2-5-17:ブランディングの第3の目的:インナーブランディング

顧客起点マーケティング ブランディングの誤解
ブランディングの第3の目的は、インナーブランディングです。従業員やステークホルダーのモチベーションや組織文化を強化し、長期的な企業価値の向上に寄与するために行われる重要な取り組みです。
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第1、第2の目的とは「WHO」が異なる

そして、ブランディングの第3の目的は、顧客に直接「商品・サービスを売る」という目的ではなく、いわゆる「インナーブランディング」「コーポレートブランディング」「IRブランディング」です。ここでの対象は顧客ではなく、ビジネスの関係者や従業員、メディア、株主や投資家、学生などです。彼らに「この企業で働いてみたい」「応援したい」「投資したい」と感じてもらうためのブランディングであり、これまで紹介した2つとは対象者(WHO)が異なります。

この第3の目的はステークホルダーに向けた会社や事業のビジョンの共有や従業員の働くモチベーションの向上、リクルーティングや株主向け施策が中心で、売り上げや利益に直結するわけではありません。一般的に、PRやIRと呼ばれる分野も、この3つめのブランディングと同じ目的を持っている場合が多いです。

ブランディングは、直接的な売り上げの向上を目指すだけでなく、商品・サービスや企業の存在意義を通じて、社内外のモチベーション強化や優秀な人材の獲得に貢献することも可能です。

3つの目的を正しく理解し、無駄な投資を避ける

前段で、米アップルの伝説的と言われる広告「1984」や「Think different.」は、当時の業績や株価と照らし合わせると、必ずしも売り上げや利益の増加といった業績に貢献したとは言い難いと説明しました。

しかし、「1984」は何十年にもわたってマーケティング業界や広告業界で語り継がれているという事実があります。これは、アップルの従業員や広告代理店を始めとするビジネスパートナーの働くモチベーションの向上や人員の採用に、好影響をもたらした可能性が高いでしょう。

話題を呼ぶ広告によって、アップルが目指すビジョンやミッションを社内外のステークホルダーに浸透させ、アップルの未来につないだ広告だったとも解釈できます。「iPhone」を始めとする、アップルの成長を支えた数々のプロダクトの開発に関わる優秀なエンジニアや従業員の採用やビジネスパートナーとの関係性の強化につながったとすれば、結果論ではありますが長い目で見れば大きな効果はあったと判断できます。

このように企業の価値観や理念に共感する人材を引き寄せ、組織文化を強化することもブランディングの目的になり得ます。こうした目的のためのブランディング活動のKPIには、従業員満足度、離職率の低減、応募者数や採用率、社内外でのブランド認知度などが有効です。

ブランディングにおいて重要なのは、この3つの目的の違いを理解した上で、今、自社が何を求めて、何を優先するために、何をブランディングの主目的とすべきなのかを明確にすることです。それができれば、ブランディングの実務はそれほど難しいものではありません。無駄な投資、過剰期待を避けられます。

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《西口一希》

ブランディングの誤解