1-1-17:インダイレクトマーケティング、インバウンドマーケティング、インフルエンサーマーケティング

マーケティングの大前提 114種類のマーケティング
インダイレクトマーケティングは、間接的にブランドや製品の認知度を高め、顧客との関係を築く手法です。コンテンツマーケティングやSNSなどを活用し、顧客を自然に引き寄せることで、長期的な信頼関係を築きます。
1-1-17:インダイレクトマーケティング、インバウンドマーケティング、インフルエンサーマーケティング

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。

本項では、インダイレクトマーケティング、インバウンドマーケティング、インフルエンサーマーケティングを解説します。

インダイレクトマーケティング (Indirect Marketing)

インダイレクトマーケティングは、直接的な販売促進や広告ではなく、潜在的な顧客に対して間接的にアプローチするマーケティングです。具体的には、コンテンツマーケティング、SEO(検索エンジン最適化)、PR(パブリックリレーションズ)、ソーシャルメディア活動、ブランドパートナーシップなどを利用してブランドや製品の認知を高め、顧客との関係を築きます。これにより、顧客がブランドに自然に引き寄せられるような環境を作り、広告に対する抵抗感がある顧客にも効果的にリーチし、ブランドの信頼性を長期的に構築できます。

さらに、顧客が自発的に情報を求め、ブランドとの関係を深める過程で、より強いロイヤリティが生まれる可能性があります。

ゴープロ(GoPro):ゴープロは、顧客が撮影したアクションカメラの映像を利用したインダイレクトマーケティングを行っています。顧客が自らの冒険や活動の映像をソーシャルメディアで共有することを奨励し、それが自然な製品宣伝となっています。顧客が実際の製品使用例を示すことで、他の潜在顧客の購買意欲を刺激します。ゴープロはこれをサポートするために、映像共有コンテストやソーシャルメディアキャンペーンを定期的に実施しています。

イケア(IKEA):イケアは、インテリアデザインのアイデアやライフスタイル提案を中心にしたコンテンツを通じて、インダイレクトマーケティングを行っています。彼らのウェブサイトやカタログは、家具のみでなくそれらを使った生活スタイルを提案しており、顧客に自宅での再現を促しています。また、イケアの店舗設計自体が一種のインダイレクトマーケティングツールとなっており、顧客が店内を巡るルートは、自然と製品を体験できるよう工夫されています。

インバウンドマーケティング (Inbound Marketing)

インバウンドマーケティングは、顧客が自発的にブランドのコンテンツやサービスに興味を持ち、自然に接近してくるように設計されたマーケティングです。プッシュ型のアウトバウンドマーケティングと対をなします。

有益で関連性の高いコンテンツを提供することで潜在顧客の関心を引き、顧客自身からのアクションを促します。主な手法には、SEO(検索エンジン最適化)、コンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティング、ブログ投稿、ウェビナー(オンラインセミナー)などがあります。ブランドに対する信頼と権威を築き、最終的には顧客として獲得することを目指します。

ハブスポット(HubSpot):ハブスポットは、インバウンドマーケティングのソフトウェアを提供する企業ですが、同社自体もインバウンドマーケティングを実践しています。顧客に対して豊富な教育資料、ブログ記事、無料ツール、ウェビナーを提供しており、これらのコンテンツが検索エンジンで高くランクされるようSEOを最適化しています。これにより、潜在顧客は自然とハブスポットのウェブサイトに誘導され、リードとして獲得されます。

ファーストリテイリング(FAST RETAILING):ユニクロは、ソーシャルメディアで、スタイリングのアイデアや製品の背後にあるストーリー、環境に優しい取り組みといった顧客が価値を感じるコンテンツを提供しています。これにより、顧客はユニクロのウェブサイトに自然と引き寄せられ、製品に対する関心が高まると同時に、購入につながる情報も手に入れることができます。

インフルエンサーマーケティング (Influencer Marketing)

インフルエンサーマーケティングは、影響力のある人物(インフルエンサー)を活用して商品やサービスを宣伝するマーケティングです。インフルエンサーは、ソーシャルメディアやブログなどで大きなフォロワーを持つ個人であり、彼らが製品やサービスを推奨することで、その信頼性と魅力を高め、広範囲の視聴者にリーチすることが可能です。

ターゲットとする視聴者(オーディエンス)との関係が構築されやすく、伝統的な広告よりも信頼性が高いとされることもあります。

大塚製薬:ポカリスエットは、インフルエンサーマーケティングを利用して若者層の関心を引くキャンペーンを数多く実施しています。特に、夏季のスポーツイベントや音楽フェスティバルなどで活動する若手アスリートやアーティストとコラボレーションし、InstagramやXなどのソーシャルメディアで製品の特長を紹介しています。これらのインフルエンサーは自然な形でポカリスエットを取り入れる様子を共有し、フォロワーに製品を推薦します。

資生堂(SHISEIDO):資生堂は、化粧品とスキンケア製品のプロモーションにインフルエンサーを積極的に利用しています。美容ブロガーやメイクアップアーティスト、さらにはファッション関連のインフルエンサーを起用し、新商品のデモンストレーションや特定の製品を使用したビフォー・アフターの効果を示すコンテンツを提供しています。これにより、資生堂製品の使用感や見た目の変化をリアルタイムでフォロワーに伝えることができます。

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《西口一希》

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