1-4-13：ジェイ・コンラッド・レビンソン

近日発売予定の著書『マーケティング大全』で紹介するマーケティングの発展に関して大きな影響を与えてきた26人を含む41人の紹介と、主要な理論や研究の概要を解説します。マーケティングの学習と実践に役立てるべく、41人の貢献の中に見える共通項や異なる視点を学びとっていただければと思います。

ジェイ・コンラッド・レビンソン（Jay Conrad Levinson、1933年 - 2013年）は、アメリカのマーケティング作家であり、「ゲリラ・マーケティング」の概念を創始したことで広く知られています。彼は、広告代理店レオ・バーネットでキャリアをスタートさせ、その後、J・ウォルター・トンプソンでクリエイティブ・ディレクターを務めました。1984年に出版された著書『ゲリラ・マーケティング (Guerrilla Marketing)』は世界的なベストセラーとなり、中小企業や起業家が限られた予算で効果的なマーケティングを行うための方法論として、大きな影響を与えました。

「ゲリラ・マーケティング」

ゲリラ・マーケティングは、従来のマスマーケティングとは異なり、小規模企業や起業家が限られた予算で最大限の効果を発揮するための、創造的で型破りなマーケティング手法です。その特徴は、以下のようにまとめられます。

• 低コスト: 大規模な広告キャンペーンに頼るのではなく、創造的なアイデアと実行力で費用対効果の高いプロモーションを行います。

• 創意工夫: 独創的で記憶に残るような方法で顧客の注意を引きつけます。

• ターゲット絞り込み: 特定のターゲットオーディエンスに焦点を当て、効率的にメッセージを届けます。

• インタラクティブ性: 顧客との双方向のコミュニケーションを重視し、関係性を構築します。

• 時間とエネルギー: 資金よりも時間と労力を投入し、地道な活動を通じて効果を積み重ねます。

ゲリラ・マーケティングには、以下のような様々な手法があります。

• ストリートマーケティング: 人通りの多い場所で、パフォーマンスやサンプリングなどを行い、注目を集める。

• アンビエント広告: 日常的な環境を利用した広告。例えば、公共のベンチや階段などに広告を掲載する。

• 口コミマーケティング: 顧客の口コミを通じて情報を広める。ソーシャルメディアなどを活用したバイラルマーケティングも含む。

• イベントマーケティング: 小規模なイベントやセミナーなどを開催し、顧客との接点を増やす。

• PR活動: メディアへの露出を増やし、企業の認知度を高める。

• ニッチマーケティング: 特定のニーズを持つ顧客層に焦点を当てたマーケティング。

• インターネットマーケティング: ウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディアなどを活用したマーケティング。

ゲリラ・マーケティングは効果的な手法ですが、実施にあたっては以下の点に注意が必要です。

• 倫理観と法律の遵守: 公序良俗に反する行為や法律に抵触する行為は避ける。

• ターゲットオーディエンスの理解: ターゲットオーディエンスに合わせた適切な手法を選択する。

• 計画性と準備: 実行前に十分な計画と準備を行い、リスクを最小限に抑える。

• 効果測定: 実施後の効果を測定し、改善につなげる。

レビンソンのその他の著書と影響

レビンソンは、『ゲリラ・マーケティング』シリーズとして多数の著書を出版しており、その累計発行部数は1,400万部を超えています。彼の提唱したゲリラ・マーケティングは、世界中の多くの企業や起業家に影響を与え、現代マーケティングの重要な一部となっています。