2-4-48:ビジネス停滞の真因を突き止める25の診断質問リスト

顧客起点マーケティング N1分析
事業の停滞原因は顧客像の解像度不足や組織の数字依存にあり、顧客理解や価値訴求の見直しが重要です。
2-4-48:ビジネス停滞の真因を突き止める25の診断質問リスト

経営者や経営幹部の方々から頂くご相談の多くは、「売上が伸び悩んでいる」「施策が響かない」「組織がバラバラだ」という悩みが多いです。しかし、それらの根本的な真因を突き詰めると、驚くほど共通して「そもそも、重要な顧客が見えなくなっている」という事実に突き当たることが多いです。

事業が大きくなり、組織が拡大し、業務が細分化されるにつれ、現場は設定されたKPIの達成に忙殺され、経営層は財務諸表の数字のみで事業を判断するようになります。その結果、顧客は「顔の見える血の通った一人一人」ではなく、「数字の塊(マス)」に置き換わってしまうのです。

そのような相談の中で、よく質問させていただく25問を整理してみました。ビジネスが真に「顧客起点」で回っているか、それとも解像度のない「数字の塊(マス)」で回っているか、どこが見えていないかを浮き彫りにするためのものです。是非、自社ビジネスを振り返る意味でも参考にしていただければと思います。

Ⅰ. 顧客の解像度(WHO):数字の集まりか、顔の見える人間か

「顧客」という言葉を、社員全員が同じ一人の人間として想像できているかを確認します。

1:実在する最も重要なロイヤル顧客、お得意様の名前と顔が浮かびますか?   財務数値や統計上の平均値ではなく、名前のある具体的な一人(N1)を徹底的に理解していることが、全ての起点です。

2:その、お客様の具体的な日常活動(ビジネス)や生活シーン(朝の忙しい時、夜のリラックス時など)を想像できますか? その人の24時間365日の文脈を知っていれば、提案できる価値はいくらでも広がります。

3:その、お客様が、御社のプロダクトに出会う直前、どんなことに困っていたか描写できますか? 顧客自身も言語化できていなかった「潜在ニーズ(インサイト)」を捉えることが最大の競争優位です。

4:競合ではなく御社を選んだ「決定的なきっかけ」をご存知ですか? 購入行動の裏には必ず心理の変化があり、その「きっかけ」が戦略の核になります。

5:優先的に獲得したい顧客ターゲットを、具体的な名前の見える人物像や人格で定義できますか? 「20代女性」というマス思考は本質を見失わせます。実在する特定の個人・クライアントの具体像を起点にする必要があります。

Ⅱ. 提案する価値の定義(WHAT):本質的な便益と独自性か、表面的な訴求か

商品そのものの力(プロダクトアイデア)と、伝え方(コミュニケーションアイデア)が噛み合っているかを確認します。

6:顧客はプロダクトの何を買っていますか?「機能」「体験」「便益」? 便益とは、いろんな機能や特徴ではなく、顧客に起きる具体的な「良いこと」です。それが顧客が対価を払う理由です。

7:御社のプロダクトは、他社には真似できない「独自の役割」「独自性」を持っていますか? 独自性とは「他を選ばない理由」であり、これがない商品は価格競争(コモディティ化)に陥ります。

8:顧客への訴求や営業で、顧客がお金を払うプロダクトの便益と「伝え方」にズレはありませんか? コミュニケーションアイデアはプロダクトアイデアの「従」であり、実態以上の期待を煽れば離反を招きます。

9:販売促進や広告宣伝を一切やめたとしても、商品は売れ続けますか? 顧客にブランディングされた状態とは、記憶化され、カテゴリーエントリーポイントでの想起性高く、購入が習慣化されている状態を指します。

10:「〇〇(便益)といえばコレ」という形で記憶されていますか? ブランディングの目的は、便益と独自性の記憶化であり、顧客の「忘却」を防ぎ、必要な瞬間(カテゴリーエントリーポイント)に、真っ先に「想起」されることです。

Ⅲ. 売上の質:積み上がる利益を生み出す資産か、焼き畑農業か

その売上が、将来の利益を作る「良い売上」か、将来を食いつぶす「悪い売上」かを判別します。

11:売上の伸びは、どれくらいが「新規獲得」からきていますか? 「良い売上」とは継続的な利益に貢献する売上であり、既存客の積み上げが事業を安定させます。

12:「一度きりの客」と「リピーター」の利益の差を把握していますか? 新規獲得コストは既存維持よる遥かに高く、1回きりで離反する顧客は、多くの場合損失を生みます。

13:販売促進、営業、広告宣伝で獲得する新規顧客の中での、ターゲット顧客の割合はどれくらい? プロダクトの具体的な便益と独自性を理解せず、販売促進や営業活動で、目新しさや安さを目的に集まった顧客は、より安い競合へすぐに離反する「悪い売上」になります。

14:営業は、「今月の数字」だけでなく、半年、1年の継続性を意識した営業をしていますか? 目先の売上はすぐに作れますが、利益を伴わない「悪い売上」の短期での最大化は、長期で積み上がらないので自転車操業、利益と労力の摩耗に陥ります。

15:顧客獲得コスト(CAC)を利益ベースで計算した生涯利益(LTV)で回収できていますか? LTV(顧客生涯価値)は継続型ビジネスの最重要指標です。獲得コストをリピート利益で回収する設計が必要です。

Ⅳ. 顧客心理の動き(Dynamics):過去の結果か、未来の予兆か

「売れた/売れない」という結果だけでなく、顧客の「心の動き」を捉えているかを確認します。

16:過去データだけでなく、お客様やクライアントの今後の購入意向や意思を観測していますか? 売上は「過去の結果」ですが、心理状態としての次回購入意向・継続意向は「未来の売上」を示す先行指標です。

17:商品を知っているのに「買わない人」の理由を知っていますか? 「認知・未購買」層、競合顧客層のN1分析には、まだ実現されていない巨大な成長ポテンシャルが眠っています。

18:ロイヤル顧客だったのに「離れてしまった人」のきっかけを知っていますか? 離反の真因を知ることは、プロダクトの重大な欠陥や競合含む市場環境の変化を察知するきっかけになります。

19:離反したお客様が戻ってくることはありますか? その理由は何ですか? 離反復帰のきっかけを探ることで、新たな顧客層を開拓する「アイデア」が見つかります 。

20:お客様は御社の商品を使うことで日常の「習慣」が、どのように変わりましたか? 顧客の生活動線に入り込み、代替不可能な習慣化された「価値」として再評価され続けることが継続性ある将来の売上と利益になります。

Ⅴ. 組織と意思決定(Management):顧客起点か、社内事情か

組織の力学が、顧客を向いているか、上司や株主を向いているかを診断します。

21:社内で意見が割れた時、どうやって決めますか?その際に、お客様の声や事実は使いますか? 属人的なリーダーシップではなく、顧客の声が意思決定の基準となるのがビジネスを支える継続性ある組織です。

22:会議の主語は「我々(売上)」ですか? それとも「お客様(便益)」ですか? 全ての起点を顧客で捉える価値観が組織に浸透しているかが、ビジネスの継続性の鍵を握ります 。

23:各部門が「同じお客様の顔」を思い浮かべて仕事をしていますか? それぞれの定義は一貫してますか? 一貫した「顔の見える顧客」という横串を部門間で通すことで、組織の縦割り(サイロ化)を防ぎ、全部門を一体化させます。

24:悪い報告(顧客からのクレームや顧客の離反)は、トップに早く届きますか? どのようなプロセスで届きますか? 顧客の「否認」のサインこそ、経営が最も早く捉えるべきリスク情報です。このプロセスが長い、もしくは届かない場合は、経営者は顧客も自社プロダクトの現状も見失います。

25:社員は自社プロダクトを個人的に「大切な人」に自信を持って勧められますか? 社員自身が「自分事」として自社プロダクトの価値を本気で信じられているかは、プロダクトの強さを測る最もわかりやすい指標です。

この25問を整理するまでに、実は300問以上の質問から選んだのですが、この25問は、BtoC、BtoBなどの業種業界に関わらず、すぐに取り組むことができるかと思いますので、ぜひ、一度、自社ビジネスや事業に対して、自問自答していただければ、どこに機会や課題がありそうかを見つけていただけるのではと思います。

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《西口一希》

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