2-4-19:Case Study:株式会社アックスヤマザキ 縮小し続ける市場でお客様のニーズから開発したミシンが異例の大ヒット ー老舗ミシン企業が「N1分析」で成し遂げた大改革とは

顧客起点マーケティング N1分析
老舗ミシンメーカーのアックスヤマザキ。3代目となる山﨑一史社長は、「面倒、難しい、邪魔」というミシンの課題を克服するため、N1分析で顧客起点の製品開発に大転換しました。
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※要約版はこちらです

「面倒、難しい、邪魔」などと言われ、ミシンは縮小市場にある中、長年、業績不振に苦しんでいた老舗ミシンメーカー・アックスヤマザキは、2015年に子ども向けのミシンを開発。発売するやいなや即座に大ヒット商品となりました。これ以後も同社は続々とユニークな製品を生み出し、子育て世代、シニア、さらには男性向けのミシンなど、幅広いニーズに応える革新的な製品開発で業界に新風を吹き込み続けています。

変革のキーパーソンは、3代目社長の山﨑一史氏。

ミシン離れ、市場の縮小、そして自社の業績悪化といった逆風の中で経営を引き継ぎ、窮地を脱するべく新たなアプローチを模索。その結果、「N1分析」をもとに、会社の方針を大きく転換しました。

アックスヤマザキがどのように「N1分析」を活かし、業績を立て直す道を見出したのかをうかがいます。

インタビューイー/山﨑一史(やまざき・かずし)氏

アックスヤマザキ代表取締役。2002年近畿大学商経学部を卒業後、機械工具卸企業に入社。2005年に父(当時社長)から相談を受け、右肩下がりの状況をなんとかすべく、家業である家庭用ミシンメーカー株式会社アックスヤマザキに入社。2015年に3代目として代表取締役に就任。同年、新市場を開拓するため子ども向けに開発した「毛糸ミシンHug」がヒットし、2016年ホビー産業大賞(経済産業大臣賞)、キッズデザイン賞受賞。その後、子育て世代に向けで開発した「子育てにちょうどいいミシン」もヒット、2020年にキッズデザイン賞優秀賞(少子化対策担当大臣賞)、グッドデザイン賞金賞(経済産業大臣賞)、JIDAデザインミュージアムセレクションvol.22と国内デザイン賞の3冠受賞。企業として「大阪活力グランプリ2020特別賞」に選出される。

「ミシンってまだあるの?」から、ミシンの魅力に気づくまで

西口 アックスヤマザキは大阪の老舗ミシンメーカーで、以前、山﨑一史社長の記事を拝読したことがあり、そのときに「経営やマーケティングとは本来こうあるべきじゃないか」と強く感じました。

それはどういうことかと言うと、一般に大手企業のマーケティングで多いのが、マクロである市場全体から入って、それを細分化してニーズを見つけていくという方法です。これはフィリップ・コトラーさんが提唱したセグメンテーションやターゲティング、ポジショニングなどの概念に基づいています。

しかし、成長する大きな市場で大きな資金力や営業力、開発力を持つ企業に限る話で、世の中の多くの企業にあてはまるわけではありません。

そこで、企業規模にかかわらず市場を開拓するには、いわゆる「外れ値」、すなわち標準偏差の分布で言うと普通はニッチだとして無視される部分から兆しを見つけて、そこを広げていくことが重要になってきます。小さなところから広げていくことがポイントで、これは私が大きな事業会社で仕事をしていたときも、今、自分で事業をやっている中でも強く感じていることです。

大事なことは、この外れ値をいかに見つけ出して、それをいかに広げていくか。もちろん市場が広がらない場合もありますが、それでもやはりニッチや外れ値を見つけ出して市場を開拓していくほうが、結果的には投資効率が良くなることが多いのです。

何より大きな市場をマクロで見て分解するだけだと、すでに顕在化している便益(買う理由)は見つかっても、独自性(ほかを選ばない理由)は見つからないことが多々あって、後は資金力で勝負するという流れになりがちです。大企業においてこのアプローチはよく見られるのですが、結果的に投資回収に至らず失敗につながることも多いです。

だからこそ、私は「N1分析」という方法を提唱してきたわけですが、アックスヤマザキはまさに外れ値を見つけて、そこから大きく広げていった結果、大成功された例です。

そこで、アックスヤマザキの山﨑社長にどうやってヒット商品を開発されたのか、いかにヒットの兆しを発見されたのかをうかがいます。

山﨑 私は2005年に弊社に入社して、その後はずっと営業をやってきました。販売先やその延長線上にある会社に営業に行ったときに、「ミシンなんて、もういらんやろう」とか「ミシンってまだあるの?」と存在そのものを否定されることが何度もあったんですね。

そもそも当時の弊社は大手企業のOEM製品(他社ブランドの製品を製造すること)が主力で、ミシン業界の中でも最小規模の会社で、社員数は18人、パートさんを入れても25人に満たないメーカーです。

そうした中で、とにかく「お願い営業」で無理やり発注してもらう営業スタイルで、常に赤字に転落するかどうかという瀬戸際でやってきたのですが、利益率はどんどん悪化していき、私が父から経営を受け継ぐ2015年には1億円に近い赤字に陥りかけました。

ただそれ以前から、あまりにも取引先から相手にされない経験を重ねてきたので、「このままではあかん」という危機感を持っていて、いろいろと勉強しながら打開策を検討していたのです。

あるとき、それまでの弊社の営業は「うちのミシンをお願いします」と、自分たちの要望を伝えるだけだと気づいたのです。 とにかく自分たちの製品を買ってくれるようにお願いするというやり方を続けてきた結果、相手からはまったく必要とされなくなるという状況になっていました。

では、どうしたら相手に振り向いていただけるのかと考えたとき、はじめて外に目を向けるようになりました。

今、業界として何が課題なのか。そもそも、お客さんはなぜミシンをいらないと思っているのか。会社の内側ではなく、外側に視点を向けようと思ったのです。

また、そのときに気づいたのが、それまでの私はミシンの会社の3代目候補として入ってきたにもかかわらず、「ミシンって誰かがやるもんや」というぐらいに、他人事として考えていたのです。そもそも、誰がどんなふうにミシンを使っているのかというイメージも持っていませんでした。

そして、自分の周りに目を向けてみたら、自分も周りの友だちも知り合いも、誰もミシンを持っていません。私は長い間そういうことから目を逸らしてきたけれども、無意識のうちに「きっとミシンなんて誰もやらない」と自分自身で思い込んでいたところがあったわけです。

それに気づいてからは、まず自分の周りの人たちは「なぜミシンを持っていないのか?」ということに目を向けました。最初は自分の生業であるミシンを持っていないことを聞くのが恥ずかしかったのですが、友だちの家に行ったり、知り合いに集まってもらったりして、ミシンについてじっくり話を聞きはじめたのです。

じつは、これまでに何かの集まりで「ミシン屋です」と自己紹介すると、「まだミシンってやっているんですか?」と言われたり、どこで話しても「え、ミシン?」という反応ばかりだったりしたので、自分の周りの人たちにもあまりミシンの話はしてきませんでした。自分の子どもに対しても、相手にされないミシンの会社っていうのはちょっと恥ずかしいなと、胸を張って誇れないところがありました。

ただ、周りの人たちにミシンのことを聞きはじめたら、意外なことに「いや、じつはちょっとミシンをやってみたかった」と言う人がたくさんいたのです。とくに子どものいるママさんたちに集まってもらったときには、「私もミシンやってみたかったの」「そうそう、私も」とみなが言いはじめて、その場が非常に盛り上がりました。

それでミシンについていろいろ聞いていくうちに、多くの人が小学校でミシンを習ったときに難しく感じて嫌になってしまったということがわかりました。

そもそも、従来のミシンは上糸をかけて、下糸をセットして、糸調子を調整してなどと、いつはじめられるのかという感じですよね。テレビならリモコンのスイッチをつければはじまるのに。それはミシンに対して嫌なイメージになるわ、と思ったのです。

それなら、小学校で習う以前の子どもたちはどうなのかと、今度は親子一緒に聞いてみました。 すると、子どもたちは「こんなドレスをつくってみたい」とか「ミシンって魔法みたい」とか、すごく楽しそうな顔で話してくれたのです。

なぜ親と子でこんなにギャップがあるんだろうと考えてみると、やはり小学校の授業でミシンを嫌いになってしまうという分岐点があるわけです。 それなら、嫌いになってしまう前に子どもたちが楽しめるミシンをつくろう。「ごっこ」でもいいから楽しめるものをつくろう。そうしたら、小学校の授業でも得意になって乗り越えるんじゃないかと考え、子ども用のミシンをつくろうと決めたのです。

「自分たちができる発想」から「相手が望むものに応える発想」へ

西口 実在する具体的な人の声を聞く。これはまさに「N1分析」ですね。ただ、アックスヤマザキはそれまでOEMでほかのミシンメーカーのミシンをつくることが多かったわけですよね。そこから子ども用のミシンをつくると最初に言ったとき、社内での反対や、やりたくないという声はありませんでしたか?

山﨑 反対はありました。当時は私が社長になる前で、社長は父親だったのですが、私はワクワクしながら「大逆転戦略」と書いた計画書もつくって、技術者たちの新商品の開発会議で発表したのです。

そうしたら父親が激怒して、書類をバッと投げて部屋から出て行ってしまいまして……。部屋にいた人たちは、みなびっくりして固まっていました。私としては、きっと喜んでもらえると思っていたのに、父親は「会社、潰す気か!」と大逆鱗です。

でも考えてみれば、父にしてみたら今のミシンをなんとかして欲しかったのに、いきなり「子ども用ミシン」なんて突飛なことを言い出したものですから、父が怒るのも無理なかったかもしれません。

自分としては喜んでもらえる提案だと思っていたけれど、それはひとりよがりで、このミシンは世の中に受け入れられるものとは思われなかったわけです。そう思ってもらえなかったのは私の責任ですから、周囲に納得してもらえるように、世間に欲しいと思ってもらえるようなものを早くつくらなくては、と考えました。

子ども用ミシンでは「簡単・安全」というコンセプトをテーマに決めていましたが、実現するのが難しくて、そこからミシンが完成するまでに3年かかりました。

安全性を第一に考えるならプラスチックの針がいいのではないかと思って試作品をつくり、ママさんたちに試してもらったら、「プラスチックの針なんて、ミシンじゃない」とか「プラスチックの針では子どもの教育にもならない」と言われてしまいました。

たとえば子ども用の包丁でも、プラスチックの刃より本物の刃の包丁のほうが売れているそうです。そういうことも教えていただいて、本物の針を使ってこそミシンだと思い至りました。

また、既製品のキットにして、指示通りにつくったら何か製品ができるという構造にすれば、誰でも簡単にできると考えたのですが、それは一度つくったらもう終わりなんです。それもママさんたちに見せたら、あっさり「そんなもん、いらん」と言われてしまって。

これまでは、どうしても自分たちができることをやるという発想になりがちだったのですが、ママさんたちの意見を聞いて、こういうのは求められていないのだと目が覚めました。「相手が何を望んでいるのか」という発想をしなければいけないわけです。

それなら、どうしたら本物の針を安全に使えるか、既製のキットではなく、どうしたら子どもたちが長く楽しめるかということを考えはじめました。

結果的には、針から指を守る透明の「針ガード」を付けて、普通の糸ではなく毛糸を使うようにしました。100円均一のお店に売っている毛糸でも使えますし、どこのお店で売っている生地でも大丈夫です。毛糸を数カ所に引っ掛けてスイッチをオンにするだけで、子どもでも簡単に縫うことができます。

そういうことをやって、はじめて子どもたちが長く楽しめる製品にまでたどり着けました。

山﨑 ここまでに3年かかって。その間は、社内で社長である父も大反対しているし、私自身も当時は何も実績を出していなかったので、社員たちも「子ども用ミシンとか言っているけど、ほんまにこいつは、大丈夫か?」と半信半疑だったと思います。

ただ、中には「鳥肌が立ちました」と言ってくれる技術者もいました。私はまだ周囲をしっかり納得できる状態まで持っていけていなかったけれど、それでも自分のやろうとしていることに意義を感じてくれる人もいたのです。

せっかく学校教育でミシンを使っているにもかかわらず、苦手意識を持ってしまう人が多いという課題を、子ども用ミシンで解決するという夢に賛同してくれるメンバーも、徐々に増えていきました。

ちょうどその時期、このままでは会社が1億円の赤字になるという見込みのときに、父から社長を継ぐことになりました。

途中からは私も覚悟を決めて、社員にも「将来この会社を背負わなければいけない自分がすべて責任を負うから、社会から必要とされていないミシンを開発するのではなく、世の中から必要としていただけるようなミシンをつくるほうに舵を切っていこう」という話をし、ほかの開発はいっさいやめ、子ども用ミシンの開発に集中することにしました。

目標は、娘がクリスマスにサンタさんにお願いしてくれること

西口 いやあ、しびれるお話ですね。当時の山﨑社長のお気持ちを考えると胃が痛くなりますが、それだけ苦労してつくった子ども用ミシンの売れ行きに自信はありましたか?

山﨑 じつは開発の途中で「このミシン、いけるんちゃうか」と手応えを感じはじめていたので、一度、友人の娘さんの通う小学校の同級生たちに声をかけて集まってもらい、試作中のミシンを持ってミシンの体験会をしに行ったんです。

すると、子どもたちがミシンに触り出したと思ったら、すぐに取り合いになるくらい、みんなが夢中になって。取り合いをしている子どもたちを取りなしながら、「これはいける!」と思いましたね。 そんなふうに試作品をつくりつつ、なんとか完成まで持っていき、2015年10月末に「毛糸ミシンHug」として発売したのです。

西口 実際に発売されて、最初の反響はいかがでしたか?

山﨑 はじめて自分で玩具市場を営業して開拓していったのですが、いろいろな会社さんから「おもしろい、おもしろい」と言ってもらえて、どんどん発注が増えていき、最終的には発売から2カ月で初回生産分の2万台が売り切れました。

中には、わざわざ和歌山から大阪にある弊社の本社まで「このミシンが欲しいんだけれど、どこにも売っていないから、どうしてもわけて欲しい」と来られたおじいちゃん、おばあちゃんもいらっしゃいました。

この子ども向けのミシンは大ヒットして売り切れになり、はじめて電話が鳴りやまない状況を体験しました。

ちなみに、私は発売前から売上額以外にある目標を決めていました。 自分の娘が当時4歳だったのですが、その娘から「欲しい」と言われるような製品をつくるという目標です。まさに自分の子どもが「N1」になっていたんですね。

娘に欲しいって言ってもらえるぐらいのものじゃなければ、世の中からは必要とされないと思ったんです。ミシンというものをはじめて自分事としてとらえたとき、「娘がクリスマスにサンタさんにお願いしてくれるかどうか」というのが、1つの目標になったわけです。

でも、当時は娘の中で粘土が流行っていまして、クリスマス前に妻から「今、粘土かミシンかで悩んでいる」という情報を聞いていました。どっちがくるかとドキドキしながら、クリスマスの前の夜、ツリーの横に置いてある手紙に「サンタさんへ。パパのミシンちょうだい」と書いてあって、「やったー!」と。

それで、実際に1人の顧客として購入するため、すぐトイザらスに行って、列に並んで自分で買いました。 子ども用ミシンは、キッズデザイン賞やホビー産業大賞など、はじめてさまざまな賞もいただくことができました。

ミシンの「面倒、難しい、邪魔」をクリアせよ

山﨑 じつは、そこからもさらに話が続いていくのですが、子ども用ミシンを発売してから、子ども向けの体験イベントを頻繁にやりました。

そのようなイベントで、子どもたちが自分でミシンを使ってティッシュケースをつくったりすると、「自分でこんなのつくれた、すごい!」と感動してめちゃくちゃ喜んでもらえて、その横を見ると、お母さんたちもすごく喜んでいるんですね。そして、子どもに「すごいわね」と声をかけるだけでなく、多くのお母さんが「これ、私もやってみたいわ」と言っているわけです。

そこで、そういうお母さんに「ミシン、持ってはるんですか?」と聞いてみると、たいていは「持っていない」と答えます。その理由が、ミシンは大き過ぎて邪魔だとか、操作が難しいとか、片づけが面倒くさいとか、誰に聞いても同じような答えが返ってきます。 さらにいろいろ聞いてみると、「でも、ちょっとやってみたいと思っている」と言いながらも、また同じ躊躇する理由が出てきます。

結局、ミシンには「面倒、難しい、邪魔」という三大問題があって、それが大きな壁になっているわけです。

そのような話を聞いていて、これだけ純粋にやりたいと思っているお母さんたちがいるなら、その三大問題をクリアできるミシンをつくれば、きっと振り向いてもらえるんじゃないかと思ったのです。そうして開発をはじめたのが「子育てにちょうどいいミシン」です。

「ミシンは難しい」という課題を解決するために、スマホで動画を見ながらできるようにしました。入園や入学するお子さんがいる方がターゲットだったので、通学用のバッグや上履き入れ、防災ずきんなどの入園・入学グッズのつくり方を動画で解説したのです。

もちろん操作もシンプルにしていますし、出し入れも面倒ではありません。ミシンを使うのがはじめての方でも、スマホの動画を見れば簡単に使い方がわかるので、誰でもすぐ使いこなせるようになります。

さらに、ミシンの形状については、以前、友人にこんなふうに言われたことがヒントになりました。 「いや、ちょっと言いにくかったんだけど、うちの嫁さん、ママ友が来たらミシン隠してんねん」 どういうことかと聞くと、今までのミシンはママ友が家に来たときに見せたい部類には入らないというんですね。オシャレではないと。

それなら、ママ友が来たときにも見せたくなるミシンにしよう、今までのミシンの概念を覆すくらいオシャレなデザインにして、大きさも本棚に入るくらいコンパクトにすると決めました。

こうして2020年3月に「子育てにちょうどいいミシン」を発売しました。その時期はコロナ禍で、ちょうどマスクが不足している時期で、みなさんのお役に立てるのではないかと思って、布マスクのつくり方の動画もアップしたら、それも爆発的なヒットにつながりました。マスクを簡単につくりたいというニーズをつかんだのです。

山﨑 おかげさまで、発売後の1カ月間で五大新聞の全紙に「子育てにちょうどいいミシン」の記事が掲載されました。また、今まで売れなかった弊社のミシンが「ミシンランキング」で1位になり、初回発売から4年以上経った今でもずっと1位をキープしています。

MoMAから「航空便で早く送って欲しい」とせっつかれるミシン

西口 素晴らしいですね。売上的にはどのくらいの成果があったのでしょうか?

山﨑 2015年時点では1億円の赤字見込みだったのが、子ども用の「毛糸ミシンHug」で大幅に縮小し、翌2016年には黒字に回復しました。

その後、2019年には売上4億円で営業利益2000万円だった業績が、2020年の「子育てにちょうどいいミシン」の発売で売上10億円になり、営業利益は2億5000万円と、弊社では過去最高益になりました。

この「子育てにちょうどいいミシン」は、国内でもグッドデザイン金賞や家電大賞のほかにもいろいろな賞をいただきました。海外でもニューヨークADC金賞、ドイツや中国などのデザイン賞を受賞しています。

そう言えば、このミシンは2020年から卸での販売をやめて直販ルートだけにしたのですが、ニューヨークや日本各地にあるMoMAのデザインストアでも取り扱いをはじめたところ、非常に売れ行きが良く、じつは直販で最も売れているんです。

とくにニューヨークのMoMAのデザインストアではアメリカ仕様の「子育てにちょうどいいミシン」がすぐに売り切れてしまって、先方の担当者もびっくりしているそうです。デザインストアで一番売れているので、とにかく航空便で早く送って欲しい、とせっつかれているくらいです。

ミシンは脳トレにも効く

山﨑 この「子育てにちょうどいいミシン」を出した後、今度はシニア層向けの製品開発をはじめました。

それまでに、ご年配の方たちからは、視力が弱くなって細かい針先が見えにくいとか、重いものが持てないという声が出ていました。

そこで、デイサービスに通って、「みなさん、最近ミシンやっていますか?」と聞いて回ると、やはり機能が複雑なのは苦手だとか、ミシンは重くて無理だとか、視力が弱くなって糸かけができないとか、やはりミシンに対する課題がいろいろ出てきましたので、そうした課題をクリアするミシンとして「孫につくる、わたしにやさしいミシン」を開発しました。

針穴が大きく見える特殊な鏡を付けたり、針穴の糸通しがラクになる機構にしたり、スピードを低速にしたり、軽量にしたりするなど、さまざまな工夫をしています。

山﨑 また、脳トレの第一人者である川島隆太先生に実験を依頼したところ、ミシンを使うと脳の背外側前頭前野が活性化することがわかりました。

つまり、脳トレにいいということですから、脳を鍛えたい方にもミシンはおすすめです。このミシンも、1年で1万台売れました。

普段ミシンをやらない方に、どうやったら振り向いてもらえるか

山﨑 子ども向け、子育て世代向け、シニア層向けと来て、その次につくったのが、2022年の秋に出した男性向けミシン「TOKYO OTOKOミシン」です。ボディも、真っ黒な鉄製にして、バイクのハーレーダビッドソンのようなイメージにしています。

これは普通のミシンとは違って、レザーやデニム生地、帆布、アウトドア用品用の生地も縫えるような、こだわりの強いミシンなんですが、発売すると、初回分が3日で完売しました。その後は数ヵ月待ちでお客様に待っていただいているような状況です。

このミシンはほかのミシンの約4倍の値段なので、正直言って期待はそんなには高く持っていなかったのですが、想定以上に売れて、びっくりしています。かなりの反響で生産が追いつかず、今は弊社の新たなヒット商品になっています。

このミシンはデニムも12枚まとめて縫うことができ、私は自分でジーンズもつくってみました。

西口 この「TOKYO OTOKOミシン」のデザイン、格好いいですね。御社の製品はどれもデザイン性が高いのですが、デザインは全部、御社の中でやられているんですか?

山﨑:デザインは基本的に外注していますが、以前、ミシンに対して他人事だったときは、すべてデザイナーに丸投げという感じで、デザイナーの方に任せておけば格好いいものをつくっていただけるだろうという感じでした。今思うと、自分たちに判断の軸がなかったので、デザインに対するイメージも曖昧なままでした。

それが自分たちでターゲットを絞ってヒアリングをするようになってからは、ヒアリングの際に「ミシンはダサい」とか、さきほどの「お客さんが来たらミシンを隠している」などの衝撃的な言葉や、心を動かされるような言葉を自分たちで聞くようになったことで、デザインもなんとかしたいと本気で思うようになったのです。

ですから、デザインはデザイナーの方に依頼していますが、その際に「これは実際にヒアリングをしたときに、こんなんだったら欲しいって言っていて」などと実際の声をもとに相談しながらデザインを進めるようになっていきました。

たとえば、「子育てにちょうどいいミシン」の色は、光を反射しにくいマットブラックです。高級車で使われているような渋い黒色です。 デザイナーの方に相談する中で、最初は「マットより普通の光沢の黒のほうがいいかもしれない」「そもそも黒じゃないほうがいいのでは?」などという話もあがりました。

そのようなときも、ヒアリングでこんな色のミシンがあったら欲しいという方が何人もいたことをもとに「聞いてみるとマットブラックが支持されたんですよ」と、実際の声が判断軸となりました。

西口 いや、すごいですね。実際にいる誰かに絶対に買っていただけるものを目指してつくるというのは、まさに「顧客起点」です。これをごく自然にやられていると認識したのですが、御社の社内では以前からこうしたやり方をされてきたんですか?

山﨑 いえ、そんなことはありません。弊社では、父の代の頃はOEMの生産が約9割でしたから、ここまでお客様の声を気にすることはありませんでした。父の代のときには、どちらかというとミシンの新機構を開発するとか、競合他社と比べて機能がどう優れているかとか、そういうことばかりを気にしていました。

それが、子どもや子育て世代などとターゲットを絞って、そういう方にどうしたら使ってもらえるかを考えるようになると、競合という発想などはなくなりました。

それよりも、「ミシンを普段やらない方にどうやったら振り向いてもらえるか」ということばかり考えています。

だから、私は基本的に、普段からミシンをやらないんです。それには意味があって、弊社のターゲットとなるお客様はミシンをやらない人なので、私がミシンにどっぷりはまってしまうと、商品に対する発想が変わると思っているからです。

私はミシンを一生やらないと決めていて、まったく覚える気もありません。覚えないから、毎回、新製品ができたら失敗します。「わかりにくい、こんなのいらん」と言って、技術者に突っぱねるのですが、そのやりとりが開発にもつながっていると思います。そのような意味では、私は最初のお客さんなのかもしれないですね。

それもこれも弊社は零細企業で規模も小さいので、もちろん結果的に規模につながればありがたいのですが、最初に考えるのは売上の数字をどうつくるかより、どうしたら人から欲しいと思ってもらえるミシンをつくれるか、なんです。

「TOKYO OTOKOミシン」をつくったときもそうでした。 それまでにも、ブルーシートを縫いたいとか、レザーを縫いたいというご要望を、電話でときどきいただいていたのです。でも、普通の家庭用ミシンでごついものを縫うのは難しいので、ずっとお断りしていました。

ただ、よく考えてみたら私自身はミシンはやりませんが、キャンプやDIYは好きなんです。自分の周りの友だちとも普段からキャンプやDIYのことはよく話しているのに、どうしてそういう人向けのミシンがないんだろう、ブルーシートやレザーを縫いたいと言っている人もいるのに、なぜお役に立てるものがないのかと考えはじめたんです。

そこで、そういう方のお役に立てるミシンをつくろうと考えて、こだわりを持つ男性向けのミシンの開発をスタートしたのです。最初は周りの反応もいまいちで、「そんなん、いらんやろ」という声ばかりでした。

でも、そこで諦めずに、まずは自分で何かしてみようと考えて、安い革を使って自分で名刺入れをつくってみたのです。すると、「え、こんなんつくれるの⁉」と、周りの人たちが少し興味を持ってくれました。

それでもまだ反応の薄い人が多かったので、今度は2万6000円くらいもする高級なコードバン(馬革)の生地を使って、名刺入れをつくってみました。

すごく高い生地なので、失敗したらえらいことになりますけど、この頃になるとだんだんミシンの作業が楽しくなってきたんです。私はもともとミシンができなかったのですが、できない私が、この高い革で名刺入れをつくれるようになったら、すごいんちゃうかと思う気持ちもあって。

そうしたら無事に完成しまして、それを見せたら今まで一歩引いていた人たちも「いや、それやったらこのミシン、見せて欲しいわ!」とか「俺にもつくって欲しい!」と、一気に態度が変わりました。

やはり、相手に完成品を見せてイメージしてもらうことが大事なんですよね。「OTOKOミシン」とか言われてもイメージが湧かないし、単に男性向けのミシンをつくりたいというこちらの想いを語っても、相手には伝わらない。

でも、たとえば料理ができない人でも、北海道の蝦夷あわびとかボタンエビなどのいい素材を見たら、ちょっと焼いてみたいとか、料理してみたいとか思いますよね。それと同じで、相手が興味を持つものを見せたら、イメージが湧いて自分でもやってみたくなるんですよね。

そんなふうに、周囲の人が変化していく様子を見て、「これはいける」と思って挑戦してみたのが「TOKYO OTOKOミシン」なんです。

うまくいくかいかないかは、トップがやりたいと思えるかどうか

西口 たしかにコンセプトを長々と説明するよりも、最終的にできるものを見せられるとイメージが湧いてきて、「それ欲しい!」という人が増えるというのは、よくありますね。

それから、私も投資やコンサルティングの支援をさせていただく中でいろいろな企業の話をうかがっているのですが、うまくいっている会社と、うまくいっていない会社の差って、まさに山﨑社長がおっしゃっていたことなんです。

個別の名前も顔も見える誰かが欲しいと言っているものを拾い上げて、それを広げていっている会社はうまくいっているけれども、最初から売上だけを狙いにいって、顔も名前もわからない「顧客」とか「客」っていう言葉を使っている会社は、苦労されているんですね。

今はマーケットが縮小して価格競争に巻き込まれて苦労されている会社も多いですが、そういう会社に山﨑社長から何かアドバイスはありますか?

山﨑 自分が言うのもおこがましいと思うのですが、実際の経験から言わせていただくと、自分でヒアリングをしたり、人の意見を聞いたりする以前は、やはりどこか他人事で、僕自身の中に「軸」がまったくありませんでした。

そんな状態では、社員や会社を背負って「これで勝負する」と舵を切ることもできませんでしたし、むしろ他人事のままの自分がそれをしても、途中で迷ってしまうと思うんですね。

でも、ターゲットを絞って、どうやったらその人たちに振り向いてもらえるのか、今はなぜ振り向いてもらえないのかということを聞いていくうちに、その過程で出てきた誰かの言葉や、ふとした表情などに心を動かされることがよくあったんです。

すると、何かに困っている人がいたら、なんとかお役に立ちたいとか、この状況を変えたいと本気で思うようになりましたし、相手の言葉から次のチャンスを感じることもありました。 そのような経験を重ねていくことで、「よし、これでいこう!」と、はじめて自信を持って舵を切れるようになったんです。途中で「これでいいのか?」と迷うこともなくなりました。

いろいろな方の話を聞いて、自分たちがやるべきことが見えてきたら、そこではじめて会社を背負って勝負できるようになったと思うんです。

経営者や事業責任者の多くは、顧客のヒアリングをほかの社員や業者に任せることも多いでしょうし、そもそも「そんなことは常識だ」とか「すでにわかっている」と言って、やらない方も多いですよね。

でも、やはり西口さんがいつもおっしゃっている「顧客起点」というのは本当に重要で、経営者やトップの心が動かされない状況で事業を進めていくと、何のためにその会社があって、何のためにその事業をやるのかということが曖昧になってしまうのではないかと。

もちろん、いろいろな会社さんのやり方があると思いますが、少なくとも弊社の場合、思いきって舵を切るためには、やはりお客様にちゃんと向き合うことが大事だと考えています。 お客様に向き合った結果、思いきって挑戦してみたら、最初は小さなインパクトでも徐々に大きくなっていくことも多い気がしています。

そして、そういうスタンスでやっていけば、会社自体も少しでもいい方向に向いていくのではないかと思うんです。 弊社の営業スタンスを説明するとき、私はよく「ビフォアとアフター」という言葉を使っているのですが、弊社の「ビフォア」は、自社のミシンをお願いばかりしていた営業スタイルです。

とにかく「弊社のミシンはこんなミシンです」「なんとかお願いします」と相手の都合や状態に関係なく、自社のことしか考えずに営業に走り回っていました。

でも、それだと主導権は向こうにあるし、利益率も悪いし、そもそも世の中に必要とされていなかったわけです。

今では、お客様に「ええやん」と思ってもらえるかどうかを考えるスタンスに変わっています。 それが弊社の「アフター」です。

西口 それ、大きいです。しかも、トップが自分で聞くか聞かないかで、圧倒的に差が出てきます。

伝え聞くところによると、ニトリの似鳥昭雄会長も、ファーストリテイリングの柳井正社長も、今も自分の目で見て、自分の耳で聞いたことを大事にされてトップダウンで判断されることが多いようです。

やはり、うまくいくか、いかないかは、経営トップや意思決定者がそこまでやりたいと思えるかどうかの違いだと思うんです。

だから、ノウハウ的にこうやったらN1分析はできます、という話はある程度はできるのですが、それを言わなくても山﨑社長のようにやる方はやるし、言ってもやらない方はやらないですね。

「いや、今うちの部門にN1分析やらせてますから」と言うトップや事業責任者の方も多いのですが、本当はそのトップや事業責任者の方がやらないと、変わっていきません。支援させていただいている企業にはそういうお話はずっとしていて、まさにそういうことを山﨑社長からリアルな言葉でいただけたのはうれしいですね。

山﨑 私はそれまで、大勢の人に調査するアンケート調査や量的調査などもいろいろやってきたのですが、「〇百人のうち、〇パーセントの人がこう感じています」という話を聞いても、そういう人たちがどんな顔をしながら、どんな想いでこのアンケートに答えているんだろうという部分が見えないので、やはりそこには勝負をかけられないと思ってしまうんですよね。

勝負をかけるなら、やはり自分の目で見て、自分の耳で聞いて、そのうえで判断したいと思っているので、普段からそれを実践するようにしています。

西口 おっしゃられたように、アンケート調査というのは1人ひとりのお客様の声を聞くという行動が伴ってはじめて役に立つもので、調査結果を見ているだけではあまり役に立ちません。数字が大きいか小さいかは、成功を保証しないのです。それよりも、1人のお客様を動かすことに特化したほうがうまくいきます。

考えてみると、これまでのヒット商品にも、どちらかというと経営トップが欲しいと思ったからつくったとか、自分の周りの人の悩み事を解決するためにつくったというものが多いですよね。やはり、うまくいっている企業というのは、それが経営者の思い込みであれ、誰かの問題解決のためであれ、とにかく顔も名前も見える「1人」に対する想いが大きいのだと思います。

結局は、絶対にそれが欲しい、それをつくってくれという人が現れるかどうかがポイントなんです。

たとえば、さっきおっしゃられたコードバンで名刺入れをつくってみたら欲しい人が出てきたというお話と一緒で、いろいろなものの中から「欲しい」と言われるものを見つけてきて、つくるというケースがありますよね。

一方で、たとえば新しい技術ができたから、よくわからないけれど製品をつくってみたら、それを「欲しい」と言う人が広がっていったというケースもあります。

海のものとも山のものともわからないけれど、発表してみたら「これ欲しい」という人が現れるかもしれませんし、ほとんど欲しい人がいなくて終わるかもしれません。

もちろん何の兆しも見えなければやめたほうがいいと思いますが、ただ明らかに「外れ値」、つまり、これまでの延長線上ではないところに点を打つというのは、非常に重要なことです。

どちらのケースもありだと思いますが、どちらも大事なのは、「実在する具体的な誰かが絶対に欲しい」というところからスタートすることです。

これはいわゆる「ニッチ戦略」というものですね。どんな巨大なブランドも事業も、例外なく出発点はニッチなんです。差別化や独自化が大事だということは多くの人が知っているのですが、ニッチとか外れ値は視界に入らず、結果として出来上がった巨大な市場に意識が向いてしまうのです。そのため、「N1分析」でニッチを考えるというのは、実際にやられる方はあまり多くはないんですよね。なので、戦略として有効だと思います。

山﨑 私は「N1分析」という言葉自体は知っていたのですが、恥ずかしながら、あるときまで、きちんとその意味は理解していなかったんです。

ただ、雑誌記事の取材を受けたときに、「N1分析でヒットしたミシン」といったタイトルが付いていたので、「ああ、自分がやってきたのはN1分析やったんか」と思って「N1」について調べはじめたのです。

そこで、大きな衝撃を受けました。というのも、それまでは自分のやり方が合っているのかもわからないし、もしかしたら良くないかもしれないと思っていたんですが、西口さんの本を拝読したら、「N1分析」では20人くらいに話を聞けばいいという話があって。

さきほどのアンケート調査の話ではないですが、こういうのって、なんとなく100人とか200人とか、何なら1000人くらいの人に聞かなければ、マーケティング的には足りないと言われるような雰囲気が世の中的にあるじゃないですか。たくさんの人に聞かないと、意味がないというような。

しかし、数の多さよりも深さのほうが大事で、人数が少なくてもじっくり話を聞いて、心を動かされることが重要だと思っていたのですが、まさにそういうことを西口さんが書いていらしたので「すごい!」と思って。

私はとくにロジックも何もなく、感覚でやってきた人間ですが、西口さんはしっかりロジックで体系化されて、20人という数を出されていたのが衝撃的だったんです。

西口 逆に、私は山﨑社長のお話を聞いて、修羅場をくぐってプレッシャーを感じ続けてきた方の言葉はやっぱり強いと実感しましたね。いろいろな経営トップや事業主さん、スタートアップの方など、多くの人に聞いて欲しいお話です。

今って何かあるとすぐに「それってスケールするの(大きくなるの)?」と聞く人が多いのですが、すぐにスケールすると言えるのはだいたいダメになる可能性が高いです。スケールするかどうかわからないから大きなチャンスがあるとも言えます。

※要約版はこちらです

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《西口一希》

N1分析