2-1-36:WHO&WHATから始まる一連がストラテジーマップ

顧客起点マーケティング WHO WHAT HOWと価値の理解
ストラテジーマップは、WHOとWHATを起点に6つのステップで顧客戦略を構築し、価値定義からブランディングまでを追求する手法です。
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ストラテジーマップにおける6つのステップ

ストラテジーマップは、6段階で構成されます。順を追って解説します。

①価値の定義:WHOとWHAT(顧客戦略)

すべての起点はコンパスとなるWHOとWHATです。すなわち、どんな価値を広げたいか、既存のプロダクトであれば顧客が価値を見いだしている便益と独自性は何か、その顧客の特徴は何か、ということです。新規のプロダクトであれば、担当者の期待や仮説からはじまります。

その組み合わせは最初は1種類ですが、必ず複数成立していきます。仮として、図中には3種のWHO&WHATを記載しています。

②WHO(潜在顧客)に接触し、WHAT(便益と独自性を提案)

顧客戦略(WHO&WHAT)が定義できれば、そのWHOと同様な特徴やニーズを持つ潜在顧客がどこにいるのか、どこで接触できるのかを探ります。次にその場所で、様々な接触方法やメディアを通し、また様々な訴求方法やクリエイティブ表現を通して、価値を見いだしていただけるWHAT(便益と独自性)を伝え、体験を促します。HOWを駆使して、WHO&WHATの成立を目指します。

③新規(初回購入)

①と②を適切に進められたら、初めての購入、すなわちWHO&WHATが実現します。このとき、②から③へのHOWのコスト効率が重要になります。いかに効率よく潜在顧客の居場所を特定し、接触し、魅力的にWHATを訴求して、顧客になっていただくか。BtoBであれば、この②と③でリード獲得やナーチャリング(見込み顧客を実際の顧客にするために育成する)、商談などのプロセスが入ってきますが、WHO&WHATの関係は同じです。

④価値の再評価(実際の使用体験)

顧客戦略(WHO&WHAT)が成立し、初回購入が起きたあと、顧客は価値の再評価をします。実際にプロダクトを入手して体験し、それが期待通りの便益と独自性であったかどうか。あるいは期待はしていなかった便益と独自性を実感し、価値を見いだしたかもしれませんし、体験したことを機にこれまで視野に入っていなかった競合品や代替品と比較するかもしれません。実際に使用した段階で、顧客が想定外に便益と独自性を見いだしているなら、それを把握し、新たなWHOとWHATの可能性を検討しましょう。現在の顧客戦略よりも、大きな可能性が見つかるかもしれません。

再評価を経て、期待通りの価値や予期せぬ価値が見いだされると、継続購入が起こります。価値の評価が高いほど、より多く、より高頻度で購入され、単価や頻度が向上します。関連するプロダクトを追加購入することで、単価が上がることもあります。こうして、一定数の顧客がロイヤル顧客になれば、事業においてある程度の安定感が生まれるでしょう。

⑤離反の復帰

顧客戦略の確度がどれだけ高く、初回購入後の再評価でも高い満足が得られたとしても、あらゆるプロダクトにおいて必ず一定数で顧客の離反が起こります。価値の再評価の段階で顧客の期待に応えられず、評価が低かったら、顧客は競合や代替品のほうを選び、離反顧客となります。プロダクトが属するカテゴリー自体から、顧客が離れてしまうこともあります。

さらに、また別のタイプの離反もあります。価値は再認識しながらも、プロダクトからの接触がないと次第に忘却してしまい、高かった購入意向が薄れていって離反する場合です。初回購入、初回体験時にはプロダクトの便益と独自性に価値を見いだしても、それが記憶として残らない、あるいは思い出す機会がないと、こうした「忘却離反」が起こります。

取りうる策としては、④で離反した顧客が価値を見いだす新たな便益と独自性を見つけて提案するか、その便益と独自性を提供するためにプロダクトを改良や強化する、あるいは新たに開発することが挙げられます。新しいWHOとWHATの実現で、離反した顧客の復帰を促します。

同時に、①で起点となったWHOとWHATに対し、ここでの新しいWHOとWHATでは潜在的な顧客はどれくらいいるのか、投資効率がよいのか、などを検討していきます。そうしてストラテジーマップ全体で優先すべきWHOとWHAT、その実現のためのHOWを再検討し続けます。

⑥ブランディング(価値を記号化・強い記憶に)

そして、②から⑤で実現する価値を強固にするのがブランディングです。目的は、想起する可能性を強化し、継続的な購入を促進し、忘却離反を防ぐことです。ブランディング自体で新たな便益と独自性の構築を目指すのではなく、顧客が価値として認める「便益と独自性」と「プロダクト」との関係を、強い記憶として残すのです。

具体的には、ブランド名やロゴ、色や形、言葉などの象徴として記号化することや、それらに繰り返し接触するよう施策を実施することで、顧客の記憶に残るように促していきます。

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《西口一希》

WHO WHAT HOWと価値の理解