2-4-14:「ストラテジーマップ」で現在地を確認する①

顧客起点マーケティング N1分析
顧客戦略(WHOとWHAT)の把握に役立つのが、「ストラテジーマップ」です。ストラテジーマップを常に確認することで、「今、誰に向けて、何をすべきか」が明確になります。
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「ストラテジーマップ」による顧客戦略の実行と循環

前項では、顧客は誰(WHO)か、そしてどのような便益と独自性(WHAT)を提案するかを見出すことが重要だと述べました。

こうした顧客戦略(WHOとWHAT)を把握するときに役立つのが、「ストラテジーマップ」です。マーケティングはもちろん、ビジネスにおいて施策を実行する際には、この「ストラテジーマップ」を常に確認することで「今、誰に向けて、何をしたらいいのか」が明確になります。

具体的には、次の6つのプロセスに分けられます。

1⃣ 顧客と価値を定義 WHOとWHAT(顧客戦略)
2⃣ WHO(潜在客)へ接触し、WHAT(便益と独自性)を提案
3⃣ 新規(初回購入)
4⃣ 価値の再評価(実際の使用体験)
5⃣ 離反の復帰
6⃣ ブランデイング(価値を記号化・強い記憶に)

顧客と価値を定義し、初回購入へつなげる

では、「ストラテジーマップ」の使い方を説明します。本項では、1⃣~3⃣を解説します。

1⃣ 顧客と価値を定義 WHOとWHAT(顧客戦略)

まず、1⃣のようにWHOとWHATを考えることからはじめます。この段階では仮説でも構いません。自分たちのプロダクトの顧客はどういう人で、その人がお金を払ってでも手に入れたいと思っている便益は何でしょうか? ほかの代替品を選ばない独自性は何でしょうか? それらを、「N1分析」などを行いながら言語化するところからスタートします。

これが1種類しかなければ1種類でも構いませんが、ある程度の事業規模になってくると、WHOとWHATは複数のパターンが成立していることも少なくないので、まずはそれらを考察していきます。

2⃣ WHO(潜在客)へ接触し、WHAT(便益と独自性)を提案

次に行うのは、仮に3種類のWHOとWHATの組み合わせがあるとしたら、第1のWHOとWHATと同じような価値を感じてくれている方はどんな人なのかを明らかにすることです。

第1のWHOとWHATと同じような価値を感じてくれている人には、年齢に共通項があるのか、共通の価値観があるのか、あるいは利用しているメディアで区切れるのか、などをはじめとして探っていきます。一般にこれは「ターゲティング」と呼ばれるプロセスです。選定されたターゲット層に対し、便益と独自性(WHAT)を提案することで顧客化することができます。

たとえば、私が携わったスマートニュースのケースで考えてみましょう。第1のお客様たち(WHO)は、いつでもクーポンを利用できる利便性を評価してくださっている人たちかもしれません。

第2のお客様たち(WHO)は、猫好きで、猫チャンネルを頻繁に利用してくださっている人たちかもしれません。

第3のお客様たち(WHO)は、プロ野球の巨人ファンで、球団チャンネルを好んで利用している人たちかもしれません。

これらの方々それぞれに、どのように接触し、リーチするかを考えます。アプローチする方法は店舗やメディア、あるいは著名人を起用した施策などそれぞれのターゲット層(WHO)ごとに考えられます。これらの手段を通じてそれぞれのターゲット層が価値を感じる便益と独自性を提案することで、仮説が正しければ新規顧客を獲得することができます。

3⃣ 新規(初回購入)

3番目は「新規顧客を増やす」です。2番目までの過程でメディアやチャネルの選択、提案の方法を決めたら、それを実行していきます。

たとえば、新規顧客を増やすためにイベントを実施するケースはよくあります。イベントの場合、そこでプロダクトの便益と独自性が伝わらなければ、「イベントをやって盛り上がりました。以上」で終わってしまいます。世の中で言われているマーケティングやプロモーションというのは、だいたいそのような感じです。

「顧客がいっぱい来られて、すごく盛り上がりました」と報告する担当者に、それによって新規顧客の数が増えたのかを聞くと、あまり変化していないということも多いです。それは、WHOとWHATを明確にしないままイベントなどの施策を実行していることが原因です。施策を実行する前に、誰に向けて、どんな価値を訴求するのかをしっかり明らかにしておく必要があります。

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《西口一希》

N1分析