
「N1分析」を事業担当者や責任者が行うべき理由
担当者だけで「N1分析」を行っても、なかなか会社全体の動きにつながらないことがあります。
とくにマーケティング責任者、事業責任者、経営責任者が顧客のことを深く知ろうとしていないというケースでは、せっかく行った「N1分析」の結果も施策実行の段階でつまずきかねません。
「N1分析」は、顧客に対する訴求や打ち手を最も広く考え実行できる人、あるいは最も自社のプロダクトを理解している人が担当すべきです。社長や事業責任者は本来、その立ち位置にいます。
問題意識と施策についての仮説を多く持っている人が行うことで、顧客についての「新しい発見」があった際に、迅速に具体的な施策を提案し、反応を見ることができます。
逆に、「N1分析」の結果、新しいアイデアが出てきても打ち手の判断(できる/できない)をする人がいなければ、なかなか先に進めません。
それは、前出のケーススタディの例を見ても明らかでしょう。たとえば、アサヒビールの「未来のレモンサワー」も、松山社長自らが関わっていたからこそ、缶チューハイに生のレモンを入れるなどのこれまでの常識にとらわれないアイデアを追求できたのです。
顧客理解が、組織を貫く「横串」になる
意思決定に関わる人たちが、それぞれが納得できる便益と独自性は何だろうと考えたうえで、どういう提案をするか検討することが重要です。
つまり、事業責任者や経営トップが顧客の理解に努めなければ、事業は成長しにくいということです。顧客の理解を共有していない経営者や事業責任者からすると、どんなに素晴らしいアイデアやヒントを部下や現場が見つけても、それらは、奇抜で、的外れで、非常識にしか見えないので、新しい可能性を否定することになります。
自社が今どんなお客様に、どんな便益と独自性を提供しているから、この売上が成り立っている。そして、それが何パターンあるということを、経営陣も把握しなければいけませんし、開発担当者も営業担当者も理解していなければいけません。
このお客様の理解が、組織を貫く「横串」になります。
よく「うちの会社は縦割り組織で、部門ごとの連携もなくバラバラで……」という話が出ますが、部署間をつなぐものは「顧客理解」であるべきです。どのお客様が会社にとって重要で、そのお客様には何を提供しなければいけないのか、それをみなで共有できていれば、各部門でやることが異なっていても、大きなズレは生じないのです。
パナソニックコネクトでも、実際の部署間をつなぐ横軸は「お客様」であるという話がありましたが、CMOの山口さんもおっしゃっていたように、数年にわたるカルチャー改革やマーケテイング改革で会社全体にお客様と向き合うという意識が浸透していたからこそでしよう。
また、前に触れたように、組織が大きくなると「顧客起点」から外れていく企業が多くなりますが、やはり経営の枠組み全体で「顧客起点」でとらえる必要性があります。
ケーススタディに登場した4社すべてが、「お客様」を真ん中に置くことで新しい価値を生み出し続けています。
「顧客起点」が事業を成長させ、企業を変えていくのです。
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