

主要12分野・24種のマーケティングに続いて、残り89種のマーケティング手法を事例とともに解説しています。
本項では、ウェザーマーケティング、エコシステムマーケティング、SMSマーケティングを解説します。
ウェザーマーケティング(Weather Marketing)
ウェザーマーケティングは、気象条件や天候変動をデータとして利用し、それに基づいて施策内容を変えるマーケティングです。気象データを活用して、天候に左右される製品やサービスの宣伝をタイミング良く行うことで、顧客の購買行動を効果的に促します。
天候に応じたマーケティングの例としては、気温が急激に下がる予報が出たときには暖房器具や冬服のプロモーションを強化する、雨が降りそうな日には傘やレインコートの広告を出す、などがあります。天候という外部環境を利用し、顧客の即時のニーズに応じたマーケティングが可能なため、より高いROI(投資対効果)を期待できるのが特徴です。
セブン-イレブン:セブン-イレブンでは、共通のシステム上で気温や天気予報を閲覧でき、それに基づいて、店頭の陳列を変えています。厳しい暑さが予
測される場合、冷たい飲料やアイスクリーム、防暑製品などの売り場を前面に出し、逆に寒い日には温かい飲料やホット食品、防寒製品の販売などを強化します。これにより、顧客の即時のニーズに応え、売上増加を見込みます。
花王:花王は、天候情報を活用してスキンケアやヘアケア製品のマーケティングを実践しています。肌が乾燥する季節には、保湿クリームやリップクリームの広告を増やし、梅雨時には高湿度による肌トラブルやヘアスタイルの崩れをケアする製品のプロモーションを行っています。また、UVケア製品は日差しの強い日の予報に合わせて広告を強化し、顧客の購買意欲の向上を図っています。
エコシステム マーケティング (Ecosystem Marketing)
エコシステムマーケティングは、製品やサービスだけでなく、それらを取り巻く広範な関連サービスや製品群を統合し、顧客に一貫した体験を提供するマーケティングです。顧客がブランドの「エコシステム」内で複数の製品やサービスを利用することによって、得られる価値を最大化することに焦点を当てています。例えば、スマートフォン、アプリ、クラウドサービス、サポートサービスなどを連携させ、一つの連続したユーザー体験を提供します。
目的は顧客ロイヤルティの向上、製品間でのクロスセルやアップセルの機会の増加、そして顧客体験の向上にあります。ブランドのエコシステム内で提供される製品やサービスが相互に補完し合うことで、顧客は一貫性のある価値を感じ、競合他社に移行するハードルが高まり、離反しにくくなります。
ソニー(Sony):ソニーはエンターテインメントからエレクトロニクスまで幅広い製品を提供しており、それらを統合するエコシステムを構築しています。例えば、PlayStationはゲームコンソールとしてゲームを楽しめるだけでなく、映画、音楽、バーチャルリアリティ体験など、様々なデジタルエンターテインメントコンテンツと統合されています。また、カメラやオーディオ製品はクラウドストレージや画像編集ソフトウェアと連携し、ユーザーに付加価値を提案します。
楽天:楽天は、ECから金融サービス、通信サービスに至るまで多岐にわたる事業を展開し、顧客に一貫したエコシステムを提供しています。例えば楽天市場でのショッピング、楽天カードでの決済、楽天モバイルでの通信サービスなどが共通のポイントシステムで連携しており、顧客は楽天のエコシステム内で様々なサービスを利用するほどポイントを貯められ、特典の享受なども可能になっています。
SMSマーケティング(SMS Marketing)
SMSマーケティングは、ショートメッセージサービス(SMS)を利用して、プロモーションメッセージやアップデート、特別オファーなどを直接顧客の携帯電話に送信するマーケティングです。即時性と高い開封率を生かして、タイムリーかつ効果的なコミュニケーションを顧客に提供することが可能です。
SMSはほぼリアルタイムで顧客に届けることができ、緊急の通知や限定オファーの告知に適しています。例えばEメールなどの他のフォーマットに比べて開封率が高いため、メッセージの見逃しを大幅に減らすことができます。
ジャパネットたかた:大手通販会社のジャパネットたかたでは、顧客とのコミュニケーション手段の1つとしてSMSを活用しています。例えば、商品の注文受付完了の通知や、発送状況のお知らせなどをSMSで送信しています。電話がつながりにくい顧客や、メールをあまり確認しない顧客に対しても、重要な情報を確実に届けやすくなります。また、セール情報や特別キャンペーンの案内などをSMSで配信することもあります。
NTTドコモ:ドコモは、携帯電話サービスのプロモーションや顧客サポートにSMSを広く利用しています。新プランの案内、料金の変更、緊急時の通知など、様々な情報を顧客に直接届ける手段としてSMSを採用しています。これにより、顧客が重要な情報を見逃すことなく、ドコモのサービスをより便利に利用できるよう促しています。
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