
大半の事業は「ニッチ」からスタートしている
前項では、「第1の目的:プロダクトの記憶化と想起性の確立」に立ち返り、誰に対してアプローチすべきかを考えることで、中小企業もブランディングによる事業成長が可能だと述べました。ブランディングとは、マスブランドをつくる活動ではありません。
では、中小企業にまつわる最も大きな課題について解説します。
それは、「どこまで顧客数(クライアント数)を増やして安定的な利益を確保し、事業を安定化させるかの見極め」です。
中小企業の多くは、利益や利益性を向上させることが重要です。事業規模の拡大には「顧客数」が最も影響を与えます。しかし、間雲に広告費を投じて、自社の商品やサービスに強い価値を見いだしてもらえないような顧客を増やしても売り上げと利益の継続性が伴わず、苦労が増えるばかりです。

上図では横軸を「顧客の人数」、縦軸に自社プロダクト(商品やサービス)に価値を見いだす顧客の特性として考えます。
事業に価値を見いだす特定層を顧客化していく
創業期は、まだ利益が出ない「赤字ニッチ」の状態です。「ニッチ」と「ブランド」は異なる目線で語られることが多いのですが、今、世の中にある全ての事業は、1人の顧客(クライアント)を獲得するニッチからスタートしています。
そこからその事業に価値を見いだす特定の潜在的層の中で顧客数が増えると、右に移動して、利益が出る「黒字ニッチ」状態になります。
そのまま価値を見いだす特定顧客層の中で顧客数が順調に増えれば、売り上げと利益が高まり、やがて安定したマスブランドやナショナルブランドと呼ばれる状態になります。世間の多くに知られる、いわゆる「有名ブランド」です。
カテゴリーをけん引するトップブランドがニッチでスタートし、市場が大きくなったところで、2番手、3番手ブランドが参入し、競争が生まれます。スマートフォンの代表格「iPhone」ですら、初代はあまり売れておらずニッチな端末でした。
前出の図の「不特定多数」の欄は一見、巨大に見えますが、これは、自社の商品・サービスに価値を見いだしたかどうかが特定されていない顧客層を意味します。この不特定多数層に商品・サービスを提案し、顧客数を増やそうとしても、反応は悪く投資対効果は悪化します。
ここで、顧客を獲得できたとしても、すぐに離反し、一過性の消費にとどまる可能性が高いでしょう。これは、現在の状態が赤字ニッチであっても、黒字ニッチであっても、マスブランドであっても同様です。人数が多いだけの市場に参入しても意味はありません。
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