「ここまで投資したから」が、赤字の延命理由になる ―罠18:過去の投資への固執

投じた費用が大きいほど、途中でやめることは損に感じます。しかし使ってしまった費用は、続けても戻りません。過去の投資の大きさを続ける理由と取り違えるのが、この罠です。
「ここまで投資したから」が、赤字の延命理由になる ―罠18:過去の投資への固執
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撤退を議論する会議で、必ず出る言葉があります。「ここまで投資してきたのに、今やめたら全部無駄になる」。反論はしにくく、「あと一年」で結論が出ます。翌年も、同じ会議が開かれます。

架空のソフトウェア会社で考えてみます。三年前に始めた法人向けの新サービスには、累計で1億円を投じました。今後一年で追加に5,000万円を使っても、見込める売上は3,000万円です。しかし会議では、この先の数字より、これまでの1億円が議論の中心になりました。撤退は「1億円を捨てる判断」と呼ばれ、継続が決まりました。

投資した事業を簡単に諦めず、粘ることは正しい姿勢です。罠が始まるのは、過去に使った金額をこれからの判断の材料に数えたときです。使った1億円は、続けても、やめても戻りません。

《西口一希》

ビジネスの罠と解決法