2-1-35:ストラテジーマップは、マーケティングにおける地図

顧客起点マーケティング WHO WHAT HOWと価値の理解
ストラテジーマップはマーケティング活動を6段階で示し、顧客の行動を理解するのに役立ちます。WHOとWHATを洞察し、適切な施策(HOW)を選択することで、投資対効果を高め、事業成長を図ります。
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ストラテジーマップとは、マーケティングの地図

マーケティング活動は、1枚の図に収めることができます。6段階のステップで構成した「ストラテジーマップ(戦略地図)」です。新規獲得(初回購入)、リピート(継続購入)、離反からの復帰という顧客の行動すべてを含み、全体にかかわる活動としてブランディングを位置付けています。

このマップの起点は、WHOとWHATの組み合わせです。どのような顧客が自社のプロダクトに価値を見いだすのかを洞察し、その価値はどのような便益と独自性から構成されるのかを把握することが、マーケティングの第一歩です。

自社のプロダクトに、特定の顧客が価値を見いだして購入や利用が成立するとき、世の中に価値が生まれます。より多くの顧客から価値を見いだしてもらう、あるいはより深く価値を見いだしてもらうと、世の中により大きな価値が創出されることになります。そう促すことがマーケティングの目的であり、事業成長に直結する活動といえます。

このようなマーケティングを理想的な形で展開するには、WHOとWHATの組み合わせを指針=コンパスとし、そのコンパスを前提にストラテジーマップを参照しながら様々な手段手法(HOW)を検討・実行していくことが有効です。どのような手段手法も、必ずストラテジーマップの6段階のどこかにひもづきます。逆にどこにひもづくかがわからなければ、その手段手法を何のために実行するのか、何がどうなれば成功なのかが曖昧だということなので、立ち止まって施策実施の目的を再考するべきです。

今、どの段階に取り組んでいるのか、常に確認する

HOWには必ず目的があり、その目的は、必ず特定のWHOとWHATに結びつきます。その組み合わせとストラテジーマップを念頭に、「今どの段階に取り組んでいるのか」という現在地を常に確認することで、目的に沿わない施策に無駄に投資してしまうリスクを回避できます。また、目的と実行する施策に適した効果検証の方法も選択しやすく、投資対効果を引き上げることができます。

マーケティング領域には常に数多くの手段手法が提案され、HOWにばかり目がいってしまいHOW偏重になりがちですが、どのような市場のプロダクトにおいても前提としてすべきことは同じです。それは、価値が成立する「WHO&WHAT」の組み合わせを洞察し、その価値を実現する様々なHOWの効果と効率を検証し、並行してWHOとWHATの見直しを図っていくことです。PDCAサイクルを回しながら、最適なWHOとWHATとHOWを模索し、継続すればよいのです。

マーケティングの手段手法(HOW)はすべて、WHOとWHATの価値関係を実現するためにあります。HOWの実行が目的ではありません。ストラテジーマップを活用して、現在地を確認しながら、WHOとWHATの定義とHOWの効果効率を検証していきます。

誰に、何を届けるか=「顧客戦略(WHO&WHAT)」

「誰に=WHO」「何を=WHAT」提案するのかを、「顧客戦略(WHO&WHAT)」と表します。顧客戦略は、すべてのマーケティングの起点になります。顧客になり得る方と、その方が価値を見いだす可能性のあるプロダクトの組み合わせがわかって初めて、どのように届けるか=HOWの検討に移ることができます。

WHOとWHATの適切な組み合わせを見いだし、実現するには、大きく2つの方向性があります。ひとつは、特定の顧客のニーズや課題をよく観察し、何に価値を見いだすかを洞察して、ニーズに合う、または課題を解決するようプロダクトを磨き上げること。もうひとつは、手元のプロダクトにどういった顧客が価値を感じるかを洞察し、その方々にしっかり気づいてもらえるように提案することです。

誰が何に価値を見いだすか、精緻に理解できているということは、その「誰(WHO)」をよく理解していることが前提です。顧客の心理やニーズ、ライフスタイルなどをよく理解できていれば、おのずとその顧客がどんなシーンや状況でプロダクトを提案するともっとも耳を傾けてくれるか、思い浮かぶはずです。

逆に「顧客戦略(WHO&WHAT)」が精緻に描けていないまま、「流行りの〇〇マーケティングの手法を試してみよう」などと手段手法(HOW)の検討に入ると、前述のようにコストの無駄遣いに陥ります。どのような手段手法(HOW)が有効かは、誰に届けるのかによって大きく異なってくるからです。当たり前ですが、20代女性と50代男性とで効率的に接触できるチャネルや心に響くメッセージは異なりますし、同じ20代女性でも趣味趣向やニーズ、ライフスタイルの違いなどによって変わってきます。

WHOとWHATをおろそかにしたままHOWを検討すると、極端にいえば、20代女性に向けた提案なのに、50代男性にこそ有効な施策を選ぶことにもなりかねません。そうなると当然、かけるコストは無駄になります。

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《西口一希》

WHO WHAT HOWと価値の理解