1-1-40:マネジリアルマーケティング、マルチチャネルマーケティング、4Pマーケティング

マーケティングの大前提 114種類のマーケティング
マネジリアルマーケティングは、経営戦略と直結し、企業の競争優位性を確保することを目的としたマーケティング活動です。市場ニーズに基づき、4P(製品、価格、プロモーション、流通)の要素を総合的に計画・実行します。
1-1-40:マネジリアルマーケティング、マルチチャネルマーケティング、4Pマーケティング

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。

本項では、マネジリアルマーケティング、マルチチャネルマーケティング、4Pマーケティングを解説します。

マネジリアルマーケティング(Managerial Marketing)

マネジリアルマーケティングは、企業の経営戦略と直結したマーケティング活動を指します。これには、MM(Marketing Mix)の4Pにあたる製品の開発、価格設定、プロモーション、流通戦略など、マーケティングの各要素を経営目標に基づいて総合的に計画し、実行することが含まれます。マネジリアルマーケティングは、市場のニーズを理解し、企業の競争優位性を確保するための重要な役割を果たします。

Apple:Appleは、製品開発から販売戦略まで一貫したマーケティング戦略を展開しています。iPhoneやMacBookなどの革新的な製品を常に市場に投入し、デザイン性と機能性を両立させ、高いブランド価値を維持しています。製品の質を高めることで高価格帯での販売を実現し、大規模な製品発表イベントを行い、プロモーションでも成功しています。また、広告やプロモーション動画も洗練されており、ブランドイメージを強化しています

コカ・コーラ(Coca-Cola):コカ・コーラは、グローバル市場でのブランド強化と消費者エンゲージメントに成功している企業で、消費者の嗜好を詳細に分析し、新製品の開発や既存製品の改良を行っています。近年では健康志向の高まりに対応して、低カロリーや無糖の製品ラインを強化しています。プロモーション面では、グローバルな広告キャンペーンを通じて、一貫したブランドメッセージを伝えています。流通戦略では、全世界での強力な流通ネットワークを持ち、どの地域でも製品を安定的に供給しています。

マルチチャネルマーケティング (Multichannel Marketing)

複数の販売チャネルやコミュニケーションチャネルを通じて顧客にアプローチし、製品やサービスの販売を促進するマーケティングです。オンライン(ウェブサイト、ソーシャルメディア、Eメール)とオフライン(店舗、イベント、ダイレクトメール)の両方のチャネルを組み合わせて利用されます。マルチチャネルマーケティングの目的は、顧客が好むチャネルで製品にアクセスできるようにし、購入体験を向上させ、最終的には売上の増加を図ることです。

ファーストリテイリング(FAST RETAILING):ユニクロは、マルチチャネルマーケティングの一環として、購入時の各種サービスを展開しています。顧客は登録住所だけでなく、勤務先、友人宅、宿泊先など、指定した場所での製品の受け取りができます。また、支払い方法も幅広い選択肢を用意しており、オンラインで注文して実店舗で支払いを行うことも可能です。実店舗とオンラインストアを効果的に連携させることで、顧客の生活スタイルに合わせたシームレスな購入体験を提供する、理想的なマーケティング事例です。

セフォラ(Sephora):化粧品や香水を扱うセフォラは、オンラインショッピング、モバイルアプリ、実店舗を含むマーケティングを採用しています。オンラインでのバーチャルメイクアップ試用サービスや、店舗でのパーソナライズされた美容アドバイスが提供され、顧客が様々なチャネルを通じて製品を体験できるようになっています。

4P マーケティング(4P Marketing)

マーケティングプロセスのMM(Marketing Mix)において最も有名なマーケティングです。製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、販売促進(Promotion)の4つの要素から成る、最も基本的なマーケティングフレームワークです。1960年、マーケティング教授のエドモンド・ジェローム・マッカーシー(E. Jerome McCarthy)氏が提唱し、その後、フィリップ・コトラー(Philip Kotler)氏などの学者によって広く普及しました。4要素は、企業が市場で製品やサービスを成功させるために統合的に管理する必要がある重要な領域です。

ファーストリテイリング(FAST RETAILING):製品(Product)は、シンプルで高品質な衣類。価格(Price)は、手頃でわかりやすい価格設定。場所(Place)は、国内外に多数の店舗を展開するほか、オンラインストアも活用。販売促進(Promotion)は、広告、チラシ、オンラインキャンペーン、店内ディスプレイなどを通じて、製品の特徴を強調しています。

日本たばこ産業(JT):製品(Product)は、「メビウス」など多種多様なたばこ製品と加熱式たばこ製品「Ploom」のラインアップ。価格(Price)は、たばこ製品に対する税率に基づいて価格設定。場所(Place)は、日本全国のコンビニエンスストア、専門たばこ店、スーパーマーケット。Ploomは専用のオンラインストアや限定ショップで販売されています。販売促進(Promotion)は、法的規制の範囲内で行われ、製品の特性や新技術を強調する情報が提供されます。オンラインプラットフォームやSNSを活用したデジタルマーケティングが積極的に行われており、サンプル配布や試用キャンペーンが実施されることがあります。

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《西口一希》

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