NIKE創業期を西口一希が解説。時価総額約800倍の軌跡、オニツカタイガーの輸入から始まった「スポーツシューズ革命」とは

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ナイキ創業期を西口一希が解説します。ナイキは日本製シューズ販売から始まり、革新と戦略で世界一のスポーツブランドに成長しました。記事末尾に解説動画も用意しています。
NIKE創業期を西口一希が解説。時価総額約800倍の軌跡、オニツカタイガーの輸入から始まった「スポーツシューズ革命」とは

ナイキ:日本のシューズ販売から世界トップのスポーツブランドへ「最初の10年」

ナイキは1964年に「ブルーリボンスポーツ(BRS)」として創業されました。1980年の上場から2024年までに時価総額は約800倍に成長し、約1,600億ドルに達しています。今や世界中で誰もが知るスポーツブランドですが、その始まりは日本のメーカーのシューズをアメリカで販売する代理店ビジネスでした。

1. 創業:フィル・ナイトとビル・バウワーマンの出会い

1964年、オレゴン大学の陸上競技選手だったフィル・ナイトと、その恩師であり名コーチのビル・バウワーマンの2人によって設立されました。

  • 日本製品への着目: ナイトはスタンフォード大学でのMBA取得過程で、「高品質で低価格な日本製のランニングシューズを輸入すれば、ドイツのアディダスに対抗できる」というアイデアを思いつきました。

  • オニツカタイガーとの提携: ナイトは日本へ渡り、当時急成長していたオニツカタイガー(現アシックス)と交渉。アメリカ市場での独占販売権を取得し、車のトランクにシューズを積んで陸上競技場で直接販売することからスタートしました。

2. 「ナイキ(NIKE)」の誕生と独自ブランドへの転換(1971年)

1960年代後半、単なる販売代理店から自社ブランドの開発へと舵を切りました。

  • 社名の由来: 1971年に「ナイキ(Nike, Inc.)」へ社名変更。名前はギリシャ神話の勝利の女神「ニーケー(Nike)」に由来しています。

  • スウッシュロゴ: 同じ年に、グラフィックデザインの学生だったキャロライン・デビッドソンによって、わずか35ドルで「スウッシュ(Swoosh)」ロゴがデザインされました。

3. 革新的な製品開発:ワッフルソールの発明(1971-1974年)

ナイキの初期の成功を決定づけたのは、バウワーマンが開発した「ワッフルソール」でした。

  • 朝食からのヒント: 朝食のワッフルメーカーを見て、ソールのグリップ力を高めるアイデアを閃きました。

  • ワッフルトレーナーのヒット: 実際にゴムを溶かして試作した新しい靴底は、軽量性と圧倒的なグリップ力を兼ね備え、1974年に発売されるとランニングブームと相まって爆発的なヒットとなりました。

4. マーケティング戦略とトップブランドへの飛躍(1970年代後半~)

ナイキは、競技場での口コミや有名な陸上選手をスポンサーとして起用する手法を導入しました。

  • パフォーマンスの追求: 優れた成績を収める選手が履くことで、「ナイキはパフォーマンスを向上させるシューズブランド」というイメージを確立しました。

  • 上場とさらなる成長: 1980年の株式公開を経て、アディダスやプーマと並ぶ世界的なスポーツブランドへと飛躍を遂げました。

5. 創業10年間の成功要因まとめ

ナイキがスポーツシューズ業界の覇者となった要因は、以下の3点に集約されます。

  1. 革新的な製品開発: ワッフルソールに代表される、ランナーのニーズに応える技術力。

  2. 独自のマーケティング: トップアスリートを起用し、ブランドの信頼性と憧れを醸成した戦略。

  3. ブランド構築の成功: 勝利を象徴する社名と、印象的なロゴ(スウッシュ)による一貫したブランディング。

日本のシューズを売ることから始まった挑戦が、革新的な技術と巧みなマーケティングによって世界の頂点へと繋がったのです。

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《西口一希》

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