
具体的なインタビューのステップ
前項の準備を踏まえて、インタビューをどのように進めていくかを説明します。
1.インタビューの「目的」と「仮説」を立てる
事業の状況を踏まえて、「目的」と「仮説」を定めます。たとえば、「ロイヤル顧客を増やすこと」が目的であれば、顧客がロイヤル化するための仮説(ロイヤル化するパターンの仮説案)を整理し、導き出したいアウトプットレベルで、事前に具体的な仮説を複数立てておきます。
2.「仮説」をもとに、特定の顧客の行動と心理を深く掘り下げる
表面的なデータや発言をうのみにせず、特定のロイヤル顧客の行動や心理を多方面の質問から掘り下げていきます。プロダクトやブランドに詳しい担当者がインタビューし、解釈や考察をすることが重要です。
3.新しい「仮説」を考え続けながらインタビューする
インタビューから得た「アイデアのきっかけ」をもとにWHOとWHATを明確にし、さらなる仮説を考えます。より購入してもらうようにするためには、「この人に」「何を提案すれば良いのか」という「戦略仮説」を常に考えながら、インタビュー中に相手に提案を示して検証していくのが理想です。
4.1人にインタビューした後、ブリーフィングやデブリーフィングなどでレビューを行う
「どういう特性(心理と行動)の顧客だったのか」をレビューし合い、「どういう提案をすればもっと買ってもらえるか」を議論します。新たな仮説が出てきた場合は、次回以降のインタビューに反映させます。
アクションにつなげられなければ意味がない
次に「N1インタビュー」のより詳細なやり方を解説していきます。
N1インタビューを行う際に最も重要な点は、インタビューをする相手が現在どのセグメントに属しているお客様なのかを認識したうえで、その顧客に今後どのようになってもらいたいのか、もしくはインタビュー終了時にどんな行動をとって欲しいのかという「目的」を設定することです。
この「目的」を設定していない、あるいは「目的」がぼんやりしている場合はインタビューをしても、「お客様の気持ちを知ることができて、勉強になりました」で終わってしまいます。
しかし「勉強になりました」では、何も変わりません。アクションにつなげられなければ、わざわざN1インタビューを行う意味がないのです。
アクションにつなげられるというのは、仮説を精度高く構築できるようになるということです。N1インタビューの「目的」は人間理解の先にある、「アイデア=事業成長のための具体的な提案内容」を見つけることなのです。
顧客が今どのような状況にいるのか、そしてその顧客に今後どのようになっていただきたいのかを明確にしたうえでインタビューに臨むと、インタビュー中にその目的に向かって自分も自然と引っ張られます。
ロイヤル顧客インタビューにおける2つの目的
既存商品のロイヤル顧客にインタビューをする際、筆者は必ず2つの目的を設定しています。
1つ目の目的は、「ロイヤル顧客を増やすためのアイデアを探る」ことです。
ロイヤル顧客を増やすためには、新規のときにどう見極めをつけたらいいのか、ロイヤルのお客様の体験から再現できるものはないかを検討します。
たとえば、ロイヤルのお客様がはじめて商品を購入したときの状況や行動、感情、気に入った理由などを詳しく聞き出します。
そして、このお客様と似たような新規顧客を増やすためには、どのような考え方や行動や価値観を持っている人が、プロダクトとどのように出会えばロイヤル顧客になりやすいかを見つけ出すという目的を意識しながら、インタビューを進めていきます。
2つ目は、「ロイヤル顧客がずっと使い続けてくださるためのアイデアを探る」ことです。
このお客様に対して、さらにどんな提案をすれば、あるいはどんな経験をしていただければ、ずっと使い続けてくださるのかを考えながら話を聞いていきます。
極端に言えば、ロイヤル顧客が永遠にこのブランドから離れないようにするために、何を言えば、何を体験してもらえばいいのかを探るということです。
ポイントは、なんとなくインタビューをして、なんとなくお客様を理解しようとするのではなく、この人は「このような人だから」「このようなプロダクト」を気に入り、「このような約束」をしたら絶対に買ってくださる、絶対に離れなくなるアイデアとなる便益と独自性を見つけ出すためにインタビューを行っているという目的意識を明確に持つことです。
この人に何を伝えれば購入していただけるのか、購入し続けていただけるのかを見つけ出すという意識を常に頭に置きながら話を聞いていきます。
N1インタビューをしても何も見えてこないとしたら、この目的意識が曖昧になっていると考えられます。
まだ会員登録されていない方へ
会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です