取引が大きな市場では、少しの手数料でも大きな売上に見えます。しかし市場を流れるお金と、自社に残るお金は、別の数字です。取引の総額を自社が得られる収益と取り違えるのが、この罠です。

「この業界の取引総額は年100億円。手数料5%で5億円の事業になります」。仲介の事業計画は、こう始まります。100億円という数字が会議室の空気を明るくします。5億円から何が引かれるかは、まだ誰も計算していません。
架空の中古機械の売買仲介サイトで考えてみます。取扱高は年100億円、手数料率5%で売上は5億円でした。しかし出品者を集める広告、買い手の与信と決済、トラブル対応の人件費で、費用は年6億円。取扱高が増えるほど、費用も同じ割合で増えました。市場を流れる100億円のうち、自社の取り分は5億円、そこから残る利益はマイナス1億円でした。
市場を流れるお金の大きさを見ることは、正しい仕事です。罠が始まるのは、その流れの中で価値を握っているのが誰かと、自社の取り分と費用を分けて計算しなかったときです。

