失敗しない案だけを選び、成長の機会を失う ―罠10:見送りリスクの見落とし

失敗しそうな案を退けるのは、慎重な判断に見えます。しかし「やらない」にも結果があり、それは会議の表に数字として出てきません。見送りには損失がないと取り違えるのが、この罠です。
失敗しない案だけを選び、成長の機会を失う ―罠10:見送りリスクの見落とし
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投資案の会議です。「失敗したらどうする」「既存の商品を食う」「今の設備では足りない」。反対の理由は具体的で、どれももっともです。結論は「時期尚早」で見送り。出席者には、損を避けた安堵が残ります。

架空の調味料メーカーで考えてみます。若い世帯向けに小容量のシリーズを出す案があり、想定投資は3,000万円でした。共食いと設備の不安が挙がり、三年続けて見送られました。その三年で競合が小容量の商品で棚を取り、年2億円あった自社の主力の売上は15%、年3,000万円減りました。売上から、材料費や物流費など売れた分だけかかる費用を引いた貢献利益では、年900万円の減少です。三年分を足せば、避けた投資の3,000万円にほぼ並びます。

失敗のリスクを挙げることは、正しい仕事です。罠が始まるのは、実行する案だけがリスクを問われ、見送る案はリスクがないものとして表の外に置かれたときです。

《西口一希》

ビジネスの罠と解決法