1-4-1:ピーター・ドラッカー

ピーター・ドラッカーは現代経営学の父であり、MBO(マネジメント・バイ・オブジェクティブ)を提唱しました。MBOは目標設定を通じて組織の効率や従業員のモチベーションを高める手法で、マーケティングにも影響を与えました。
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近日発売予定の著書『マーケティング手法大全』で紹介するマーケティングの発展に関して大きな影響を与えてきた26人を含む41人の紹介と、主要な理論や研究の概要を解説します。マーケティングの学習と実践に役立てるべく、41人の貢献の中に見える共通項や異なる視点を学びとっていただければと思います。

ピーター・ドラッカー(1909年 - 2005年)は、オーストリア生まれのアメリカの経営学者、社会生態学者、コンサルタントです。「現代経営学の父」とも呼ばれ、20世紀の経営思想に多大な影響を与えました。彼の著書は幅広く、経営、組織、社会、経済など多岐にわたります。中でも『マネジメント(The Effective Executive)』は彼の代表作の一つであり、マネジメントの本質を説いた古典として広く読まれています。

マネジメント・バイ・オブジェクティブ(MBO)

「マネジメント・バイ・オブジェクティブ(MBO)」

  • 組織目標の設定

  • 部門目標の設定

  • 個人目標の設定

  • 目標の実行

  • 進捗のモニタリングと評価

MBO(Management by Objectives)は、日本語で「目標管理」と訳され、ドラッカーが提唱したマネジメント手法です。組織全体の目標を明確にし、それを部門や個人の目標に落とし込むことで、組織全体の効率と個人のモチベーションを高めることを目的としています。トップダウン型管理手法とは異なり、MBOでは従業員自身が目標設定に関与することが重視されます。これにより、従業員は自らの仕事の目的と組織全体の目標との関連性を理解し、主体的に業務に取り組むようになります。MBOの基本的なプロセスは以下の通りです。

  1. 組織目標の設定: 経営陣が組織全体の長期的な目標を設定します。

  2. 部門目標の設定: 組織目標に基づいて、各部門の目標が設定されます。

  3. 個人目標の設定: 部門目標に基づいて、各個人の目標が上司との合意のもとで設定されます。

  4. 目標の実行: 各個人が目標達成に向けて業務を遂行します。

  5. 進捗のモニタリングと評価: 定期的に目標の進捗状況を確認し、必要に応じて修正を行います。目標達成度に基づいて評価が行われます。

MBOのメリット

  • 従業員のモチベーション向上: 自身で設定した目標に取り組むことで、責任感と達成感が生まれ、モチベーション向上につながります。

  • 組織全体の目標達成への貢献意識の向上: 個人の目標が組織目標と連動しているため、自身の仕事が組織全体にどのように貢献しているのかを理解しやすくなります。

  • コミュニケーションの活性化: 目標設定や進捗確認の過程で、上司と部下のコミュニケーションが活発になります。

  • 評価の明確化: 目標達成度に基づいて評価が行われるため、評価の客観性と透明性が高まります。

  • 自己管理能力の向上: 従業員は目標達成に向けて自ら計画を立て、実行し、進捗を管理する能力が向上します。

MBOがマーケティングに与えた影響

MBOは、当初は組織全体のマネジメント手法として提唱されましたが、その考え方はマーケティング分野にも大きな影響を与えています。

  • マーケティング目標の明確化: MBOの考え方を応用することで、マーケティング活動の目標を明確に設定することができます。例えば、「市場シェアを〇%拡大する」「新規顧客を〇人獲得する」「ブランド認知度を〇%向上させる」といった具体的な目標を設定することで、マーケティング活動の方向性を明確にし、効果測定を可能にします。

  • マーケティングチームのモチベーション向上: マーケティングチームのメンバーが目標設定に関与することで、チーム全体のモチベーションを高め、目標達成へのコミットメントを強化することができます。

  • マーケティング活動の効率化: 明確な目標に基づいてマーケティング活動を行うことで、無駄な活動を排除し、効率的に目標を達成することができます。

  • マーケティングROIの測定: 設定した目標と実際の成果を比較することで、マーケティング活動の投資対効果(ROI)を測定し、改善につなげることができます。

  • 顧客中心のマーケティング: MBOの目標設定プロセスにおいて、顧客のニーズや市場の変化を考慮に入れることで、顧客中心のマーケティング活動を推進することができます。

マーケティングにおけるMBOの具体例

  • 目標: 新製品の市場シェアを発売後1年で10%獲得する。

    • KPI: 月間販売数、広告リーチ数、ウェブサイト訪問者数、顧客満足度など。

  • 目標: ブランド認知度を半年で20%向上させる。

    • KPI: ソーシャルメディアフォロワー数、ウェブサイトへのトラフィック、アンケート調査での認知度スコアなど。

  • 目標: 既存顧客のリピート率を年間で15%向上させる。

    • KPI: リピート購入率、顧客生涯価値、顧客満足度調査など。

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《西口一希》

マーケティングに影響を与えた41人と理論