
近日発売予定の著書『マーケティング手法大全』で紹介するマーケティングの発展に関して大きな影響を与えてきた26人を含む41人の紹介と、主要な理論や研究の概要を解説します。マーケティングの学習と実践に役立てるべく、41人の貢献の中に見える共通項や異なる視点を学びとっていただければと思います。
レスター・ワンダーマン(Lester Wunderman、1920年 - 2019年)は、「ダイレクトマーケティングの父」として知られるアメリカの広告界の巨匠です。彼は、1958年に自身の広告代理店「ワンダーマン・リコッタ&クライン」(後のワンダーマン)を設立し、1967年にマサチューセッツ工科大学での講演で初めて「ダイレクトマーケティング」という言葉を世に送り出しました。彼の著書『ワンダーマンの「売る広告」: 顧客の心をつかむマーケティング(Being Direct: Making Advertising Pay)』は、ダイレクトマーケティングの基本原則と実践方法を解説した重要な著作です。
「ダイレクトマーケティング」
ダイレクトマーケティングとは、広告主が消費者と直接コミュニケーションを取り、反応(レスポンス)を得ることを目的としたマーケティング手法です。従来のマスマーケティングのように不特定多数の消費者に向けた広告とは異なり、ターゲットを絞り込み、個々の消費者に合わせたメッセージを送ることで、より効果的なコミュニケーションを目指します。ワンダーマンは、ダイレクトマーケティングにおいて以下の要素が重要であると提唱しました。
測定可能性(Measurability): 広告の効果を測定し、分析することで、費用対効果を最大化することが重要です。レスポンス率、コンバージョン率、顧客獲得単価などの指標を用いて、キャンペーンの成果を評価します。
責任(Accountability): 広告主は、広告の成果に対して責任を負うべきです。ダイレクトマーケティングは、効果測定が容易なため、広告の責任を明確にすることができます。
テストと改善(Testing and Improvement): 複数の広告クリエイティブやターゲットグループをテストし、最も効果的な組み合わせを見つけ出すことで、キャンペーンのパフォーマンスを向上させることができます。
データベースマーケティング: 顧客の属性情報、購買履歴、嗜好などを記録したデータベースを活用することで、よりパーソナライズされたメッセージを送ることができます。
顧客との関係構築(Relationship Building): 一度きりの取引ではなく、長期的な顧客との関係構築を重視します。顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、ロイヤルティを高めます。
「ダイレクトマーケティングの重点」
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ワンダーマンは、ダイレクトマーケティングの発展形として、「ワンツーワンマーケティング」の概念も提唱しました。ワンツーワンマーケティングとは、個々の顧客に合わせてカスタマイズされた商品やサービス、メッセージを提供することで、顧客との関係をさらに深めることを目指すマーケティング手法です。ワンダーマンの提唱したダイレクトマーケティングは、以下のようなマーケティングに大きな影響を与えています。
CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)の発展: 顧客データベースを活用し、顧客との関係を管理するCRMの重要性が高まりました。
デジタルマーケティングの隆盛: インターネットやEメールなどのデジタルチャネルを活用したダイレクトマーケティングが主流となりました。
パーソナライズされたマーケティング: 顧客のデータに基づいて、個々の顧客に合わせたメッセージやオファーを提供するパーソナライズされたマーケティングが普及しました。
データドリブンマーケティング: データに基づいて意思決定を行うデータドリブンマーケティングが重要視されるようになりました。
レスポンスの重視: 広告の露出量だけでなく、顧客からのレスポンスを重視するマーケティングが主流となりました。
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