2-5-18:目的設定と顧客理解が正しい投資につながる

顧客起点マーケティング ブランディングの誤解
目的設定と顧客理解が不十分だとブランディング投資は失敗しやすいため、計画の精緻化と顧客層の正確な把握が重要です。
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ブランディング投資を正しく判断するために

ここまでは、ブランディングの3つの目的を紹介してきました。ではこれを実行に移すに当たり、どのように投資判断をすべきかを解説していきます。

ブランディングに関わる要素は「ネーミング」「パッケージデザイン」「ロゴ・シンボル」「プレース(売り場や陳列)」など、多岐にわたります。これらに関するノウハウは、各分野の専門家が様々な発信をしています。本項ではマーケティングの実務の観点で、留意すべき点を解説していきます。

ブランディング活動は、魅力的で、マーケターでなくともビジネスに関わる誰もが、いつかは取り組んでみたい分野でしょう。しかし、実際の現場では、「ブランディングは計測できないもの」「ブランディングは絶対正しいもの」として捉え、時間と投資とリターンを冷静に考えずに実行に移しているケースは非常に多いのです。当然、そのような施策は、成果について誰も語れません。

悪いケースだと、ブランディング活動によって、むしろ既存顧客の離反を招き、事業の状況が悪化してしまう。ブランディングに大きな投資をしたのに、なぜ業績が悪くなったのかが想像すらできなくなってしまうケースも存在します。

こうした間違いを犯してしまう、ブランディングにおける最大の問題は、目的設定と前提となるべき顧客理解の不足にあります。

多くのブランディングと呼ばれる施策は広告主側が顧客理解を徹底しておらず、目的が曖昧なため失敗します。その問題は依頼する事業主の問題です。広告クリエイターやデザイナーが提案してきた施策で、本当に対象となる顧客を動かせるのか、必要な認知度が高まるのかを判断するのは事業主です。

こうした判断を含め、ブランディング活動を行うに当たって、既存顧客(ロイヤル顧客、一般顧客)、新たに獲得したい潜在顧客(離反顧客、潜在的な非顧客)の誰を対象とするのか。また、どれくらいの割合に、いつ、どれくらいの時間で、認知され、体験してもらいたいのか。それにより心理状態を変えて、顧客の行動(購入行動、購入頻度、購入量)をどのように変化させたいのかといった計画は必須です。

「カスタマーダイナミクス」で目的を設計する

基本的なブランディングの目的設計と計画は、以下の「カスタマーダイナミクス(顧客動態)」と呼ぶフレームワークで整理すると理解しやすいでしょう。

どのような企業であっても、売り上げの目標に向かって常に獲得すべき顧客数を意識し、毎月の集客に注力します。この時点で、顧客は企業側の施策で増減する対象となり、「集客数」という単純な目標が定まります。

しかしながら、顧客はそれほど単純な存在ではありません。様々な施策や商品体験をへて、顧客の心理状態は変わり続け、行動が変化します。その結果、徐々に購入の頻度や単価が上がってロイヤル化することもあれば、静かに離反していくこともあります。この変化を、カスタマーダイナミクスと呼びます。

カスタマーダイナミクスは、量的なアンケートが可能な場合、自社や競合の顧客層を9つの主要な顧客セグメントに分類するメソッド「9segs(ナインセグズ)」で管理します。商品・サービスの認知の有無、購入の有無、現在の購入頻度などで顧客層を9分類(セグメント化)します。その分類に沿ってマーケティングで投資すべき顧客層を明確化し、マーケティング戦略の立案に生かすためのフレームワークです。

顧客層の分類の内訳は、まず大きく以下のように5つに分類します。

  • ロイヤル顧客:繰り返し商品を購入

  • 一般顧客:購入頻度は低いが継続購入

  • 離反顧客:以前は購入していたが今は購入していない

  • 認知未購入顧客:商品やブランドを認知しているものの購入経験がない

  • 未認知顧客:認知、購入経験が共にない

これらの分類を次回購入意向(NPI)、つまり商品・サービスを優先的に選択する意向の高低で「積極」と「消極」に2分類します。

例えば、購入経験があり、購入頻度と次回購入意向がともに高い場合は「1.積極・ロイヤル顧客」に分類され、1よりも次回購入意向が低い顧客は「2.消極・ロイヤル顧客」に分類されるといった具合です。ただし、認知がなく、購入経験がない層は全て未認知顧客に分類されるため、全部で9分類となります。

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《西口一希》

ブランディングの誤解