

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。
本項では、ステルスマーケティング、スポーツマーケティング、展示会マーケティングを解説します。
ステルスマーケティング(Stealth Marketing)
顧客にマーケティング活動であると意識させずに、製品やサービスを宣伝する手法です。公然とした広告やプロモーションが顧客に敬遠される場合や、商品のバズ(口コミ)を生成したいブランドが活用します。商品を自然な環境や会話に巧妙に組み込むことで、顧客の興味を引き、警戒心を抑えます。しかし、顧客がマーケティング活動と知らずに製品に引き込まれるため、倫理的な問題や信頼性の損失を引き起こすリスクもあり、現在では広告表記のない宣伝は法律で規制されています。
写真撮影を依頼する事例:過去に、ある携帯電話ブランドはカメラ付き携帯電話のプロモーションとして、俳優を雇い、通行人に「写真を撮ってもらえませんか」と頼むキャンペーンを行いました。このアプローチでは、製品が自然な形で顧客に紹介され、直接的な広告とは異なる形で製品への興味を喚起しました。現在では、広告表示を伴わない形で実行されると違法行為となります。
偽のニュースサイトを用いた事例:ある映画のプロモーションで、映画のテーマに関連した偽のニュースサイトの作成が行われることがありました。これにより、顧客は映画の存在を知る前に関連する話題に興味を持つことが多く、興味を持った結果として映画を観ることになります。しかしこれも、広告表示を伴わない形で実行されると違法行為となります。
スポーツマーケティング (Sports Marketing)
スポーツマーケティングは、スポーツ関連の製品やサービスの宣伝・販売に加え、スポーツイベントを利用した非スポーツ関連の製品のプロモーションも含むマーケティングです。スポーツの魅力と広いファン層を活用して、ブランドの露出を高め、顧客との強い感情的結びつきを築くことを目指します。アスリートとの専属契約、スポーツイベントのスポンサーシップ、スポーツチームやリーグとのパートナーシップなど、多岐にわたる活動があります。
アディダス(adidas):アディダスは、多くのスポーツチームやアスリートと提携しています。特にサッカー分野で顕著で、日本代表や世界中のクラブチームに出資しています。これらのスポンサーシップを通じて、ブランドイメージの向上と製品の露出を図り、スポーツウェア市場での地位を確固たるものにしています。また、アスリートとのコラボレーションを通じて限定スニーカーやスポーツウェアを発売し、ファンとのエンゲージメントを強化しています。
コカ・コーラ(Coca-Cola):日本コカ・コーラは、大規模なスポーツイベントのスポンサーとして知られています。特に2020年東京オリンピックでは、大会全体のオフィシャルパートナーをコカ・コーラが担う傍ら、日本コカ・コーラは日本国内のスポンサーとしてアクティブな役割を果たしました。イベント期間中のマーケティング活動では、限定製品の販売や特別なキャンペーンを展開し、視聴者に広くアプローチしました。これにより、ブランドの親しみやすさを高め、顧客との関係強化を図っています。
展示会マーケティング (Exhibition Marketing)
展示会マーケティングは、企業が直接的な顧客との対話を通じてビジネスの機会を拡大するために、展示会や見本市に参加するマーケティングです。実際に製品を展示し、デモンストレーションを行うことで、来場者に製品の特徴や利点を直接理解してもらい、リード獲得やブランド認知の向上、顧客とのリレーションシップ構築を目指します。
自動車産業の国際モーターショー:自動車メーカーが新しいモデルや技術を展示する国際モーターショーは、展示会マーケティングの一例です。ここでは、最新の車や革新的な自動車技術が展示され、記者や業界関係者、一般顧客に向けて直接説明が行われます。このようなイベントはメディアの注目を集めやすく、ブランドのイメージを強化する効果もあります。
CES(Consumer Electronics Show): 毎年ラスベガスで開催されるCESは、顧客向け電子製品の展示会であり、世界中のテクノロジー企業が最新の製品を披露します。参加企業は新製品のデモンストレーションを行い、取引先や顧客からのフィードバックを得ることができます。また、新技術のトレンドを把握し、業界内でのネットワーキングを深める場ともなっています。
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