2-1-20:WHOから入れば最適なHOWを選べる

顧客起点マーケティング WHO WHAT HOWと価値の理解
顧客(WHO)が明確なら、最適な手法(HOW)が見えてきます。時代と共に顧客の価値観が変化するため、常にアップデートが必要です。
2-1-20:WHOから入れば最適なHOWを選べる

最適な手法やツールも「顧客」から入ると選べる

時代の変化によって、メディアの持つ効果も変わってきます。誰かに商品やサービスを伝えるための方法(HOW)には、古い手法からいえば手紙や看板、新聞広告、飛行船を飛ばす、テレビやラジオのCM、ダイレクトメールなどいろいろな方法があります。さらに今はSNS上の広告も多数が登場し、その表現も静止画から動画へと移り変わりました。人間の行動や社会の状況は刻々と変わっていますから、顧客に対して訴求する方法やリーチする方法、もしくは訴求内容も変わってきます。

そのため、「今どのツールが重要なのか」といくら考えても、効果的なツールはどんどん変わっていってしまうのです。新しい媒体や表現が次々と出現するため、それらの仕組みや最新事例を学ばなければと焦ってしまいがちですが、自分が価値を届けたいと思う顧客(WHO)が明確ならば、どういうメディアやツールが効果的かはおのずと決まってきます。「この顧客に価値を届けるためにはYouTubeが効果的だ。それならYouTubeのマーケティングを学んでみよう」などと、具体的な顧客に価値を届けることを目標にすると、学ぶことはそれほど苦にならないはずです。その顧客を定めず、YouTubeもTikTokもInstagramも、テレビも新聞もと、PRするためのすべての手法を学ぶことは到底できません。

そもそもメディアでの広告やPRは、顧客に対して便益と独自性を伝えるために使うマーケティング手法のひとつにすぎないのです。その点をはき違えて手法やツールから入ろうとすると、すべきことがあまりに多すぎて「マーケティングの樹海」でさまようことになってしまいます。

先月うまくいったことが、今月もうまくいくとは限らない

マーケットだけでなく、社会状況が変われば、顧客の心理状態も変化しています。

つまり、先月うまくいったことが今月もうまくいくとは限りません。10年前から実施していることを今も続けている、などは論外です。それは「現在の顧客はそこにはいない可能性が高い」からです。時代の変化によって、価値を判断する顧客の心情も価値の基準も、すべて変わっていることに気づかなければいけません。

歴史を振り返ると、普遍の価値を持つものはそれほど多くはありません。人間が必要とするものは、どんどん変わっていきます。欲求が満たされたことで消滅する価値もあれば、次の異なる価値が必要になったり、価値を提供する選択肢が増えたりすることもあります。つまり、競争が激しくなるということです。そうなれば、一時代を築いたプロダクトでも相対的な価値は下がり、コモディティ化していきます。

変わる「価値」、変わらない「欲求」

このように、時代の変化とともに人々の生活が変われば「価値」も変わり、環境が変わればまた変わっていくものなのです。顧客とプロダクトの関係も常に変わり続けるため、今、価値を成立させているプロダクトであっても、明日になればその価値は消滅している可能性があります。「今うまくいっているもの」を見ているだけでは不十分で、常に便益と独自性をアップデートしていかなければ、いつの間にか価値が下がってしまうこともあるのです。

一方で、人間の「欲求」自体はそれほど大きく変わっていないともいえます。学びたい、遊びたい、食べたいといった根源的な欲求は、その一例でしょう。例えばコロナ禍に際して通勤する人が減り、ビジネス書の売上が落ちたそうですが、通勤中にビジネス書を読むという行動様式が変わっただけで、「ビジネスについて学ぶ」便益は他の形で満たしているかもしれません。

ここで重要なのは、顧客の行動様式や心理状態を把握することです。もし自分が出版社にいるなら、これまで自社の本に便益と独自性を感じてくれていた顧客は、今どんな1日をすごしているのかを明らかにすることがカギになります。

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《西口一希》

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