売上が伸びると、次は拡大だと考えたくなります。しかし伸びている売上が何を確かめた結果なのかは、金額だけでは分かりません。売上の大きさを事業の段階が進んだ証拠と取り違えるのが、この罠です。

「売上が二年で三倍になりました。次はエリアを広げ、営業を増やします」。経営会議で、この報告に反対する人はいません。数字は右肩上がりで、投資家も取引先も次を期待しています。
架空の法人向け弁当宅配で考えてみます。新規の契約数は、前年比で二倍に増えました。一方、一年前に契約した顧客のうち、今も続けているのは四割です。六割は一年以内に離れており、売上の伸びは新規の獲得で支えられていました。会社はこの数字を見ないまま、新エリアに営業を三人増やしました。
伸びている事業に投資を増やすこと自体は、正しい判断です。罠が始まるのは、売上の金額や社歴で「もう拡大の段階だ」と決め、拡大の前に確かめておくべきことが残っているかを見なかったときです。


