1-1-19:エリアマーケティング、エクスペリエンシャルマーケティング、O2Oマーケティング

マーケティングの大前提 114種類のマーケティング
エリアマーケティングは、特定の地理的エリアに焦点を当て、その地域の文化やニーズに合わせたマーケティングを行う手法です。地域に密着した活動を通じて、顧客との関係を深め、ブランドの認知度や好感度を高めます。
1-1-19:エリアマーケティング、エクスペリエンシャルマーケティング、O2Oマーケティング

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。

本項では、エリアマーケティング、エクスペリエンシャルマーケティング、O2Oマーケティングを解説します。

エリアマーケティング(Area Marketing)

エリアマーケティングは、特定の地理的なエリアや市場に焦点を当てたマーケティングです。特定の地域の文化、習慣、ニーズ、競合状況を考慮して、その地域に最適化された製品やサービスを提供します。地域に根ざしたマーケティング活動を通じて、顧客との密接な関係を築き、地域コミュニティ内でのブランドの認知度と好感度を高めることが目的です。

具体的には、小規模な地域イベントのスポンサーシップから、限定商品の開発、地域に特化した広告キャンペーンまで、多岐にわたる形で実施されます。特に地域密着型のビジネスや、国内外の異なる地域で異なる顧客層にアプローチする大企業に有効です。

北海道コンサドーレ札幌:Jリーグのサッカーチームである北海道コンサドーレ札幌は、地域密着型のマーケティング活動を積極的に行っています。地元・北海道の祭りやイベントに参加することで地元ファンとの絆を深め、観戦チケットやグッズの販売促進につなげています。また、地元企業とのコラボレーションによる限定商品を販売して、地域経済への貢献とブランド価値の向上を図っています。

タカラトミー:タカラトミーは、地域限定のトミカ(ミニカー)を発売するなど、エリアマーケティングを活用しています。これらの地域限定トミカは、その地域にちなんだデザインや特色を盛り込み、観光客や地元住民からの収集意欲を刺激します。この戦略により、タカラトミーは特定の地域における存在感を高め、地域ごとの顧客ニーズに応える製品を提供しています。

エクスペリエンシャルマーケティング、体験型マーケティング (Experiential Marketing)

エクスペリエンシャルマーケティング、または体験型マーケティングは、顧客に直接的なブランド体験を提供するマーケティングです。製品やサービスに関連した記憶に残る体験を通じて、顧客との強い感情的な結びつきを築き、ブランドへのロイヤリティを高めます。単なる広告や展示にとどまらず、イベントやアクティビティを通じてブランドの価値やメッセージを伝えます。具体的にはポップアップストア、インスタレーション、VR・ARを使用した体験などがあります。

任天堂:Nintendo TOKYOは、任天堂直営の体験型リテールストアで、任天堂の人気ゲームを実際に試すことができ、限定グッズの購入も可能です。人気キャラクターがデザインされたインタラクティブなディスプレイが設置され、来店者に独特の体験を提供しています。このような体験の提供で、任天堂はファンとのエンゲージメントを深め、ブランドへの愛着を育んでいます。

ソニー(Sony):ソニーの「Ginza Sony Park」は、建設前に一時的なイベントスペースとして設計され、来場者がソニーの最新技術や製品を体験できる場として使われました。音楽、映像、インタラクティブアート、テクノロジーショーケースが組み合わさったイベントが定期的に開催され、参加者に新たな感覚的な体験を提供しました。ソニーの技術力と創造性を直接体験することで、ブランドへの理解と関心を深める効果があります。

O2Oマーケティング(Online To Offline Marketing)

O2Oマーケティングは、オンラインのリソースやツールを利用してオフラインの顧客行動や購入を促進するマーケティングです。オンライン広告、Eメールキャンペーン、ソーシャルメディアなどを通じて顧客を引きつけ、実店舗での購入やサービス利用に結びつけます。

具体的には、オンラインでのクーポン配布や特別オファーを提示し、顧客を物理的な店舗へ誘導します。 オンラインで収集した顧客データを活用して、ターゲティングを最適化し、よりパーソナライズされたオファーを提供します。

セブン-イレブン:セブン-イレブンは、オンラインアプリと店舗を組み合わせたO2Oマーケティングを展開しています。セブン-イレブンのアプリでは、オンラインで限定クーポンを提供し、それを店舗での購入時に利用できるようにしています。また、アプリを通じて新商品情報を発信し、顧客を店舗に誘導しています。この施策は、リピート顧客を増やすと同時に、デジタルと物理的な店舗の間の流動性を高めています。

ファーストリテイリング(FAST RETAILING):ユニクロは、オンラインで製品を予約し、最寄りの店舗で受け取ることができる「ORDER&PICK」サービスを提供しています。このサービスは、顧客がオンラインで製品を確認し、実店舗で直接製品を試着・購入する動機を与えます。さらに、店舗での特別プロモーションやイベント情報をオンラインで告知し、顧客の来店を促進しています。

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《西口一希》

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