1-1-4:分野3:インターネット マーケティング(Internet Marketing)/デジタル マーケティング(Digital Marketing) ー マスメディア以外での自由度の高い顧客コミュニケーションを可能にする

マーケティングの大前提 112種類のマーケティング
インターネットマーケティングは、1990年代後半に始まったEメールやオンライン広告を通じたマーケティング手法です。2000年代にデジタルマーケティングへ進化。SNSの登場やスマートフォン普及により、企業はパーソナライズや直接的なコミュニケーションを強化しています。
1-1-4:分野3:インターネット マーケティング(Internet Marketing)/デジタル マーケティング(Digital Marketing) ー マスメディア以外での自由度の高い顧客コミュニケーションを可能にする

Eメールやオンライン広告を活用したインターネットマーケティング

インターネットマーケティングとデジタルマーケティングは、現在では区別して語られることは少ないですが、ここではインターネットが広がったころに使われ始めたオンラインでのアプローチを「インターネットマーケティング」として区別しています。

デジタルマーケティングの概念が広く認知される前、1990年代は、オンラインでのマーケティングは主にインターネットを活用して顧客にアプローチする方法に限定され、インターネットマーケティングと呼ばれていました。SNSやスマートフォンは登場しておらず、主にパソコンの使用を前提としたウェブサイト、Eメール、オンライン広告(特にバナー広告)などに焦点を当てていました。目的は、オンラインでのブランド認知度の向上やトラフィックの増加でした。

90年代後半から2000年代初頭にかけて、多くの企業が自社のウェブサイトを立ち上げました。企業はウェブサイトを使って製品情報や会社情報、お問い合わせフォームなどを提供するようになりました。ほかにもプロモーションの一環として、例えばメーカーが製品カタログをオンラインで提供し、顧客がそのカタログを通して製品仕様などを確認し、注文する流れを整えました。

インターネットマーケティングの主な手法には、Eメールマーケティングやオンライン広告などがあります。Eメールマーケティングは、企業が顧客のEメールアドレスを収集し、定期的にニュースレターや特別オファーを送信するもので、広く採用されました。オンライン広告は、インターネットマーケティングの初期段階で広く利用されていました。特にバナー広告は、他のウェブサイトに表示され、クリックすることで広告主のサイトに誘導するために広く使われるようになりました。

これらの活用から見て取れるように、SNSやスマートフォンの登場以前のデジタルマーケティングは、比較的シンプルで直接的な手法に依存しており、オンラインのプラットフォームを通じて顧客と直接的にコミュニケーションを取ることに焦点を当てていました。また、この時期に、GoogleやYahoo!などの検索エンジンが登場し、SEO(検索エンジン最適化)やSEM(検索エンジンマーケティング)が発展しました。

インターネットマーケティングの活用事例

書店のEメール活用:ある書店は、顧客データベースを活用して顧客を購買履歴や興味に基づいてセグメント化し、各セグメントに対してパーソナライズされたEメールを送信します。例えば、新刊愛好者には最新のベストセラー情報を提供し、特定ジャンルのファンにはそのジャンルの新刊情報やレビューを提供します。

旅行代理店のバナー広告活用:ある旅行代理店は、ターゲティング技術を利用して特定の顧客層に対してバナー広告を配信します。また、季節ごとのキャンペーンや特別オファーをバナー広告で宣伝します。例えば、夏休みキャンペーンや年末年始キャンペーン、期間限定ディスカウントなどの告知があります。

急速に発展したデジタルマーケティング

デジタルマーケティングは、Googleを中心とした検索エンジンの進化、SNSの登場、スマートフォンの普及、そしてデジタルデータの活用に応じて活用範囲が急速に広がり、影響力も増大しています。

2000年代初頭に、Facebook、Twitter(現X)などのソーシャルネットワーキングサービスが登場しました。これにより、企業は顧客と直接的に対話する新たなプラットフォームを得ることができ、ブランドの人格化やコミュニティ形成が以前よりずっと容易になりました。SNSはターゲットオーディエンスに対して、より細かいセグメンテーションを実施し、パーソナライズされたコンテンツを提供する場となりました。

2007年のiPhone登場を皮切りに、スマートフォンが急速に普及しました。これにより、モバイルマーケティングが台頭し、アプリを通じたマーケティングや位置情報を活用した広告が可能になりました。また、スマートフォンの普及は、顧客のオンラインでの振る舞いを24時間365日追跡可能にし、オンラインとオフラインの境界が曖昧になりました。

このような変化に対応し、インターネットマーケティングの対象範囲は大きく広がり、デジタルマーケティングと呼ばれるようになりました。デジタルマーケティングは、ソーシャルメディア、Eメール、ウェブサイト、検索エンジンなど多様なデジタルチャネルを利用してターゲットオーディエンスにリーチし、エンゲージメントを促進します。マーケティングの種類としては「ソーシャルメディアマーケティング」「検索エンジン最適化 (SEO)」「Eメールマーケティング」などが含まれ、リアルタイムでのデータ収集と分析を可能にし、よりパーソナライズされたアプローチを実現します。

現在では特に、分野4、5、6、7の個別のマーケティング概念と統合的に運用され、どのような事業においても活用可能なマーケティングです。

デジタル マーケティングの活用事例

ナイキ(Nike):Nikeはデジタルマーケティング戦略の一環として、「Nike Training Club」アプリと「Nike Run Club」を運営しています。これらのアプリでは、ユーザーにパーソナライズされたトレーニングプログラムを提供し、ユーザーのフィットネスデータを収集します。さらに、Nikeはこのデータを基に顧客の好みや行動を分析し、ターゲット広告や製品のレコメンドをカスタマイズします。このアプローチにより、Nikeは顧客との関係を強化し、売上を増加させると同時にブランドロイヤリティを高めています。

ユニクロ (UNIQLO):ユニクロはソーシャルメディアプラットフォームを活用して、新商品の紹介やキャンペーン情報を共有しています。特にInstagramやXを使い、ファッションアイテムのスタイリング例や、ユーザー生成コンテンツとして顧客が実際に商品を着用している写真をフィーチャーすることで、リアルタイムでのエンゲージメントを促進しています。また、デジタル広告を用いてセールや特別イベントを積極的に宣伝し、オンライントラフィックの増加を図っています。

ソニー(SONY): ソニーでは、デジタル広告とコンテンツマーケティングを融合させた戦略を展開しています。YouTubeを活用した製品紹介ビデオでは、新しいガジェットやエレクトロニクスの特長を詳しく説明し、視聴者が製品の利点を理解できるよう促しています。ソーシャルメディアでは、製品の使用例を示すことで製品への関心を高め、実際の使用感やユーザーの声を前面に出して信頼性を築いています。

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《西口一希》

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