2-3-13:第2のフレームワーク「顧客戦略(WHO&WHAT)」

顧客起点マーケティング 経営とマーケティングの理解
顧客戦略は、誰(WHO)に何(WHAT)を提案し、どのように価値を創出するかを明確にするものです。顧客理解を通じて、売上や利益につなげる経営の出発点となります。
2-3-13:第2のフレームワーク「顧客戦略(WHO&WHAT)」
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顧客戦略の明確化は、あらゆる事業の出発点

2つ目のフレームワークは、誰に(WHO)、何を(WHAT)提供すれば価値が生まれるのかを明確化し、施策に落とし込んでいく「顧客戦略(WHO&WHAT)」です。これ自体は「WHO WHAT HOWと価値の理解」のシリーズで紹介しましたが、図のように、顧客起点の経営では経営対象との接続で考えていくことが大事になります。顧客戦略(WHO&WHAT)と経営対象との間でPDCAを回していきますが、必ず、起点はWHOとWHATになります。これは前段で指摘した、経営を誤らせる顧客不在の戦略から脱却し、顧客とプロダクトを軸とする新しい戦略概念です。

誤解されがちですが、商品やサービスであるプロダクト自体には「価値」はありません。「WHO WHAT HOWと価値の理解」のシリーズで解説したように、価値は便益と独自性の組み合わせであり、プロダクトが提案する便益と独自性に「価値がある」と顧客が認識して初めて価値が生まれます。価値を認知した顧客が、プロダクトを購入して初めて価値が貨幣に変換され、売上や利益となるのです。つまり、どれだけプロダクトが優れていると企業側が信じていても、「自分にとって便益と独自性がある」と認知する顧客がいない場合、そこに価値は発生しません。

顧客戦略を明確にすることは、どんな事業においても必ず行うべき出発点です。徹底した顧客理解を通して顧客戦略を立案し、組織内で運用することで、顧客心理の変化から顧客行動の変化、そしてそれが売上・利益に転換され財務諸表となるまでを一気通貫して把握することができます。それがすなわち、組織の横串となるのです。

すなわち経営とは、顧客(WHO)が価値として認める便益と独自性(WHAT)を、プロダクトを通して提供し、継続的に財務結果を向上させることを目標とする手段(HOW)といえます。顧客とプロダクトとの間に価値を実現するために経営があると捉えることで、競合と自社内ばかりに目を向ける顧客不在の戦略論から脱却できるのです。

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《西口一希》

経営とマーケティングの理解