有名な専門家の言葉が、判断停止の理由になる ―罠9:権威と根拠の混同

専門家の言葉には、学ぶ価値があります。しかし肩書や評判は、その言葉が自社に当てはまる証拠ではありません。誰が言ったかを主張が正しい根拠と取り違えるのが、この罠です。
有名な専門家の言葉が、判断停止の理由になる ―罠9:権威と根拠の混同
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会議の途中で、誰かが「〇〇さんが講演でこう言っていました」と口にします。皆がうなずき、議論はそこで終わります。反論すれば、専門家に逆らうように聞こえるからです。決定は早く、しかし確かめたことは何もありません。

架空の地域スーパーで考えてみます。役員が著名な専門家の講演を引用し、「チラシはもう効かない。これからはアプリだ」と述べました。会社はチラシの予算を半分に減らし、アプリの開発に回しました。三か月後、来店客数は前年の同じ時期より8%減りました。来店客の半数は60代以上で、アプリを入れた人は一割でした。

外部の知見を取り入れること自体は、正しい仕事です。罠が始まるのは、主張の根拠と当てはまる条件を確かめる代わりに、発言者の肩書で議論を終えたときです。

《西口一希》

ビジネスの罠と解決法