
主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。
本項では、ホリスティックマーケティング、ホワイトラベルマーケティング、マーケットプレイスマーケティングを解説します。
ホリスティックマーケティング (Holistic Marketing)
ホリスティックマーケティングは、企業全体の統一されたアプローチを通じて、組織のすべての側面を統合してマーケティング活動を展開する考え方です。企業の全部門が互いに連携し、一貫したブランドメッセージを顧客に伝えることを目指します。内部マーケティング(従業員へのマーケティング)、統合マーケティング(広告、販売促進、PRなどの統合)、関係マーケティング(顧客との長期的な関係構築)、社会的責任マーケティング(企業の社会的責任の強調)の4つの主要なコンポーネントに分かれます。
村田製作所:村田製作所は多岐にわたる電子部品から顧客に最適な製品を提案するため、従業員の製品教育を強化し、顧客との関係を深めるマーケティングを展開しています。営業支援システムに顧客の名刺情報を登録し、MA(Marketing Automation)に自動連携することで、ターゲット企業の特定と緻密なコミュニケーションを実現しました。さらに、ターゲット企業の関心が高いコンテンツをウェブサイトで公開し、MAを通してメール配信を行うことで、統合的に顧客との関係を強化し、ビジネスを成長させています。
ニコン(Nicon):ニコンは製品の広告だけでなく、写真教室やワークショップを提供することで顧客との関係を深めています。これにより、顧客がニコン製品を使ってより良い写真を撮るためのスキルを学び、長期的にブランドに対する熱量を高める効果があります。
ホワイトラベルマーケティング (White Label Marketing)
企業が他の製造業者に製造を依頼し、最終的な製品に自社のブランド名を付けて販売するマーケティングです。企業は製品開発や製造プロセスにおける初期投資を省略し、すぐに市場へ製品を供給することができます。ホワイトラベル製品は、特にスタートアップや中小企業にとって、ブランドを速やかに市場に導入し、顧客の要望に迅速に応える手段としてよく活用されます。
コスメティック業界:多くのビューティーブランドが、既存の製品をホワイトラベルとして他のメーカーから購入し、自社のブランディングとパッケージで販売しています。これにより、ブランドは研究開発コストを削減しつつ、独自の化粧品ラインを迅速に市場に投入できます。
食品業界:スーパーマーケットのプライベートブランド商品は、他のメーカーによって製造されますが、スーパーマーケット自身のブランド名で販売されます。例えば、特定のスーパーマーケットチェーンが、製パン業者から製造されたパンを自社のブランド名で販売する場合などがあります。
マーケットプレイスマーケティング (Marketplace Marketing)
オンラインマーケットプレイス内で、製品やサービスを効果的に販売促進して売上を増やす手法です。アマゾン、eBay、楽天、メルカリなどのプラットフォームで、個々の販売者やブランドが目立つために行う、検索エンジン最適化(SEO)、顧客レビューの管理、適切な価格設定、効果的な商品説明や写真、プロモーション活動などが含まれます。
楽天:多くの小売業者が楽天市場を利用して商品を販売しています。これらの業者は、商品ページのSEO、ユーザーレビューの集積、そして楽天スーパーポイントや限定タイムセールを通じて顧客の関心を引きつけています。
アマゾン(Amazon):アマゾンに出品する企業は、アマゾン内で独自のブランドページを設けることができます。これにより、ブランドストーリーを顧客に伝え、製品ラインナップを一元的に展示できます。また、アマゾンの広告プログラムやディールプロモーションを活用して、特定の商品の販売促進を図っています。
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