ターゲットを絞るか、広げるかの二択で迷う ―罠25:対象と範囲の混同

顧客を絞れば市場が小さくなり、広げれば刺さらない。この二択は、多くの会議で決着しません。しかし価値を確かめる相手と、届ける範囲は、同じ問いではありません。深める対象と売る範囲を一つの選択と取り違えるのが、この罠です。
ターゲットを絞るか、広げるかの二択で迷う ―罠25:対象と範囲の混同
  • ターゲットを絞るか、広げるかの二択で迷う ―罠25:対象と範囲の混同
  • ターゲットを絞るか、広げるかの二択で迷う ―罠25:対象と範囲の混同

「飲食店に絞るべきだ」「いや、全業種に売れる商品だ」。新商品の会議で、この議論は毎回起こります。結論は「まず幅広く」になりがちで、資料は誰にでも当てはまる言葉で書かれます。

架空の業務用洗剤メーカーで考えてみます。最初の半年は全業種向けの資料で営業し、商談からの受注率は2%でした。次の半年、油汚れが最も強いラーメン店に絞って資料と提案を作り直すと、受注率は20%になりました。しかも、そこで確かめた「換気扇の油が短時間で落ちる」という理由は、焼肉店や中華料理店にも通じ、翌年は隣の業種へ順に広がりました。

市場を広く取ろうとすることも、顧客を絞ろうとすることも、それ自体は正しい判断です。罠が始まるのは、「誰に価値を確かめるか」と「どこまで届けるか」を一つの選択として、同時に決めようとしたときです。

《西口一希》

ビジネスの罠と解決法