1-4-9:ロバート・ラウターボーン

ロバート・ラウターボーンは、顧客中心のマーケティングを提唱し、4Cモデルを導入した理論家です。彼の影響で、顧客視点や双方向のコミュニケーションが重視され、マーケティング戦略の考え方が変わりました。
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近日発売予定の著書『マーケティング大全』で紹介するマーケティングの発展に関して大きな影響を与えてきた26人を含む41人の紹介と、主要な理論や研究の概要を解説します。マーケティングの学習と実践に役立てるべく、41人の貢献の中に見える共通項や異なる視点を学びとっていただければと思います。

ロバート・ラウターボーン(Robert Lauterborn)は、アメリカのマーケティング理論家で、従来のマーケティングミックス(4P)に代わる顧客視点のフレームワーク「4C」の提唱者として知られています。ラウターボーンは、企業が顧客中心のマーケティング活動を展開する重要性を説き、マーケティング戦略の考え方を大きく変えるきっかけを作りました。マーケティングを「売る側の視点」から「顧客中心の視点」に変革する原動力となりました。4Cモデルは、今日のマーケティング実務においても基本的な考え方として広く応用されています。ラウターボーンは、単独で著した書籍で広く知られてはいませんが、共著の『Integrated Marketing Communications: Putting It Together & Making It Work』などで見ることができます。

4Cモデルの要素:

  1. Customer Solution(顧客の課題解決)

    • 「製品(Product)」ではなく、「顧客が求める解決策」に焦点を当てます。顧客が本当に必要としているのは製品そのものではなく、その製品がもたらす便益です。例えば、顧客が求めるのは「ドリル」ではなく、「穴を開けること」です。

  2. Cost(顧客が支払う費用)

    • 「価格(Price)」ではなく、「顧客が支払うトータルコスト」に注目します。価格に加え、時間や労力、ストレスといった目に見えないコストも考慮に入れる必要があります。例えば、ECサイトでは、商品価格だけでなく送料や配送時間も重要なコスト要因となることです。

  3. Convenience(利便性)

    • 「流通(Place)」に代わり、「顧客が商品やサービスをどれだけ便利に入手できるか」を重視します。顧客が望むタイミングや場所での購入体験を提供することが重要です。例えば、24時間対応のECサイトやモバイルアプリでの購入できることです。

  4. Communication(顧客とのコミュニケーション)

    • 「プロモーション(Promotion)」を「顧客との双方向のコミュニケーション」に置き換えます。単なる広告や販売促進ではなく、顧客との対話を通じた関係構築が求められます。例えば、ソーシャルメディアを活用した顧客との直接的な交流やフィードバックの収集を意味します。

4Cがマーケティングに与えた影響

ラウターボーンの4Cモデルは、顧客中心のマーケティングへの移行を後押しし、マーケティング戦略の在り方に大きな影響を与えました。

まず、顧客視点の重要性の強調し、顧客が商品を知り、購入し、使用するまでのプロセス全体を包括的に理解する重要性を示しカスタマージャーニーの重要性に繋がりました。また双方向のコミュニケーションの重要性を強調したことで、その後の、ソーシャルメディアやチャットボットを活用した顧客とのインタラクティブな関係構築に影響を与えています。

4Pとの関係

4Cは、マッカーシーの提唱した4Pを顧客視点から捉え直したものであり、両者は補完的な関係にあります。現代のマーケティングでは、4Pと4Cの両方を考慮することが増えています。

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《西口一希》

マーケティングに影響を与えた41人と理論