他社で成功した施策は、自社にも取り入れたくなります。しかし外から見えるのは施策の形だけで、成功を生んだ条件は見えません。見えた施策が成功の理由そのものだと取り違えるのが、この罠です。

成功した会社と同じ施策なら、社内で提案しやすくなります。実績を示せるうえ、手順も説明できます。他社の成功に学ぶこと自体は、正しい仕事です。罠が始まるのは、同じことを実行すれば同じ結果が出ると、条件を確かめずに信じたときです。
架空のオンライン学習サービスで考えてみます。A社では、紹介した人と入会した人の双方に受講料を割り引く紹介キャンペーンが奏功し、新規入会の三割が紹介経由でした。ただしキャンペーンを案内したのは、講座の内容を仕事で使い、役立ったと実感した受講者に対してです。結果、その人が自分と似た仕事をする同僚にサービスを勧め、新規入会につながっていました。この部分は、他社からは見えません。
成功を知ったB社が、同じ割引と紹介ページを用意しました。対象は、登録したばかりの無料会員です。ところが、案内を繰り返しても、紹介経由の入会は一割に届きません。B社が同じ施策を選んだのには理由があります。外から見えるのは割引率とページの作りで、それなら自社でも再現できるからです。しかし、誰が、何をよいと感じて、誰に紹介したのかは、事例の見出しだけでは分かりません。


