会議で全員が賛成した企画は、気持ちよく通ります。しかし賛成の多さは、顧客に受け入れられる証拠ではありません。賛成が集まったことを成立の検証と取り違えるのが、この罠です。

企画会議の冒頭で、部長が「健康志向は追い風だ。これはいける」と言います。順に意見を求められた出席者は、それぞれ補足を重ねます。反対はゼロ。企画は決まり、会議室には手応えが残ります。
架空の定食チェーンで考えてみます。新メニューは、野菜をたっぷり使った朝定食です。会議の賛成は十人中十人でした。ところが発売から一か月、販売数は計画の半分にとどまりました。店で朝の客に聞くと、出勤前で急いでおり、提供に時間のかかる定食は選びにくいという声が出ました。会議の十人の中には、朝に急いで食べる客の立場で考えた人はいませんでした。
皆で議論し、合意して決めること自体は、正しい進め方です。罠が始まるのは、最初に出た意見がその後の議論の枠になり、賛成の多さを企画が成立する証拠として数え始めたときです。

