2-5-36:ブランディングは中小企業においても有効

顧客起点マーケティング ブランディングの誤解
中小企業でも目的と対象を明確にすれば、少額の投資で効果的なブランディングが可能です。
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無駄な投資を防ぐために大切なこと

ここまで、主に、売り上げの規模が大きく、比較的大きなマーケティング予算を持つブランドの事例を用いて、ブランディングの誤解と本質的な3つの目的と意味に関して解説してきました。

ブランディングの3つの目的:

第1の目的:プロダクトの記憶化と想起性の確立

第2の目的:情緒的・心理的価値の提供

第3の目的:インナー、コーポレート、IR

しかし、本シリーズは、中小企業もブランディングを誤解なく活用できることを主目的に、解説しています。

言わずもがな、経済の大部分は中小企業による「ニッチ」と呼ばれる商品・サービスが多くを占めています。中小企業の生産性と収益性の向上は、日本においても非常に重要な課題です。

2022年の中小企業白書によれば、日本の企業の総数は357万社です。その内、中小企業は355万6000社に当たり、全体の99.7%超を占めています。

誰もが知るようなマスブランドを扱う大企業であれば、ブランディングについて誤解して、多少無駄な投資を行ったとしても、その無駄を吸収する資本があります。ですが、中小企業にとっては一つの失敗が深刻な経営問題になりかねません。

しかし、ここまで解説してきたように、ブランディングは、目的を明確に持って、活用方法を間違わない限り、事業結果に大きな効果をもたらします。そして、それは、中小企業であっても例外ではありません。

ブランディングの「第1の目的」に立ち返る

中小企業が取り組むべきブランディングは、まずは前段で解説した第1の目的「プロダクト(商品・サービス)の記憶化と想起性の確立」に集中することです。自社の商品・サービスの便益と独自性を明確に打ち出し、顧客の対象となる顧客への記憶化と想起率の最大化に集中すべきです。

大手企業のような大規模なブランディング投資やマーケティングキャンペーンは難しくても、主たる潜在顧客の定義を明確にすることで少ない予算でもブランディングは可能です。

「ブランディング=マスブランドをつくること」ではない

既にお気付きかと思いますが、ブランディングとは、マスヘの投資を意味しません。自社の商品・サービスで提供する便益と独自性に価値を見いだしてくれる顧客が1人以上いる。そして、その顧客に自社商品の名称を、その便益と独自性と強い連想を持って記憶してもらえれば、特定の少数の顧客の中で、立派なニッチとして、ブランディングは成立しています。

例えば、地元の人だけが知っているおいしい居酒屋、少数のファンが応援しているミュージシャンやアイドルはニッチとしてのブランディングが成立しています。大企業の商品・サービスは、そこから結果として、顧客が大きく増加したにすぎません。

「マクドナルド」のような世界的な巨大ブランドであっても未進出の国では、ブランドの名称すら認知していない方は多くいます。その方々の中でマクドナルドはブランドではありませんし、ニッチなブランドですらありません。

この顧客数とブランディングの問題を、別の角度で考えてみましょう。自社プロダクトに強い価値を感じてくれる100人へのブランディング(自社商品の記憶化と想起性の確立)か、価値は感じていない1000万人へのブランディングは、どちらが大切でしょうか。当然、前者こそが、目指すべきブランディングです。

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《西口一希》

ブランディングの誤解