1-4-28:ルイス・チェスキン

ルイス・チェスキンは、パッケージデザインが消費者の購買意欲に与える影響を研究し、「感覚転移」の概念を提唱しました。彼の理論は現代マーケティングに影響を与えています。
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近日発売予定の著書『マーケティング大全』で紹介するマーケティングの発展に関して大きな影響を与えてきた26人を含む41人の紹介と、主要な理論や研究の概要を解説します。マーケティングの学習と実践に役立てるべく、41人の貢献の中に見える共通項や異なる視点を学びとっていただければと思います。

ルイス・チェスキン(Louis Cheskin、1912年 - 1981年)は、アメリカの市場調査員であり、特にパッケージデザインと消費者の知覚に関する研究で知られています。消費者の購入意欲に影響を与える要因として、製品そのものの品質だけでなく、パッケージの色、形、素材などの要素が重要な役割を果たしていることを提唱しました。

「パッケージデザインの心理学」

チェスキンの理論の中心は、「感覚転移 (Sensation Transference)」という概念です。これは、消費者は製品そのものを評価する際に、パッケージなどの外的要因から受けた印象を無意識のうちに製品そのものに転移させてしまうという現象を指します。つまり、魅力的なパッケージに入った製品は、中身も良く見えるという心理効果です。

感覚転移の例

  • 同じコーヒーを異なる色の缶に入れて試飲させたところ、消費者は缶の色によって味の評価を変えました。例えば、濃い青色の缶に入れたコーヒーは「濃くて味がしっかりしている」、赤色の缶に入れたコーヒーは「味が濃すぎる」と感じる傾向がありました。実際にはコーヒーは全て同じものでしたが、缶の色が消費者の味覚に影響を与えたのです。

  • 洗剤のパッケージの色を変えたところ、洗浄力の評価が変わりました。パッケージの色が明るく清潔感のある色に変更されたことで、消費者は洗剤の洗浄力が向上したと感じました。

チェスキンの研究は、現代のマーケティング、広告、パッケージデザインなどに大きな影響を与えています。企業は、消費者の心理を考慮したパッケージデザインを採用することで、製品の魅力を高め、販売促進に繋げるようになり、また、パッケージデザインは、ブランドイメージを構築する上で重要な要素となっており、企業は統一感のあるデザインを採用することで、ブランドの認知度を高めています。

チェスキンの主な著書

この著書の中で、チェスキンは自身の研究に基づき、消費者の購買行動を予測する方法について解説しています。彼は、パッケージデザイン、色彩、形状、素材などが消費者の知覚に与える影響を詳細に分析し、それらをマーケティング戦略に活用する方法を提案しています。

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《西口一希》

マーケティングに影響を与えた41人と理論