客エンゲージメントとコンバージョンを実現します。顧客の行動データ、位置情報、購買履歴、デバイスの使用状況などのコンテクスト情報を活用して、マーケティング活動を最適化します。

リクルート(Recruit):リクルートは、位置情報を活用したコンテクストマーケティングを行っています。スマートフォンアプリ「ホットペッパービューティー」では、ユーザーが特定の地域にいるときに、その地域の美容院やスパの割引クーポンをプッシュ通知で送信します。これにより、ユーザーがその場でサービスを利用しやすくなるよう誘導しています。

日本航空(JAL):日本航空は、顧客のフライト情報と現在地を組み合わせたコンテクストマーケティングを実施しています。顧客が空港に到着した際に、チェックインカウンターの場所やフライトのゲート番号、搭乗までの時間を、スマートフォンアプリを通じてリアルタイムで提供します。さらに、フライトの遅延情報や天候情報も合わせて提供し、顧客の旅行体験をサポートしています。

コンテンツマーケティング (Content Marketing)

コンテンツマーケティングは、有益で関連性の高いコンテンツを提供することによって、ターゲットオーディエンスとの関係を築いてエンゲージメントを促進し、最終的には顧客の行動を促すマーケティングです。直接的な販売を促すのではなく、情報提供や教育、エンターテインメントを通じて顧客との信頼関係を構築します。ブログ、ビデオ、インフォグラフィック、ポッドキャスト、ソーシャルメディアポストなど、多様な形式でコンテンツを展開します。

良品計画:無印良品は、そのシンプルで実用的な商品を通じて、「無印良品の家」や「無印良品のアレンジレシピ」などのライフスタイル全般にわたるアイデアを、ソーシャルメディアで提供・提案しています。これらのコンテンツは、顧客にとって有益な情報を提供し、ブランドの哲学を伝え、顧客とのつながりを深めています。

ソニー(Sony):ソニーは、技術革新に関する詳細な記事や製品開発の裏話、使用方法のビデオガイドなど、多岐にわたるコンテンツを提供しています。これらのコンテンツは、ソニー製品の特長や使い方を顧客に教え、同時に技術への理解を深めさせることを目的としています。自社のウェブサイトや公式ブログ、ソーシャルメディアなどを通じて展開されるこれらの情報は、ファンとの関係強化に寄与しています。

THE MODEL マーケティング (THE MODEL Marketing)

「THE MODEL」は、マーケティングの枠を超えた、営業、カスタマーサクセスに至るまでの一連のプロセスを効率化し、顧客満足度と売上の最大化を図るビジネスモデルですが、BtoB マーケティング、CRM マーケティングに密接に関連するのでマーケティング概念の一つとして解説します。このモデルは、まず、マーケティング部門が、見込み客(リード)の獲得とナーチャリング(育成)を行います。

具体的には、ウェブサイト、SNS、イベント、セミナーなどを通じた潜在顧客の発掘や、コンテンツマーケティングやキャンペーンを通じて自社製品・サービスへの関心を喚起するなどして獲得したリードの情報をCRM に登録し、インサイドセールス部門へ引き渡します。その後、引き継いだリードの育成と案件化をインサイドセールス部門が担当し、案件化したリードの情報でCRM を更新し、商談と契約締結を実行するフィールドセールス部門へ引き渡します。契約締結した顧客に関する情報でCRMを更新し、カスタマーサクセス部門へ引き継ぎ、顧客の製品・サービスの活用支援と継続的な関係構築を担当し、アップセル・クロスセルの提案も行います。

Sansan:Sansan は、クラウド型名刺管理サービスを提供する企業ですが、ニーズの急増に対応するためには営業組織の見直しが必要だと判断しました。主観的な営業手法から組織として再現性のある営業プロセスの確立を目指し、THE MODELを導入しました。まず、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの各部門を設置し分業制を確立し、各部門にKPI設定し役割を明確化しました。案件創出から受注、顧客サポートまでの一連のプロセスを最適化することができました。結果、リード数が導入前と比較して約3倍に増加し、全体の営業効率が向上し、営業プロセスの標準化により、課題の可視化と迅速な改善サイクルを確立したそうです。THE MODELを基盤としつつ、マルチプロダクト戦略を展開し、SalesforceなどのSaaSツールを積極的に活用し、導入後も継続的な改善を行い、マーケティングと営業のさらなる効率化を図っています。

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《西口一希》

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