2-5-38:3段階で考える、中小企業のブランディング

顧客起点マーケティング ブランディングの誤解
中小企業は価値を感じる顧客層を特定し、差別化と記憶化に注力すべきであり、マスブランド化も市場と戦略次第で実現可能です。
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Geminiで生成

顧客化が期待しにくい層への投資が利益を圧迫

自社の商品・サービスに価値を見いだしてくれるかどうか分からない顧客を獲得することは、一時的な売り上げ増加は期待できても、決して投資対効果や利益は高まりません。

価値を見いだすかどうか分からない不特定多数の顧客層への投資は、顧客獲得において、得てして、価格競争に陥りがちです。これも利益性を圧迫する要因となります。

マスブランドは安定した売り上げと利益を確立しているので、この不特定多数の領域に投資し、利益性を毀損しても、大きな問題にはなりません。ですが、赤字ニッチ、黒字ニッチ状態の企業にとってはその失敗が死活問題となりかねません。

したがって、中小企業のブランディングの成否は、「いかに、自社の商品・サービスに価値を見いだしてくれる顧客層を特定するか」にかかっています。

この潜在的な顧客層(WHO)を見極め特定し、その顧客層に高い価値を感じてもらえる便益と独自性(WHAT)の見極めが出発点です。これを特定し、自社商品・サービスの記憶化と想起率の最大化に集中することで、赤字ニッチから黒字ニッチヘと拡大できます。

では、その投資を続ければ、マスブランドになれるのでしょうか。その答えはイエスとも言えますし、ノーとも言えます。各商品・サービスが提供し得る便益や独自性と、その便益と独自性を求める潜在的顧客の多さに大きく左右されるからです。

その潜在的顧客の数は、商品・サービスで提供する便益や独自性によって決まります。それ次第で、黒字ニッチからマスブランドのどこにとどまるのかが決まります。

アップルもパソコン時代はニッチブランドだった

世界一のブランドである米アツプルは、1976年の創業から2000年代まで、決して今のようなマスブランドではありませんでした。しかし、アップルのコンピューターに対する技術や、デザイン性を支持する一部の熱狂的なファンを抱えていました。その特定のファンの間では、強い「ブランド」でしたが、コンピューター市場全体から見れば小規模なニッチでした。

アップルがマスブランドになったのは、コンピューター市場よりも潜在顧客の数が多い市場、すなわち「携帯電話市場」に参入した後です。2007年の「iPhone」発売以降、音楽やアプリの配信サービスによって独自の経済圏を構築しました。それらを通じて強烈な便益と独自性を提供し、圧倒的に多くの顧客を獲得し続け、マスブランドヘと成長しました。

しかし、当然、事業の規模が大きくなり、顧客数が増えれば、米グーグルの「Android」を含めた競合との激しい競争に突入することになります。ブランドを維持するための投資や戦略も、複雑になっていきます。

一方で、アップルには、携帯電話市場に参入せず特定の熱狂的な顧客に支えられる中小規模のコンピューター会社として、黒字ニッチにとどまるという選択肢もありました。あえてマスブランドを目指さず、競争を避けることも選択肢の一つです。最初から商品・サービスはマスかニッチか判断はできず、対象の市場がどこまで大きくなるかどうかで後天的に決まるにすぎないのです。

実際、特定の市場で、圧倒的なシェアを獲得している商品・サービスは非常に多く存在します。ここからは、具体的な事例をいくつか紹介していきます。

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《西口一希》

ブランディングの誤解