
目的が異なると、すべきことも異なる
マーケティングには、主に3つの種類があります。初回購入の促進、継続購入の促進、そしてブランディングです。
初回購入を促すマーケティングは、まだ顧客になっていない人に対してアプローチし、プロダクトの購入を促します。この段階では、WHOとWHATを明確にし、それぞれの顧客に対して適切な方法でアプローチすることが重要になります。
2つ目の継続購入を促すマーケティングは、初回購入が成立した顧客に対し、再び購入いただくことを目指します。ここでは、顧客がプロダクトを使用した後に起こる「価値の再評価」を理解し、価値を体験する前と実体験後の心理変化を把握することが求められます。「自分が期待していた便益と独自性に見合ったかどうか」、または「期待していた便益と独自性ではないけれども、他の便益と独自性を見つけることができたかどうか」という評価です。この評価を基に、継続購入を促進します。 離反した顧客に対しては、再びプロダクトに価値を見いだしてもらえるような便益と独自性を提供することが求められます。
3つ目のブランディング目的のマーケティングは、離反した顧客に対して再度プロダクトを思い出してもらうため、また、まだ購入していない顧客の認知や期待を高めるためのものです。ここでは、記憶に残るような名称やロゴなどの工夫が求められます。


初回購入のステップ
顧客の数を増やしていくために、まずは不特定多数のマーケット全体から、最初の顧客を探し出します。潜在顧客から、プロダクトを購入した最初の顧客です。その際には、最初の顧客がどのような便益と独自性に価値を感じているのか、そしてこの人はどのような人なのかをきちんと見極める必要があります。
次に、最初の顧客とは異なる便益と独自性を見いだし、価値を感じている顧客を見つけます。さらに、それらの顧客が感じた価値を同じように求めるであろう顧客を探し出し、価値を知ってもらう方法を考え、購入・使用につなげていきます。ここまでが「初回購入」です。
継続購入のステップ
プロダクトの使用後には「そもそも自分が期待していた便益と独自性に見合ったかどうか」、もしくは「期待していた便益と独自性ではないけれども、他の便益と独自性を見いだすことができたかどうか」という、価値の再評価が起こります。 一度プロダクトを使用したり体験したりした顧客が、再び価値を感じると、継続購入(リピート)につながります。従って企業側は、継続購入している顧客が見いだす便益と独自性を理解し、単価や頻度を上げていくのです。
継続すべく離反しないようにするのが理想ですが、中には離反していく人も出てきます。その場合は、どのような便益と独自性であれば、再びプロダクトに価値を見いだしていただけるかを考えていきます。
全体にかかわるブランディング
顧客の忘却と離反を防ぐ手段が、ブランディングです。ブランディングは、マーケティング活動の一部です。
顧客がプロダクトに価値を見いださない場合、通常は初回購入が成立しません。また何らかのきっかけで初回購入が成立しても、価値の再評価がされず、離反します。ただし中には、プロダクトに価値を感じているけれど忘れてしまう顧客もいます。生活者は日々様々な情報に接し、また様々なカテゴリーでの消費行動を重ねているので、忘れ去られるプロダクトのほうが多いでしょう。
「価値があると感じていたが、つい忘れてしまって離反した(今は購入していない)」顧客が、どんなビジネスでも大きな割合を占めています。例えば大手飲食チェーンには、このような「忘却離反」が多く見られます。昔はよく行っていた店舗で、嫌いになったわけではないのに、なぜか最近は行っていないような場合です。ただ、いつの間にか忘れているだけなので、自宅や職場の近くに新しく店舗ができたり、何かのきっかけで思い出したりすれば、復帰の可能性もあります。
ブランディングの大きな目的は、こうした忘却離反を防ぐことです。 顧客がプロダクトに価値を見いだしているにもかかわらず、強く記憶されていないために継続購入に結びつかない事態を防ぐために、ブランディングが重要になります。
ブランディングとは、ブランド名や色、形、デザイン、ロゴ、音、言葉など何らかの形で、顧客がプロダクトに価値を見いだした便益と独自性を記憶として残し、忘却による離反を減らし、継続購入へとつなげる想起促進の手段です。特徴的なブランド名やデザインなどを通して、顧客に価値を見いだした便益と独自性を覚えてもらい、そのカテゴリーのプロダクトを購入しようとする際、選択肢として真っ先に思い浮かべてもらうのです。
同時に、まだ購入したことのない顧客に対して期待感を高め、初回購入へと促すことも、ブランディングの目的のひとつです。従って、ストラテジーマップにおいては全体にかかわる活動といえます。
マーケティングの成功=新規拡大と継続購入促進
マーケティングの3つの種類を解説しました。事業の大前提は、顧客に便益と独自性を継続的に提案し、価値を見いだし続けていただけるよう努めることです。そしてマーケティング活動の成功とは、顧客に価値を見いだしていただいて新規顧客数を拡大し、同時に離反を最小化し、継続購入を促すことです。
まだ会員登録されていない方へ
会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です