1-4-32:サイモン・シネック

サイモン・シネックは「ゴールデンサークル」を提唱し、リーダーシップや組織論を探求する著述家です。彼は「Why」から始めるコミュニケーションの重要性を強調し、多くの企業に影響を与えています。
1-4-32:サイモン・シネック
  • 1-4-32:サイモン・シネック
  • 1-4-32:サイモン・シネック

近日発売予定の著書『マーケティング手法大全』で紹介するマーケティングの発展に関して大きな影響を与えてきた26人を含む41人の紹介と、主要な理論や研究の概要を解説します。マーケティングの学習と実践に役立てるべく、41人の貢献の中に見える共通項や異なる視点を学びとっていただければと思います。

サイモン・シネック(Simon Sinek、1973年 - )は、イギリス生まれのアメリカ人著述家、講演家、コンサルタントです。彼は、リーダーシップと組織論に関する洞察力に富んだ考え方で世界的に知られており、特に「ゴールデンサークル(Golden Circle)」と呼ばれる概念を提唱したことで有名です。彼の著書『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う(Start with Why)』は、世界中でベストセラーとなり、多くの企業やリーダーに影響を与えています。

「ゴールデンサークル理論」

ゴールデンサークルは、組織やリーダーがどのように考え、行動し、コミュニケーションをとるべきかを示すシンプルなフレームワークです。それは、3つの同心円で構成されており、中心から外側に向かって「Why(なぜ)」、「How(どのように)」、「What(何を)」という順に配置されています。

  • Why(なぜ): これは、組織や個人が何をするのかの「目的」や「信念」を表します。単に利益を上げるためだけでなく、「なぜその事業を行っているのか」「何を信じているのか」「何のために存在しているのか」という根源的な理由です。

  • How(どのように): これは、「Why」を実現するための「方法」や「プロセス」を表します。「どのように他社と違うのか」「どのような価値を提供しているのか」という具体的な手段です。

  • What(何を): これは、組織や個人が「実際に行っていること」を表します。製品、サービス、提供物など、目に見える形での活動です。

従来の企業は、「What」からコミュニケーションを始める傾向があります。例えば、「私たちは最高の製品を作っています」「私たちは高品質なサービスを提供しています」といったように、製品やサービスの特徴を強調します。しかし、シネックは、人々は「What」ではなく「Why」に惹きつけられると主張しています。効果的なコミュニケーションは、「Why」から始まるべきです。まず「なぜ」を伝え、次に「どのように」を説明し、最後に「何を」を示すことで、人々の感情に訴えかけ、共感を呼び起こし、行動を促すことができるのです。

アップルの例

シネックは、アップルをゴールデンサークルの好例として挙げています。

  • Why: 世界の見方を変える(Think different)。

  • How: 美しくデザインされ、使いやすい製品を作る。

  • What: コンピューター、スマートフォン、タブレットなどを販売する。

アップルは、単に優れたコンピューターを作っているのではなく、「世界の見方を変える」という信念を伝え、そのために美しく使いやすい製品を作っていると説明することで、多くの人々を魅了しています。

ゴールデンサークルは、マーケティング戦略に大きな影響を与え、「Why」を明確にすることで、競合他社との差別化を図ることができます。単に機能や価格で比較するのではなく、独自の信念や価値観を伝えることで、顧客の心に深く訴えかけることができます。顧客は、製品やサービスだけでなく、ブランドの「Why」に共感することで、強い愛着や忠誠心を持つようになりますし、組織の「Why」を明確にすることで、従業員は仕事に意味を見出し、モチベーションを高めることができます。「Why」から始まるコミュニケーションは、マーケティングメッセージをより明確で効果的なものにします。

シネックの主な著書

まだ会員登録されていない方へ

会員になると、既読やブックマーク(また読みたい記事)の管理ができます。今後、会員限定記事も予定しています。登録は無料です


《西口一希》

マーケティングに影響を与えた41人と理論